「産経新聞」が過去に森友学園・籠池理事長を礼賛、軍国教育を大宣伝! ステマ並み大量“提灯記事”の記録

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産経新聞社HPより


 10日夕方、記者会見を開いた渦中の森友学園理事長・籠池泰典氏。会見では延々とマスコミ批判を繰り返し、数々の疑惑についてまともな説明は皆無。これで幕引きにしてはならないのは言うまでもない。だが、そんな茶番会見のなか、「おやおや?」と思わされたのは、籠池理事長らがいつもの朝日新聞批判に加えて、“政権の広報紙&極右勢力機関紙”こと産経新聞への批判を始めたことだ。

「産経新聞さんの記事の方は、後追いでこられたから、あまりにもヒドいような状態になっていました」
「(産経新聞が)大阪弁で言うとエゲツないような報道をされるということは、これは、朝日新聞さんのやり方とあまり変わらないんではないかなあというふうに思ったことがあります。(私は)辛かったですね!! 非常に!!」

 ようするに、“産経は仲間だと思ってたのに、なんで朝日の後追いするの? ヒドくない!?”との逆恨みである。

 しかも、その仲間意識はいまもあるようで、その後の質疑応答の際に、同席した籠池理事長の長男・佳茂氏とともに、「朝日はもういい!」「朝日はダメ!」と朝日の質問をさえぎって、「産経さんはおられないんですか? 産経さんは!」と産経記者を探す一幕もあった。

 いずれにせよ、籠池理事長らは産経新聞だけは自分たちを評価してくれる“仲間”“お友達”だと思ってきたのは間違いないだろう。

 しかも、それは誤解でもなんでもない。産経は、今でこそしれっと他メディアに混じって批判的な記事を書いているが、これまで森友学園と籠池理事長に対して、それこそ賞賛と大宣伝を繰り広げてきたからだ。

 よく知られているのは、ウェブ版の「産経ニュース」が配信した「安倍首相夫人・アッキーも感涙…園児に教育勅語教える“愛国”幼稚園」(2015年1月8日付)という記事だろう。〈「教育勅語」や「五箇条の御誓文」の朗唱、伊勢神宮への参拝・宿泊…。大阪市淀川区に超ユニークな教育を園児に施している幼稚園がある〉と切り出して、安倍昭恵夫人の同園訪問の模様をレポート。〈あどけない幼児が大きく口をあけ、難しい言葉を朗唱する姿を初めて見た人は一様に驚き、感動する〉と絶賛し、小学校新設計画も好意的に紹介。籠池理事長が持論を展開するコメントをふんだんに記事に取り入れ、大いに宣伝していた。

 もちろん、これだけではない。あらためて産経の大阪版の紙面を調べてみると、出るわ出るわ、森友学園と籠池理事長を礼賛する“提灯記事”の数々が。

 たとえば、16年6月29日付では籠池理事長のインタビュー記事を掲載。〈礼節を尊び、愛国心と誇りを育てる教育に力を注ぐ〉〈「社会のために正しいことなら、迷わず邁進してほしい。それが日本を変えていく原動力にもなる」と力を込める〉〈「この国の素晴らしさを知り、日本人の誇りを持って世界を牽引できる人材を育てたいですね」。そう目を輝かせた〉などと、えらくヒロイックに書いていた。

 また、塚本幼稚園や系列の「南港さくら幼稚園」(現在閉園)の授業内容を好意的に紹介する産経の記事は枚挙にいとまがない。両園の論語教育を取り上げた記事では〈教室をのぞくと、年長組の園児20人が和とじ風の教科書を開き、きちんと正座している。背筋をぴんと伸ばし、まるで江戸時代の寺子屋のような雰囲気だ〉(07年10月20日付大阪版)と持ち上げ、将棋授業の紹介では〈篭池園長は「将棋をするようになって、子供たちの姿勢がよくなり、集中力も増した」と話した〉(03年10月21日付大阪版、原文ママ)と紙面を割いた。ラグビーを体育教育に取り入れていることもアピールしていた(02年1月30日付大阪版)。

 他にも、地方欄には他紙でまず見られない“森友エピソード”が満載だ。園児らが米領事館に七夕飾りをプレゼントした話(05年7月1日付)、幼稚園に力士を呼んで交流した話(04年3月3日付)、府警の防犯教室に参加した話(03年5月24日付)、挙句、園児たちが〈北朝鮮による拉致事件解決へのシンボルとされているブルーリボンを胸につけ、パレードや演奏などを披露〉(02年11月30日付)した話……などなど。これ、もしかして“ステマ”じゃないの?と勘ぐられてもしかたがないほどである。

 いずれにせよ、産経新聞はこうしたヨイショ記事を連発し、籠池氏の人柄や教育方針を大絶賛、“森友いいトコ一度はおいで”とばかりに吹聴してまわっていた。それは動かざる事実だ。普通の感覚なら今ごろ、恥ずかしくって押し黙っていてもおかしくはないが、そこはさすがの産経新聞と言うべきか。

 周知のとおり産経は、朝日の従軍慰安婦報道に対して“「女子挺身隊」と意図的に混同させた”“強制連行は朝日が書いたことで広まったウソ”などとがなりたて、散々朝日バッシングを展開している。だが、本サイトでも以前指摘したが、実のところ産経は、自社の記事で「挺身隊」と慰安婦を同一視して報じ、さらに〈無理やり軍用トラックに押し込んで〉などと書いていた。ちなみに、産経が攻撃する元朝日記者の植村隆氏の記事には「騙されて慰安婦にされた」と書かれており、「強制連行」や「軍」という言葉はひとつも出てこない。つまり“日本軍によって強制連行された”というフレーズは、朝日ではなく産経が広めたものだったのである。

 また、これも本サイトで指摘したが、産経は南京事件について“中国が宣伝する被害者30万人は大ウソ”などと吠えている。しかし、これも実は過去に〈犠牲者は三十万人とも四十万人ともいわれ〉と自社記事で書いており、むしろ現在中国側が主張する数字よりも10万人も多く報じていたのだ。

 ようするに、自社報道を厚顔無恥にも棚に上げるのは、もともと産経新聞のお家芸なのである。おそらく、今回の森友学園をめぐる過去の自社報道に対する感覚も、そういうノリなのだろう。もちろん、本サイトは別に「こんなトンデモ学校法人を宣伝してきた産経は記事を撤回しろ!」などと、どこかの極右新聞みたいなことを言うつもりはないが、それにしてもこれは調子が良すぎるだろう。ある意味、籠池理事長がキレるのも無理はない。

 だが、それはなにも産経新聞に限ったことではない。これまで森友学園を散々礼賛してきた政治家や文化人も同様なのだ。彼らは塚本幼稚園で講演し、HPにも熱烈な推薦文を寄せていたにもかかわらず、問題が発覚するや否や、無関係を装ったり問題をすり替えたり、あるいは一転して籠池理事長を批判している。念のため、塚本幼稚園で講演した連中の一部を列挙しておくと、百田尚樹、青山繁晴、竹田恒泰、中山成彬、櫻井よし子、渡部昇一、中西輝政、曽野綾子、そして田母神俊雄……。もはや“極右芸人”と呼ぶ他ないだろう。

 しかし考えてもみれば、産経新聞がそうであるように、こうしたせわしない手のひら返しこそが、彼ら極右芸人たちの十八番なのかもしれない。とすれば、今回の森友学園問題は、今の日本で「保守」を名乗る連中がいかにインチキで、欺瞞にまみれているかを証明したことになるだろう。

 少なくとも、すでにほとんどの国民は「日本のために頑張っている」と嘯く籠池理事長の“本性”に気がついているはず。しかし、その“本性”は同じような主張をがなりたてている産経新聞にも極右芸人たちにも、そして安倍首相にも存在している。そのことをぜひ認識してほしい。
(編集部)

最終更新:2017.11.21 01:08

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