のんやローラも救われる? 公正取引委員会がタレントの独立を阻む所属事務所の圧力を独禁法違反と認定

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嫌がらせで特にひどかった、のんが活動の場のひとつとする公式サイト


 昨日、芸能界にはびこるブラックな労働状況を是正するために大きな一歩が踏み出された。

 タレントやスポーツ選手などフリーランスの働き方をする人に対し、雇い主が移籍制限などの不当な契約を強いることは独占禁止法違反にあたる恐れがあると、結論づける方針を固めたというのだ。

 公取委は昨年8月よりこの問題に関する調査を開始。有識者会議を行うなど検討を重ねていた。その結果、芸能人などが所属事務所を辞める際に、他の事務所と契約できないなどの状況は法的に問題があると結論づけられたのだ。

 公取委がこのような検討に入った背景には、もちろん、ここ最近頻発している芸能プロとタレントとのトラブルがある。

 公取委は昨夏の調査開始に先立って、委員会内に設置されているCPRC(競争政策研究センター)で、『芸能人はなぜ干されるのか?』(鹿砦社)の著者である星野陽平氏を呼んで勉強会も行っていた。

 そのレポート「独占禁止法をめぐる芸能界の諸問題」には、SMAP、安室奈美恵、江角マキコ、清水富美加をめぐる嫌がらせの事例が並んでいた。

 たしかに、こうした事例は独占禁止法に違反する可能性が極めて高い。飯島三智マネージャーの処遇をめぐって勃発した、ジャニーズ事務所からSMAPへの独立妨害と度重なる干し上げと嫌がらせに関してはもはや説明不要だと思うが、こうした圧力は、稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾がジャニーズ事務所を独立したいま現在でも続いている。

 また、今年の9月をもって歌手活動を引退する安室奈美恵も2014年、所属していたライジングプロダクションから移籍しようとした際、メディアからバッシングに遭うことになる。バーニングプロダクション系列であるライジングプロダクションは、御用メディアを使い「安室は18歳年上のプロモーターに洗脳されている」といった報道をさせ悪評を書き立てられた。

 このいやがらせの構図はいま現在でも続いている。昨年11月に発売され、現在では200万枚越えの驚異的なセールスを記録しているベストアルバム『Finally』だが、このアルバムでは収録曲45曲のうち、ライジング在籍時代の39曲は当時の音源ではなくなぜか歌い直し直している。

能年玲奈はじめ、事務所の圧力でキャリアを潰されたタレントたち

 これらの事例に対して、独禁法違反の排除措置命令を芸能事務所に出すことになるのは、一般的な社会通念からいって至極当然のことともいえる。いや、むしろ遅きに失したと言ってもいいだろう。

 こういった嫌がらせで特にひどかったのが、のん(能年玲奈)のケースだ。前所属事務所であるレプロエンタテインメントとのトラブルにより独立することになった彼女に対し、バーニング系列であるレプロは「週刊ポスト」(小学館)や「女性セブン」(小学館)といった御用メディアを通じ、「能年は旧知の演出トレーナーに洗脳されている」といった内容の記事を発信させた。

 のんに対する嫌がらせはこれだけにはとどまらない。事務所独立にあたり「能年玲奈」という名前を使用するのであればレプロの許可が必要との申し入れを行い、彼女は本名である「能年玲奈」を捨て「のん」に改名せざるを得なくなったのだ。

 また、復帰後にアニメ映画『この世界の片隅に』で主演声優を務めた際には、在京キー局の番組から締め出されてプロモーションができない
という事態も起きた。16年8月には、『めざましテレビ アクア』(フジテレビ)への出演が告知されたものの、実際の放送に彼女の姿はなかったという騒動も起きている。急きょ出演がなくなった理由は明かされなかったが、その裏にはレプロと、そのバックにいるバーニングからの圧力があったのではないかといわれている。

 のんのケースに関しては、バーニングに忖度するメディアからの嫌がらせが殊更にひどく、彼女の出世作『あまちゃん』(NHK)の資料映像を使う際には、のんが出演するシーンを巧妙にカットして使用するということも繰り返された。宮藤官九郎は「週刊文春」(文藝春秋)16年7月7日掲載の連載コラムで〈そう言えばトーク番組で『あまちゃん』の話題になり懐かしい映像が流れたのですが、映像使用の許諾が取れなかったのか、アキ(能年玲奈さん)がワンカットも映ってなかった。代わりに前髪クネ男(勝地涼くん)がガッツリ映ってて笑った。あまちゃんは能年さんの主演作ですよ、念のため〉と綴ったこともあった。

 芸能プロダクションとのトラブルが原因で嫌がらせを受けたり、継続的な活動ができないといった状況に追い込まれる例は他にも数多ある。暴力団と交際した過去があったとして事務所独立後に干された松方弘樹、独立後に引退報道や悪評をメディアに書き立てられた水野美紀と鈴木亜美、個人事務所の元社長と元専務を解任したところ、バーニングが元社長側につき、紅白歌合戦の連続出場まで途絶えた小林幸子など、挙げていけば枚挙に暇がない。

公取委決定でローラや元NMB48の渡辺美優紀はテレビに復帰できるのか?

 最近も、こうしたケースは続いている。たとえば、タレントのローラは10年契約、さらに10年後も事務所の承諾がないと契約更新を断れず自動的に更新されるという半永久的奴隷契約を結ばされていたことが発覚。ローラがこれを不当として独立を強行したところ、訴訟をちらつかせ、テレビにほとんど出演できなくなってしまった。

 また、昨年4月には、元NMB48の渡辺美優紀の出演するインターネット生放送番組が直前になって放送中止になる騒動もあった。グループ卒業と同時に吉本も退社したメンバーには2年間待たなければ芸能活動をすることができない「2年縛り」があるとされており、渡辺美優紀の番組の放送中止はこの縛りを理由にクレームを受けたからなのではないかといわれている。

 今回の公取委の結論により、こうした芸能界の「ブラック体質」にもようやく改善されていくのだろうか。そして、ローラやのんもテレビに復帰できるのか。

 しかし、その一方で、別の問題も指摘されている。

 たとえ法的に認められなくなったところで、プロダクションやテレビ局などが「忖度」し合って事務所を抜けたタレントの仕事を干し上げるような状況が変わらなければ、結局のところ現状のままなのではないかという心配だ。

 そのような懸念が出るのには理由がある。

 昨年7月に公取委が調査検討に入ったニュースを取り上げたメディアはNHKと朝日新聞だけで、他はほとんど取り上げていないのだ。とくに民放は、このニュースを一秒も報じていない。民放のワイドショースタッフが苦笑しながら語る。

「それはそうでしょう。テレビはこういう芸能プロの圧力、嫌がらせの共犯者のようなものなんですから。報道なんてできるはずがない。うちの番組では、最初から企画にもなっていません」

 こういった事情がある以上、先にあげたような懸念が現実となる可能性もおおいに考えられる。

 いずれにせよ、今回の公取委の方針は大きな前進ではある。

 ただ、これを本当の意味での労働環境是正の足がかりにできるかどうかは、これからにかかっている。その動向をしばらくチェックする必要がありそうだ。

最終更新:2018.01.20 12:17

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