「イヴァンカ基金に57 億」報道はフェイクじゃない、“女性の味方”を偽装する安倍とイヴァンカこそがフェイクだ!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
abeibanca_01_20171104.png
外務省HPより


 トランプ大統領に先立って長女のイヴァンカ氏が来日。ワイドショーは大騒ぎを繰り広げているが、一方、安倍首相がそのイヴァンカ氏が主導した基金「女性起業家資金イニシアティブ」に、「57億円拠出」を表明したという報道が物議を醸している。

 安倍首相の発言があったのは、3日、イヴァンカ氏と一緒に参加した日本政府主催の国際シンポジウム「国際女性会議WAW!」でのこと。発言をうけて、毎日や産経などの新聞各紙も「首相、イヴァンカ氏基金に57億円」と一斉に報道。ネットでは、「血税をアメリカ大統領のご機嫌とりに使うのか」「国民の社会保障は削ってトランプの娘に金を出すのか」「国内では女性や子どもを切り捨てておいて、女性の味方気取りをするな」といった非難の声が次々と上がった。

 ところが、ほどなく、一部の識者やニュースサイトがこの女性起業家資金イニシアティブはイヴァンカ氏の個人的な基金ではなく、世界銀行が創設しているもので、報道は正確ではないと指摘。「57億円」と報じられた日本政府の拠出金についても外貨準備高5000万ドルがあてられ、国民の税金を使うわけではないというなどという反論がネット上に次々書き込まれた。

 そして、現在は安倍応援団がこのカウンター情報に乗っかり、後出しジャンケンで「サヨクメディアのフェイクニュースだ」「安倍ガーの連中がデマをふりまいている」などとわめきたてる状況が起きている。

 たしかに、この基金はイヴァンカ氏が発案者の一人ではあるが、7月のG20で世界各国が合意して決めたもので、イヴァンカ氏は資金や運営にもかかわっていない。日本の資金拠出もG20の直後に公表されている。

 しかし、拠出の財源について調べてみると、外務省HPの「平成30年度新規要求事業」資料では、「女性起業家資金イニシアティブ拠出金」として14億円が要求されており、会計区分は「一般会計」となっている。つまり、政府予算からこの基金に巨額の金を出そうとしているのは事実であり、報道はフェイクではないのだ。

 しかも、同基金がイヴァンカの基金で、今回、日本が来日に合わせて資金拠出を決めたという誤解が広がったのは、安倍首相がわざと誤解を招き寄せる発言をしたからだ。

元凶は安倍首相のイヴァンカ“ご機嫌取り”発言だ

 前述した「国際女性会議WAW!」では、まず、イヴァンカ氏が「アベノミクスは女性の社会進出の機会を増やすウーマノミクス」「それに力づけられて働き、成功し、指導的役割を果たしている女性は創造性、新鮮な視点、成功を経済と世界にもたらしています」などと安倍首相を絶賛。すると、それに応える形で安倍首相が「イヴァンカ氏が主導した基金を強く支持します」と宣言したうえで、この基金に日本政府が5千万ドル(約57億円)を拠出することを表明した。

 ようするに、安倍首相は、G20で決定済みで日本政府の資金拠出もそのときにすでに発表されていた基金のことをわざわざ「イヴァンカ氏主導」と表現し、日本政府の協力を強調。イヴァンカ氏のご機嫌とりに使ったのだ。こんな言い方をしたら、国民の間で非難の声が上がるのは当然だろう。

 さらに強調しておかなければならないのは、「国内では女性や子どもを切り捨てておいて、起業家支援で女性の味方気取りをするな」という国民の安倍首相に対する批判はけっして的外れではない、ということだ。

 日本ではいま、子どもの貧困が7人に1人、シングルマザーの82.7%が「生活が苦しい」と答える(厚労省の2016年調査)など、貧困に苦しむ女性と子どもの多さは先進国のなかでも圧倒的だ。さらに単身女性の貧困も問題化しており、“女性の起業”どころか、それ以前に安定した仕事や生活すらままならない女性が大勢いるのだ。

 ところが、安倍政権はこうした女性や子どもを支援する本格的な対策はほとんど打ち出していない。待機児童問題の解消は財源を理由に先送り、逆に、生活保護をはじめとする社会保障をどんどんカットしていっている状態だ。先の衆院選で解散の理由としてぶちあげていた公約の「教育無償化」も、蓋を開けてみたら、「大学在学中は無償、就職してから分割で返す」という案にすりかわっていた。

「女性が輝ける社会」どころか、安倍政権が誕生して以降、女性や子どもなどの弱者の立場はどんどん厳しくなっていっているのだ。実際、スイスの研究機関「世界経済フォーラム」が今月1日に発表した世界各国の社会進出をめぐる男女格差調査の結果で、日本は、「政治経済の面で格差が大きい」として144カ国中、114位と過去最低になった。

 こんな状況をつくりだしておきながら、イヴァンカ氏に「アベノミクスは女性の社会進出の機会を増やすウーマノミクス」などとヨイショされてやに下がっているのだから、安倍首相の無神経ぶりには呆れかえるほかはない。

 というか、そもそも、イヴァンカ氏を政府主催の女性問題を議論するシンポジウム「国際女性会議WAW!」に招いて、まるで“女性の社会進出の象徴”のように扱うということ自体がどうかしているだろう。

イヴァンカは“女性の社会進出の象徴”などではない

 日本のメディアは、イヴァンカ氏が自らファッションブランドを立ち上げ、トランプの右腕として活動することをやたらクローズアップし、「自立したキャリアウーマン」「辣腕女性実業家」などと報道しているが、アメリカのメディアでは「イヴァンカは父親の金でビジネスをしているだけ」「むしろ保守的な女性の価値観を体現している存在」という論調のほうが一般的だ。今回のシンポジウム出席についても、「イヴァンカは女性の社会進出と無関係なのになぜ」とする論調もあった。

 また、イヴァンカ氏は4月にドイツ・ベルリンを訪問、G20の各国の女性政府要人らとともに「W(ウーマン)20サミット」にも出席しているが、司会者から「あなたの役割や代表しているものは何なのか。大統領としての父親か、アメリカ国民か、それともあなたがたのビジネスか」と問うなど、大統領の娘というだけで重要ポストに就き“活躍する女性”を代表しているかの振る舞いに大きな批判の声があがった。

 さらに、ベルリンでの「W20サミット」で批判されたのが、トランプの女性に向けた数々の侮辱や蔑視発言に対するイヴァンカ氏の姿勢だ。AFPBB Newsによれば、この席上、「あなたの父が公の場で示してきた女性への態度の中には、彼が女性の地位向上を後押しする人物なのか、疑問を呈するものもあるかもしれない」と質問されたイヴァンカ氏は「家族を支え、その成長を助ける素晴らしい擁護者」「父が民間にいた数十年間、何千人もの女性たちが父と共に、そして父のために働いてきた。これは、女性の可能性とどんな男性にも劣らない職務能力を父が信じ、信頼している証拠だ」などと父親を完全擁護、そのため会場から不満と笑いの声があがった。

 ところが、安倍首相は海外ではむしろ、「女性の敵」とさえ見られているイヴァンカ氏を国賓扱いして、女性問題をテーマに開かれている国際会議に参加させ、安倍首相はわざわざ「イヴァンカさんの主導した基金を強く支持して、資金を拠出する」などと、まるで自分とイヴァンカがこのプロジェクトの中心にいるかのように宣伝をしたのだ。

 いくら“トランプの忠実なポチ”だとはいえ、よくもまあ、こんな露骨なご機嫌取りができたものではないか。

 もっとも、前述した国内政策でもわかるように、安倍首相自体、本当は「女性の社会進出」や「自立支援」などということを本気では考えているわけではない。安倍政権が実際に推進している政策を見れば、むしろ伝統的な家族観を押し付けるスタンスであることは明らかだ。そういう意味では、イヴァンカ氏とは「女性の味方」を偽装するフェイク同士として、フィーリングがぴったり合ったということかもしれない。

 そして、明日5日、今度はネトウヨ、差別主義者的な感性がぴったり合う父親のほうが来日する。娘のイヴァンカ氏にさえこんな調子だったのだから、安倍首相がこれまで以上に“トランプのポチ”ぶりを発揮するのは火を見るより明らかだろう。安倍とトランプがいったいどんなグロテスクな会話を世界に発信し、どんなとんでもない約束をかわすのか。想像するだけで恐怖である。

最終更新:2017.11.04 02:21

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

関連記事

    新着 芸能・エンタメ スキャンダル ビジネス 社会 カルチャー くらし

    「イヴァンカ基金に57 億」報道はフェイクじゃない、“女性の味方”を偽装する安倍とイヴァンカこそがフェイクだ!のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。編集部の記事ならリテラへ。

    人気記事ランキング

    総合
    ツイート数
    1 安倍首相がこの緊急時に今度は百田尚樹、有本香と会食!
    2 休校要請しても安倍首相は休業補償にふれず“有給を”
    3 杉田水脈もコロナのなかパーティ! 櫻井よしこ、ケント、フィフィも参加
    4 安倍首相の休校要請に非難殺到、コロナ対策費ケチり韓国1兆円以上なのに153億円
    5 「桜を見る会」マルチ商法社長の招待は昭恵夫人の事業への資金提供の見返り
    6 田崎史郎を時事通が特別扱いした理由
    7 忘れるな、福島原発事故の主犯は安倍だ
    8 自民党がネトサポに他党叩きを指南
    9 葵つかさが「松潤とは終わった」と
    10 安倍政権のコロナ基本方針に絶句!検査受けられない体制は続行
    11 石破茂が安倍応援団メディアを痛烈批判
    12 安倍首相が新型コロナ対応から逃げまくり! 韓国・文在寅大統領との差
    13 田崎史郎がコロナ問題で「町医者は検査しろ」「熱が出て旅行いくな」
    14 『スシローと不愉快な仲間たち』9 新型コロナであのコピーライターが
    15 百田尚樹がなぜか告発「官邸から仕事、謝礼をもらっている保守論客」って誰?
    16 クルーズ船死亡者「コロナ感染者かどうかも言えない」は安倍政権の失態隠しか
    17 田崎に続き三浦瑠麗にも自民党から金
    18 安倍政権の酷すぎる新型コロナ対応!「金がかかる」と検査キットを導入せず
    19 安倍政権はコロナも“自己責任 韓国は生活費支援も日本は休業補償認めず
    20 田崎とケントに自民党からカネが!
    1 久米宏が「テレビが反韓国キャンペーンをやってる」と真っ向批判
    2 安倍政権・厚労政務官が外国人在留申請で口利き「100人で200万円」
    3 玉川徹がGSOMIA破棄で加熱するテレビの嫌韓煽動を批判
    4 明石家さんまが吉本上層部と安倍首相の癒着に痛烈皮肉!
    5 『ゴゴスマ』で今度は東国原英夫がヘイト丸出し、金慶珠を攻撃!
    6 『報ステ』の“安倍忖度”チーフPがアナやスタッフへの“セクハラ”で更迭
    7 『ゴゴスマ』で「日本男子も韓国女性が来たら暴行しなけりゃいかん」
    8 文在寅側近の不正に大はしゃぎの一方、安倍政権が厚労政務官の口利きに無視
    9 埼玉知事選で警察が柴山文科相への抗議を排除!柴山も表現の自由否定
    10 安倍首相がトランプからトウモロコシ爆買い
    11 菅官房長官「トウモロコシ大量購入は害虫被害対策」は嘘
    12 GSOMIA破棄は安倍のせい 慰安婦合意から始まった韓国ヘイト政策
    13 安倍が後に先送り財政検証の酷い中身
    14 GSOMIA破棄で日本マスコミの「困るのは韓国だけ」の嘘
    15 松本人志や吉本上層部批判の友近、近藤春菜にバッシング、報復か
    16 『週刊ポスト』の下劣ヘイト記事は「小学館幹部の方針」の内部情報
    17 GSOMIA破棄!八代・有本ら安倍応援団は「嫌なら来るな」
    18 『モーニングショー』で「暑さに耐えるのが教育」元高校野球監督は右派論客
    19 古市憲寿の芥川賞候補作「参考文献問題」に選考委員が猛批判
    20 『関東大震災「朝鮮人虐殺」はなかった!』のデマとトリックを暴く

    カテゴリ別ランキング


    マガジン9

    人気連載

    アベを倒したい!

    アベを倒したい!

    室井佑月

    ブラ弁は見た!

    ブラ弁は見た!

    ブラック企業被害対策弁護団

    ニッポン抑圧と腐敗の現場

    ニッポン抑圧と腐敗の現場

    横田 一

    メディア定点観測

    メディア定点観測

    編集部

    ネット右翼の15年

    ネット右翼の15年

    野間易通

    左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

    左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

    赤井 歪

    政治からテレビを守れ!

    政治からテレビを守れ!

    水島宏明

    「売れてる本」の取扱説明書

    「売れてる本」の取扱説明書

    武田砂鉄