百田尚樹と週刊新潮が『カエルの楽園』の書評を載せない新聞を批判! でも新潮社の雑誌でも書評はゼロだった(笑)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
hyakutanaoki_160911.jpg
ニコニコ動画「百田尚樹チャンネル」より


 今年7月、「二度と書けない本」と豪語していたノンフィクション『殉愛』(幻冬舎)がプライバシー侵害や名誉毀損にあたるとして東京地裁に認定された百田尚樹氏。判決が出る前の3月に証言台に立った際も、取材を怠った事実を開き直り、逆ギレさえしてみせた百田氏だが、今度は別の著作をめぐって怒り心頭であるらしい。

 それは、今年2月に発売された小説『カエルの楽園』(新潮社)の件。現在、同書は27万部を売り上げているというが、“書評が載らない!”と怒っているのである。

 そんな百田氏の思いを代弁するかのように、『カエルの楽園』の版元である新潮社が発行する「週刊新潮」(新潮社)が、「大ベストセラーの書評を載せない「大新聞」のご都合」なる特集を掲載した。

 この「週刊新潮」の記事は、〈紛うことなき大ベストセラーながら、なぜか大新聞の書評に“黙殺”され続けている作品がある〉といい、同社刊行の橘玲『言ってはいけない』とともに『カエルの楽園』を紹介。〈発売から4カ月遅れで産経新聞が載せた以外、新聞紙面に書評は見当たらない〉と訝しがるのだ。

 もちろん、記事中には百田氏も登場し、こんな主張をしている。

「僕も一応、ベストセラー作家の端くれですから、これまでは新刊が出てれば多数の書評が載り、著者インタビューのオファーがいくつもありました。ところが、『カエルの楽園』に関しては書評も、そして、取材依頼もほぼ皆無でした。アマゾンのレビューはすでに750件を超えているのに、ですよ」

 そして「週刊新潮」は、ベストセラーだというのに書評を載せない新聞に対し、〈事なかれ主義の産物〉〈あくまで優先されるのは自分たちの“ご都合”〉〈大新聞は“問題作”をまともに論じられないような状況にあるのだ〉と息巻くのである。

 4ページも使って何を主張しているかといえば、『カエルの楽園』は新聞社にとってイデオロギー的に不都合だから、書評を載せずに黙殺している!と言いたいらしい。

 いやはや、百田氏が不憫すぎてかける言葉も見つからないが、“裸の王様”の氏には進言する編集者もいないのだろうから、代わりに本サイトが教えてさしあげよう。

 別に新聞社や書評委員が自分たちの“ご都合”で『カエルの楽園』を黙殺しているのではなく、理由はじつに単純。ふつうの良識をもちあわせていれば、この作品を「文芸作品」とは見なさない。『カエルの楽園』はたんなる「プロパガンダ」であって、どんなに売れていても大川隆法の本が書評に出ないのと同じで、批評に値しないと判断しているだけだ。

 本サイトは『カエルの楽園』の書評を載せた数少ないメディアのひとつだが、同書の内容をあらためて紹介すると、寓話だというエクスキューズのもとに、ウシガエルの見立てた中国人や韓国人を「根っからの嘘つきだ」とヘイトスピーチを投げつけたり、安保法制反対派を稚拙で愚かしいカエル、安倍首相と思しきキャラを勇敢なカエルとして描き、挙げ句、最後には平和を唱えた結果、日本人は大虐殺されて国が滅ぶという、「ネトウヨの妄想をお話にしてみました!」という域を出ない作品だ。

 なにも本サイトは政治的スタンスの違いから百田氏憎しでこんなことを書いているわけではない。書評家の豊崎由美氏も、「TV Bros.」(東京ニュース通信社)の書評連載で同作を取り上げ、〈げんなりするほど一方的な寓意しかないこんな低レベルな読み物は、とても寓話とは呼べず、たんなるプロパガンダ〉と“メッタ斬り”にしている。

 だいたい、政治的には百田氏と同様のスタンス、バリバリの改憲派である読売新聞だって書評を出していないわけで、その時点で新聞社の“ご都合”だの“事なかれ主義”だのとは何の関係もないことがわかるだろう。

 しかも、もうひとつ百田氏に現実を突きつけてさしあげると、『カエルの楽園』を“無視する”この姿勢は同書の発行元である新潮社も同じなのだ。

 新潮社には、「新潮」「小説新潮」「新潮45」「yom yom」「波」といった文芸誌やオピニオン誌があり、それぞれ書評コーナーが設けられている。だが、これらの雑誌のバックナンバーを目を皿のようにしてチェックしてみても、『カエルの楽園』の書評はただの1本も見つけることができなかった。

 それどころか、「『カエルの楽園』を黙殺するとはけしからん!」といっしょになって鼻息を荒くしている当の「週刊新潮」ですら、書評コーナーで『カエルの楽園』をこれまで一度も取り上げていないのである。

 ちなみに、先に挙げた新潮社の雑誌で『カエルの楽園』が取り上げられたのは、「波」3月号が掲載した刊行記念の著者インタビューと、「週刊新潮」5月26日号に百田氏が寄稿した「トランプ大統領誕生で『カエルの楽園』が予言の書になる日」という記事、「新潮45」5月号に掲載された「百田尚樹『カエルの楽園』サイン会 爆破予告顛末記」という記事のみ。しかもこの「新潮45」の文責は「出版部担当N」とあり、これは『カエルの楽園』の担当編集者である中瀬ゆかり氏のことだろう。つまり、本人と担当編集者しか本の紹介をしていないのである。

 書評に載せないのはおかしい!とがなり立てる雑誌の発行元が書評コーナーで取り上げていないという現実、それこそが『カエルの楽園』の評価を物語っているだろう。実際、本サイトは以前、この本を取り上げた際に、複数の新潮社の文芸編集者に意見を聞いたが、全員、困惑顔で「あれは小説じゃないでしょう」「あんなものを出して本当は恥ずかしい」と語っていた。今回の「週刊新潮」の記事だって、おそらく編集者がやりたくてやった記事ではないだろう。百田センセイは被害妄想をいい加減にして、この現実をきちんと認識したほうがいい。

 それでも百田氏がどうしても文芸作品として認めてほしいというのなら、中瀬氏に頼んで新潮社が勧進元の山本周五郎賞に『カエルの楽園』を候補作にしてもらえばいい。選考委員である作家たちからどんな批評が飛び出すかは火を見るよりも明らかだが、本サイトとしてもぜひ選評を読んでみたいものだ。

 あ、もちろん、以前、山周賞候補になった『海賊と呼ばれた男』のときのようにノミネート辞退、なんて逃げ方はナシですよ?
(編集部)

最終更新:2017.11.24 06:48

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

新着 芸能・エンタメ スキャンダル ビジネス 社会 カルチャー くらし

百田尚樹と週刊新潮が『カエルの楽園』の書評を載せない新聞を批判! でも新潮社の雑誌でも書評はゼロだった(笑)のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。殉愛百田尚樹編集部週刊新潮の記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
ツイート数
1 投票呼びかけに松本人志が「軽い感じで行かれても」と投票抑圧発言
2 菅田将暉らの「投票呼びかけ動画」参加のローラに差別丸出しのバッシング
3 小室圭さんをとにかく糾弾したいワイドショーの事実歪曲とグロテスクな差別性
4 眞子内親王をPTSDにした小室圭さんバッシングの裏にある差別的本質!
5 安倍、甘利、麻生、山口が立憲と共産党へのデマ攻撃!
6 佳子内親王の「姉の一個人の希望を」に批判殺到はおかしい
7 玉川徹が『バイキング』の小室圭さんバッシングの嘘を批判!
8 Dappi運営会社社長が、“安倍の懐刀”元宿自民党事務総長の親族の土地に家を
9 甘利幹事長に「闇パーティ」広告塔疑惑
10 葵つかさが「松潤とは終わった」と
11 維新の野党共闘ディスが悪質!吉村知事も“暴言王”足立康史と一緒に
12 Dappi運営企業と取引報道の自民党ダミー会社は岸田、甘利が代表の過去
13 田崎史郎ら御用が垂れ流す「安倍さんは人事に不満」説の嘘,
14 山口敬之の逮捕をツブした中村格の警察庁長官就任に広がる抗議!
15 大阪医療崩壊でも吉村知事が緊急事態宣言の要請を遅らせた理由
16 千原せいじの不倫をなぜか賛美するワイドショーの男尊女卑
17 美輪明宏がNHKで「『芸能人が政治に口を挟むな』なんて時代遅れ」
18 甘利明が「スマホは日本の発明」「消費税の使途は社会保障に限定」の嘘
19 『ひるおび!』出演者のバービーが番組の野党の扱いに疑問!
20 伊藤詩織さんをカルバン・クライン出演に称賛の声! 
1 Dappi運営企業と取引報道の自民党ダミー会社は岸田、甘利が代表の過去
2 甘利明が「スマホは日本の発明」「消費税の使途は社会保障に限定」の嘘
3 安倍、甘利、麻生、山口が立憲と共産党へのデマ攻撃!
4 ネトウヨDappiと自民党の関係が国会で追及されるも岸田首相はゴマカシ
5 Dappi運営会社社長が、“安倍の懐刀”元宿自民党事務総長の親族の土地に家を
6 菅田将暉らの「投票呼びかけ動画」参加のローラに差別丸出しのバッシング
7 維新の野党共闘ディスが悪質!吉村知事も“暴言王”足立康史と一緒に
8 岸田首相の解散直前『報ステ』単独出演に「放送の中立性欠く」と批判殺到!
9 投票呼びかけに松本人志が「軽い感じで行かれても」と投票抑圧発言
10 辻元清美が自らの不正への対応を語って甘利明に説明要求!
11 岸田首相に「話が長くて中身がない」「何を言いたいのかわからない」と悪評
12 安倍晋三が杉田水脈の名簿順位を上げ、あの初村元秘書の公認ゴリ押し

カテゴリ別ランキング

マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄