「イヴァンカ基金に57 億」報道はフェイクじゃない、“女性の味方”を偽装する安倍とイヴァンカこそがフェイクだ!

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元凶は安倍首相のイヴァンカ“ご機嫌取り”発言だ

 前述した「国際女性会議WAW!」では、まず、イヴァンカ氏が「アベノミクスは女性の社会進出の機会を増やすウーマノミクス」「それに力づけられて働き、成功し、指導的役割を果たしている女性は創造性、新鮮な視点、成功を経済と世界にもたらしています」などと安倍首相を絶賛。すると、それに応える形で安倍首相が「イヴァンカ氏が主導した基金を強く支持します」と宣言したうえで、この基金に日本政府が5千万ドル(約57億円)を拠出することを表明した。

 ようするに、安倍首相は、G20で決定済みで日本政府の資金拠出もそのときにすでに発表されていた基金のことをわざわざ「イヴァンカ氏主導」と表現し、日本政府の協力を強調。イヴァンカ氏のご機嫌とりに使ったのだ。こんな言い方をしたら、国民の間で非難の声が上がるのは当然だろう。

 さらに強調しておかなければならないのは、「国内では女性や子どもを切り捨てておいて、起業家支援で女性の味方気取りをするな」という国民の安倍首相に対する批判はけっして的外れではない、ということだ。

 日本ではいま、子どもの貧困が7人に1人、シングルマザーの82.7%が「生活が苦しい」と答える(厚労省の2016年調査)など、貧困に苦しむ女性と子どもの多さは先進国のなかでも圧倒的だ。さらに単身女性の貧困も問題化しており、“女性の起業”どころか、それ以前に安定した仕事や生活すらままならない女性が大勢いるのだ。

 ところが、安倍政権はこうした女性や子どもを支援する本格的な対策はほとんど打ち出していない。待機児童問題の解消は財源を理由に先送り、逆に、生活保護をはじめとする社会保障をどんどんカットしていっている状態だ。先の衆院選で解散の理由としてぶちあげていた公約の「教育無償化」も、蓋を開けてみたら、「大学在学中は無償、就職してから分割で返す」という案にすりかわっていた。

「女性が輝ける社会」どころか、安倍政権が誕生して以降、女性や子どもなどの弱者の立場はどんどん厳しくなっていっているのだ。実際、スイスの研究機関「世界経済フォーラム」が今月1日に発表した世界各国の社会進出をめぐる男女格差調査の結果で、日本は、「政治経済の面で格差が大きい」として144カ国中、114位と過去最低になった。

 こんな状況をつくりだしておきながら、イヴァンカ氏に「アベノミクスは女性の社会進出の機会を増やすウーマノミクス」などとヨイショされてやに下がっているのだから、安倍首相の無神経ぶりには呆れかえるほかはない。

 というか、そもそも、イヴァンカ氏を政府主催の女性問題を議論するシンポジウム「国際女性会議WAW!」に招いて、まるで“女性の社会進出の象徴”のように扱うということ自体がどうかしているだろう。

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