12月23日祝日外しの動きは安倍の天皇敵視だ!「明治の日」で戦前回帰推進しながら護憲派天皇の足跡は抹消

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
12月23日祝日外しの動きは安倍の天皇敵視だ!「明治の日」で戦前回帰推進しながら護憲派天皇の足跡は抹消の画像1
宮内庁「象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば」より


 2019年4月末日をもって天皇が退位することが決定したが、天皇誕生日を前に「12月23日を祝日(休日)ではなくす」という動きが表面化、国民の間から反発の声が上がっている。

 生前退位に関する特例法は、皇位継承後は皇太子の誕生日である2月23日を「天皇誕生日」と定めているが、現在の12月23日に新たな祝日を設けるかについては明記していない。ところが、菅義偉官房長官は、21日午前の会見で「幅広い議論が必要」と断りながらも、「このまま特例法が施行されれば平日になる」としたのだ。

 また、毎日新聞21日付朝刊は、政府が12月23日を〈当面は新たな祝日とせずに平日とする検討に入った〉と報じた。記事は、「上皇の誕生日を祝日にすれば権威付けになりかねない。上皇に感謝する民間行事が開かれる可能性もある。少なくとも上皇在位中の祝日化は避けるべきではないか」という政府関係者のコメントをあげながら、〈上皇の誕生日を祝日にすると事実上の「上皇誕生日」になり、新天皇の誕生日と併存して国民の目に「二重の権威」と映る懸念があるため〉と伝えている。

 “二重権威”とは極右の安倍政権らしくない物言いだが、天皇誕生日が国民に天皇の誕生日を祝うことを強いる“権威”の強制の役割をもっていることはたしかだ。

 しかし、安倍政権の「平成天皇の誕生日の祝日抹消」の動きの背後にあるのはそんな真っ当な理由ではない。これは、安倍首相の明仁天皇への嫌がらせ、敵視の表れとしか思えない。

 なぜなら、安倍首相やその周辺にいる右派勢力は、天皇誕生日を嫌がるどころか、歴代の天皇誕生日の権威化を強引に推進してきたからだ。その典型が、4月29日の「昭和の日」だ。

「昭和の日」のあと「文化の日」を「明治の日」にしようとする安倍政権

 この4月29日は昭和天皇の誕生日だが、当初は天皇崩御にともない「みどりの日」と名づけられていた。〈自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心を育む〉という趣旨で、そこには生物学者であり自然をこよなく愛した昭和天皇を偲ぶ意味も込められていた。ところが、それが気にくわない極右勢力は「昭和の日」に名称を変更するよう運動を展開。極右運動と歩調を合わせた自民党タカ派議員たちも、祝日法改正案を国会に提出して、「昭和の日」への名称変更を求めてきた。

 こうした背後に「昭和の日」を戦後の日本国憲法と国民主権を否定し、先の戦争を肯定するためのシンボルにしようという意図があったのは明らかで、たとえば「昭和の日」改定運動に参加してきた小堀桂一郎・日本会議副会長は「正論」(産経新聞社)1999年4月号で、〈直接「昭和」といふ輝かしい名への連想を一切持たないこの命名(みどりの日)はあまりにも畏れ多く、無残なことである〉と書いている。

 当然、こうした動きには、国内はもちろん、日本が侵略したアジアの国々から懸念と反対の声があがったが、しかし、小泉政権下での圧倒的な議席数を占めた自民党は2005年にこの改定を強引に成立させた。そのとき、中心になっていたのが安倍晋三だった。そして、第一次安倍政権の07年から「みどりの日」は5月4日に移動し、4月29日は「昭和の日」となった。同年、「『昭和の日』をお祝いする実行委員会」が開いた記念式典では、参加者が昭和天皇の埋葬された武蔵野陵に拝礼し、「天皇皇后両陛下万歳」と三唱。当日、外遊中だった安倍首相も祝辞を寄せている。

 さらに、近年は、11月3日を「明治の日」に改めようという動きまで広がっている。11月3日は明治天皇の誕生日で、昭和時代の1927年から1947年までは「明治節」という名称だったが、1946年の11月3日に日本国憲法が公布され、その2年後の祝日法制定時に、憲法の戦争放棄の精神に基づいて〈自由と平和を愛し、文化をすすめる〉日として「文化の日」に生まれ変わった。

 ところが、極右勢力がこの「文化の日」の理念を全否定し、明治天皇の誕生日を祝う「明治の日」にせよ、とがなり立てはじめたのだ。

 この運動の中核を担っているのは、「昭和の日」実現運動を推進したメンバーとかぶる「明治の日推進協議会」なる団体で、役員にはジャーナリストの櫻井よしこ氏や、安倍首相のブレーンのひとりと言われる伊藤哲夫・日本政策研究センター代表のほか、代表委員に百地章氏や所功氏といったお約束の日本会議系の人士が名を連ねる。

 しかも、稲田朋美元防衛相や古屋圭司衆院議員など、安倍首相の“盟友”といえる政治家らが、この運動に積極的に参加。同団体が昨年11月1日に国会内でおこなった集会では、当時、防衛大臣だった稲田朋美衆院議員が「神武天皇の偉業に立ち戻り、日本のよき伝統を守りながら改革を進めるというのが明治維新の精神だった。その精神を取り戻すべく、心を一つに頑張りたい」と語った。

民主主義と平和主義の象徴たらんとした今上天皇への安倍首相の敵視

 剥き出しの皇国史観と戦前回帰への欲望には目眩を覚えるが、こうした動きのバックにいるのはもちろん安倍首相だ。ことあるごとに“明治維新の栄光”を口にする安倍首相は、2015年に「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産登録をゴリ押ししたが、続いてこの「文化の日」を「明治の日」とする改定を虎視眈々と狙い、子飼いの極右議員たちを使って下地づくりをしてきた。

 ところが、そんな安倍政権が、12月23日の現天皇の誕生日だけは、「二重の権威」を理由に平日にし、「平成」を国民の祝日から“抹消”しようというのである。このダブルスタンダードは、いったいなんなのか。

 本サイトでも何度も指摘してきたように、明仁天皇は、日本国憲法のもと、言い換えれば戦後の民主主義のなかで初めての天皇となり、平和主義国家の象徴としてのありかたを皇后とともに考え抜いてきた。第二次安倍政権下では、安倍首相が目指す“戦争のできる国づくり”に対する危機感を表明するかのように、踏み込んだ護憲発言をおこなってきた。

 ところが、これに対して、安倍首相は報復、嫌がらせとしか思えないような行動をとってきた。子飼いの学者やメディアを使って「天皇皇后は政治的発言をするな」「天皇はおかしい」と攻撃を仕掛け、女性宮家や生前退位をめぐる問題では、天皇サイドの意向を無視。生前退位が決まったあとも「天皇がパレードを望んでいる」などと、あたかも天皇のわがままで生前退位がおこなわれることになったかのような情報操作を展開してきた。

 ようするに、今回の“天皇誕生日平日化”もこうした安倍首相の天皇敵視、天皇攻撃の延長線上で出てきたものとしか考えられないだろう。

 しかも、この安倍首相の天皇攻撃はたんに個人的な感情だけではない。戦後の民主主義と平和主義の象徴たらんとした今上天皇の足跡を消し去りたい。そういう意図もあるはずだ。そして、それは明治や昭和の天皇だけを“権威”として戦前回帰的なイデオロギーに利用したいという野望の裏返しでもある。

誕生日会見で天皇は何を語るのか?“安倍に御恨み骨髄”報道も

 天皇はこうした安倍首相の仕打ちに対してどう考えているのか。先日、本サイトは「週刊新潮」(新潮社)の記事が宮内庁から激しい抗議を受けた一件を紹介したが、そのタイトルは「「安倍官邸」に御恨み骨髄「天皇陛下」が「心残りは韓国…」」。記事では侍従職関係者のこんなコメントが掲載されていた。

「陛下は喜怒哀楽の感情を表に出すことを決してされないのですが、それでも安倍さんには御恨み骨髄、という表現がぴったりくるのではないでしょうか。これだけ陛下の思いをないがしろにした首相は前代未聞だと言えます」

 しかし、宮内庁が激しい調子で「事実でない」と抗議したのは、この記事に掲載されていた「天皇が生前退位でパレードを望んでいる」という政府関係者のコメントのみで、タイトルや、天皇がないがしろされているというコメントに対しては一切抗議をおこなっていなかった。

 この一事をもってしても、天皇が安倍首相のやり口に怒りをもっていることは明らかだろう。

 明日23日には、天皇の誕生日会見の模様が一斉に報じられる。2013年の誕生日会見で「戦後、連合国軍の占領下にあった日本は、平和と民主主義を、守るべき大切なものとして、日本国憲法を作り、様々な改革を行って、今日の日本を築きました」という“護憲発言”を口にして以降、警戒心をあらわにした安倍官邸は宮内庁に対しての締め付けを陰に陽に強めていき、天皇は安倍首相の歴史観や憲法観と対峙するような発言を自重せざるをえなかったと言われる。

 昨年も、生前退位をめぐる官邸との攻防のさなかにあって、結局、憲法や平和主義に関して踏み込んだ発言を一切することができなかった。

 だが、生前退位が法整備などで一段落ついた今年ならどうか。残り2回となった「天皇誕生日」だからこそ、これまでになかった発言が飛び出す可能性はゼロではない。

 繰り返すが、「平成天皇」という名と同時に振り返られるはずの一時代は、日本が近代化以降、初めて直接的に戦争をしなかった期間である。仮に、その時代精神を祝日として位置付けるならば、国民が天皇個人の誕生をではなく、戦争を憎み平和を希求する大きな理念の誕生を、あらためて祝う日として定めるのがふさわしかろう。間違っても、かの時代を美化する目的で葬られてよいものではない。

最終更新:2017.12.22 10:07

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

新着 芸能・エンタメ スキャンダル ビジネス 社会 カルチャー くらし

12月23日祝日外しの動きは安倍の天皇敵視だ!「明治の日」で戦前回帰推進しながら護憲派天皇の足跡は抹消のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。天皇安倍晋三宮島みつや皇室の記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
ツイート数
1 安倍首相がこの緊急時に今度は百田尚樹、有本香と会食!
2 休校要請しても安倍首相は休業補償にふれず“有給を”
3 杉田水脈もコロナのなかパーティ! 櫻井よしこ、ケント、フィフィも参加
4 安倍首相の休校要請に非難殺到、コロナ対策費ケチり韓国1兆円以上なのに153億円
5 「桜を見る会」マルチ商法社長の招待は昭恵夫人の事業への資金提供の見返り
6 田崎史郎を時事通が特別扱いした理由
7 忘れるな、福島原発事故の主犯は安倍だ
8 自民党がネトサポに他党叩きを指南
9 葵つかさが「松潤とは終わった」と
10 安倍政権のコロナ基本方針に絶句!検査受けられない体制は続行
11 石破茂が安倍応援団メディアを痛烈批判
12 安倍首相が新型コロナ対応から逃げまくり! 韓国・文在寅大統領との差
13 田崎史郎がコロナ問題で「町医者は検査しろ」「熱が出て旅行いくな」
14 『スシローと不愉快な仲間たち』9 新型コロナであのコピーライターが
15 百田尚樹がなぜか告発「官邸から仕事、謝礼をもらっている保守論客」って誰?
16 クルーズ船死亡者「コロナ感染者かどうかも言えない」は安倍政権の失態隠しか
17 田崎に続き三浦瑠麗にも自民党から金
18 安倍政権の酷すぎる新型コロナ対応!「金がかかる」と検査キットを導入せず
19 安倍政権はコロナも“自己責任 韓国は生活費支援も日本は休業補償認めず
20 田崎とケントに自民党からカネが!
1 久米宏が「テレビが反韓国キャンペーンをやってる」と真っ向批判
2 安倍政権・厚労政務官が外国人在留申請で口利き「100人で200万円」
3 玉川徹がGSOMIA破棄で加熱するテレビの嫌韓煽動を批判
4 明石家さんまが吉本上層部と安倍首相の癒着に痛烈皮肉!
5 『ゴゴスマ』で今度は東国原英夫がヘイト丸出し、金慶珠を攻撃!
6 『報ステ』の“安倍忖度”チーフPがアナやスタッフへの“セクハラ”で更迭
7 『ゴゴスマ』で「日本男子も韓国女性が来たら暴行しなけりゃいかん」
8 文在寅側近の不正に大はしゃぎの一方、安倍政権が厚労政務官の口利きに無視
9 埼玉知事選で警察が柴山文科相への抗議を排除!柴山も表現の自由否定
10 安倍首相がトランプからトウモロコシ爆買い
11 菅官房長官「トウモロコシ大量購入は害虫被害対策」は嘘
12 GSOMIA破棄は安倍のせい 慰安婦合意から始まった韓国ヘイト政策
13 安倍が後に先送り財政検証の酷い中身
14 GSOMIA破棄で日本マスコミの「困るのは韓国だけ」の嘘
15 松本人志や吉本上層部批判の友近、近藤春菜にバッシング、報復か
16 『週刊ポスト』の下劣ヘイト記事は「小学館幹部の方針」の内部情報
17 GSOMIA破棄!八代・有本ら安倍応援団は「嫌なら来るな」
18 『モーニングショー』で「暑さに耐えるのが教育」元高校野球監督は右派論客
19 古市憲寿の芥川賞候補作「参考文献問題」に選考委員が猛批判
20 『関東大震災「朝鮮人虐殺」はなかった!』のデマとトリックを暴く

カテゴリ別ランキング


マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄