松本人志が黒塗り問題に「浜田差別」とギャグでごまかし逃げの一手!「ルールブックを作れ」と責任転嫁発言も

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
matsumoto_01_140827.jpg
『ワイドナショー』番組HPより


 現在、議論が紛糾している「黒塗り」問題。ご存知の通り、昨年大晦日に放送された『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!大晦日年越しスペシャル!絶対に笑ってはいけないアメリカンポリス24時!』(日本テレビ)にて、浜田雅功が『ビバリーヒルズ・コップ』のエディ・マーフィーのコスプレという設定で顔を黒塗りにしたことが、日本のみならず、イギリスBBCやアメリカのニューヨークタイムズも報じるなど、国際的な問題となっている。さらに渦中の6日に放送された同番組の完全版でも、問題の「黒塗りメイク」部分はそのまま再放送が強行された。

 この問題について、本日放送『ワイドナショー』(フジテレビ)で松本人志がはじめて語ったのだが、これが逃げの一手という想像以上にひどいものだった。

 司会の東野幸治から話を振られた松本は開口一番このように語った。

「これに関しては言いたいこと色々あるんですけど、面倒くさいので、『浜田が悪い』でいいですよ。アイツを干しましょう。国外追放。断らなかったアイツが悪い」

 この後も松本は、議論と真っ正面に向かうことはなく、謝罪するわけでも、正当性を主張するわけでもない、逃げのコメントを重ねていく。「今回、テーマがアメリカンポリスで、『ビバリーヒルズ・コップ』のエディ・マーフィーをやったんですよ。だから、流れとしては、全然唐突ではないんですけど……、でも、浜田が悪い」と、「浜田が悪い」なるフレーズを天丼にして笑いに変えながら、指摘されている問題の本質から話を逸らし続けていくのだった。

 そして、今後のバラエティ番組づくりに話がおよぶと、松本はこう切り出した。

「じゃあ、今後どうすんのかなって。僕らはモノマネタレントではないので、別にもういいんですけど、この後、モノマネとかいろいろバラエティ(番組)で、じゃあ、今後黒塗りはなしでいくんですね。はっきりルールブックを設けてほしい」

 この発言を聞いて、「やはり松本はなにもわかってなかったのか……」と思わざるを得なかった。

 この発言には、問題点が二つある。

 ひとつは、今回、ブラックフェイスが問題となっているのは「モノマネ」云々に事の本質があるわけではない。

 浜田のブラックフェイスが批判を浴びたのは、それが「単に顔を黒塗りにしただけで笑いをとる」といったものだったからだ。

「ルールブックを設けてほしい」と思考停止を宣言する松本人志

 今回の『ワイドナショー』でコメンテーターの席に座っていた福嶋麻衣子(もふくちゃん)も番組内で「渡辺直美さんとかいろいろモノマネされているけど、別に黒塗りにはしてないじゃないですか。それだから世界中で受け入れられているみたいな。塗らないやり方でのモノマネっていうのはいくらでもあると思うんですよ」と指摘していたが、まさにその通りで、渡辺直美がビヨンセのモノマネをする際、別に顔や身体を黒く塗ることはない。

 それでも、渡辺直美とビヨンセでは肌の色も体型もまったく異なるのに、彼女が「Crazy In Love」をBGMに踊り出すと、それはビヨンセにしか見えなくなる。それが人々の笑いを呼ぶのは、渡辺直美がビヨンセの細かい動きを徹底的に研究し、それを再現する技術をもっているからであり、そのようなテクニックがあるのであれば、モノマネ芸人であろうとも顔を黒塗りにする必要などないのだ。では、なぜ黒塗りが必要なのか? それは、知識と技術が足りないからだろう。松本は番組内で「黒塗りにしてモノマネした人が今後出てきたら、同じぐらい叩かれないと、今後は浜田差別になりますよ」とも語っていたが、そういう問題ではないのだ。

 そして、二つ目は、「はっきりルールブックを設けてほしい」という発言である。言うまでもなくこれは「世間的な価値観とか、国際的な問題意識とか、そんな面倒くさいことはいちいち考えたくないよ」という思考停止の意思表示にほかならない。

 浜田のブラックフェイスが批判されたのは、「ただ黒塗りにしただけで“エディ・マーフィーのモノマネ”と称して笑いにしようとした」点にある。もし浜田が『ビバリーヒルズ・コップ』の名シーンを完璧に再現してみせたうえで笑いをとっていたのなら、ブラックフェイスは必要なかっただろう。あるいはそこまで黒塗りにこだわるというのであれば、「なぜ黒塗りがNGなのか」その差別の歴史もふまえたうえで、それをも突破するような新しいお笑い表現をつくり出すこともできるかもしれない。

 そこを単純に「はっきりルールブックを設けてほしい」などと言って考えることを放棄するから問題が起きるのだ。このような短絡的な発想こそが、現在お笑いの表現し得る範囲を狭めている大きな要因のひとつである。

 たとえば、放送禁止用語とされているものだって、文脈や使い方によっては差別的な笑いでなくむしろ差別を批判するような笑いにすることもできるかもしれないのに、そういった文脈を踏まえることを放棄して一律でNG項目のリストに加えてしまうから、自分で自分の首を締める事態につながっている。

黒塗り問題が起きたのは、ポリコレのせいでなく松本人志の笑いが劣化したから

 ちなみに、顔を黒塗りにして笑いをとることのなにがいけないのか。本サイトでもくり返し指摘してきたが、それは、黒人差別の歴史において、顔を黒く塗り、パフォーマンスすることで笑いものにしてきたという経緯があるからだ。

 19世紀、アメリカで流行した「ミンストレル・ショー」と呼ばれる大衆演劇がある。黒人差別と表現の問題を論じた『『ちびくろサンボ』絶版を考える』(径書房)によると、このミンストレル・ショーは〈黒人の無知や無知から来ると思われていた明るさを笑いものにした〉芸風で、〈二十世紀の中頃のテレビ・映画のなかの黒人イメージにまで色濃く影響を及ぼしたと言われる〉ものである。

 黒人は無知で、それゆえに明るく能天気である──そのような偏見に満ちた黒人像を反映したキャラクターを、白人が顔を黒塗りにしたうえで演じ観客たちを笑わせる。それがミンストレル・ショーであった。このような表現を成り立たせていた背景に、黒人を奴隷として強制労働させ人間として扱わなかった、アメリカの負の歴史があることは言うまでもない。

 そもそも、松本はかつて、モノマネやパロディを一段下に見てバカにしていたはずだ。そうした笑いは安易でお手軽なもので、自分は0から笑いを作っているという自負があったのだろう。

 番組内では、もふくちゃんによる「世界で見ても全員が笑えるものになんないといけないっていうふうになってきちゃったんだと思います。それが、良いか、悪いかは別にして」というコメントに「いま、『良いか、悪いかは別にして』って言いましたけど、『悪い』しかないよ」と松本は返していたが、自分の笑いが劣化して典型表現に堕した結果起きた問題をポリティカル・コレクトネスのせいにするのは、いささかお門違いである。

 だいたい、松本はスタッフが出してきた台本を1から10まで聞き入れるような芸人ではなく、自分で納得しないものなら突っぱねる人間だろう。実際、気に入らないことがあれば「番組を降りる」「終わらせる」と恫喝することもあるではないか。松本は番組に対して、それだけの権力をもっている。

 それなのにもかかわらず、今日の『ワイドナショー』では、一貫して“自分はいち出演者にすぎない”というスタンスをとり続けていた。そこになんらかの反省や、今回の騒動を受けて真摯にフィードバックしようという姿勢は見えない。

 こんなことでは、そう遠くない未来、また同じような問題が引き起こされることは必至だろう。

最終更新:2018.01.14 04:22

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

新着 芸能・エンタメ スキャンダル ビジネス 社会 カルチャー くらし

松本人志が黒塗り問題に「浜田差別」とギャグでごまかし逃げの一手!「ルールブックを作れ」と責任転嫁発言ものページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。ワイドナショー松本人志編集部の記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
ツイート数
1 つるの剛士が「桜を見る会」問題で台風被災者をダシに安倍政権擁護
2 安倍首相の強気の裏にニューオータニ幹部との関係
3 安倍首相の総理在任最長でNHKが岩田明子解説でヨイショ特集
4 沢尻エリカMDMA逮捕を警視庁がTBS、文春に事前リーク!
5 韓国ベストセラー『反日種族主義』は日本のネトウヨ本そっくり
6 葵つかさが「松潤とは終わった」と
7 安倍政権御用ジャーナリスト大賞(前編)
8 「桜を見る会」招待の基準は安倍応援団とワイドショー!
9 美智子皇后が誕生日談話で安倍にカウンター
10 安倍政権御用ジャーナリスト大賞(後編)
11 「桜を見る会」ケータリングは安倍首相、昭恵夫人のお友達の会社
12 安倍の成蹊時代の恩師が涙ながらに批判
13 即位礼に天皇の「安倍首相への抵抗」を示す招待客が
14 池上彰が朝日叩きとネトウヨを大批判
15 グッディ高橋克実が北朝鮮危機で本音
16 即位祭典“エンドレス万歳”に「怖い」の声!「天皇陛下万歳」の戦前回帰
17 「桜を見る会」で田崎史郎と産経が失笑のスリカエ詐術で安倍擁護
18 報ステ後藤謙次の安倍批判がキレキレ!
19 上田晋也の番組で東国原英夫と千原せいじが日韓問題への無知晒す
20 安倍の「桜を見る会」言い訳が酷い!「長年の慣行」「ホテルが」
1 久米宏が「テレビが反韓国キャンペーンをやってる」と真っ向批判
2 安倍政権・厚労政務官が外国人在留申請で口利き「100人で200万円」
3 玉川徹がGSOMIA破棄で加熱するテレビの嫌韓煽動を批判
4 明石家さんまが吉本上層部と安倍首相の癒着に痛烈皮肉!
5 『ゴゴスマ』で今度は東国原英夫がヘイト丸出し、金慶珠を攻撃!
6 『報ステ』の“安倍忖度”チーフPがアナやスタッフへの“セクハラ”で更迭
7 『ゴゴスマ』で「日本男子も韓国女性が来たら暴行しなけりゃいかん」
8 文在寅側近の不正に大はしゃぎの一方、安倍政権が厚労政務官の口利きに無視
9 埼玉知事選で警察が柴山文科相への抗議を排除!柴山も表現の自由否定
10 安倍首相がトランプからトウモロコシ爆買い
11 菅官房長官「トウモロコシ大量購入は害虫被害対策」は嘘
12 GSOMIA破棄は安倍のせい 慰安婦合意から始まった韓国ヘイト政策
13 安倍が後に先送り財政検証の酷い中身
14 GSOMIA破棄で日本マスコミの「困るのは韓国だけ」の嘘
15 松本人志や吉本上層部批判の友近、近藤春菜にバッシング、報復か
16 『週刊ポスト』の下劣ヘイト記事は「小学館幹部の方針」の内部情報
17 GSOMIA破棄!八代・有本ら安倍応援団は「嫌なら来るな」
18 『モーニングショー』で「暑さに耐えるのが教育」元高校野球監督は右派論客
19 古市憲寿の芥川賞候補作「参考文献問題」に選考委員が猛批判
20 『関東大震災「朝鮮人虐殺」はなかった!』のデマとトリックを暴く

マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄