参院選を前に女性たちが安倍政権に危機感…ファッション誌「LEE」も「自民党に改憲を許す」危険性を警告

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「LEE」(集英社)2016年7月号

 福島原発事故や安保法制議論をきっかけに、女性週刊誌や女性ファッション誌で頻繁に社会派記事が掲載されるようになったが、その流れは今でも健在なようだ。

 30代ママ層を主なターゲットにしたファッション誌「LEE」(集英社)の7月最新号では、「『憲法』『育児・待機児童』問題 もしあなたが投票に行かなかったら……再び」という、参院選を見据えて11ページもの大ボリュームで政治特集を組んでいる。

「LEE」といえば、これまでも度々、憲法や政治関連の特集を組んでおり、今年2月号でも「もし、あなたが投票に行かなかったら……」という選挙関連特集を掲載し大きな話題となった。今回はその第二弾というわけだが、第一弾同様、その内容は安保法制、憲法改正、そして待機児童問題など政治に関する様々な問題に切り込んだものだ。

「気軽に政治にかかわってほしい。そうした声をしっかり届ければ、社会を変えるパワーに必ずなります」

 冒頭、「LEE」読者に選挙について“講義”するのは政治学者の岡田憲治氏だ。岡田氏はママ世代の政治や選挙について分かりやすく解説していく。例えば「自分が1票を投じただけでは何も変わらない、意味がない」と思っている読者の疑問に、こう答えている。

「現在の小選挙区制度は、一票の価値ってとても大きいんです。
 例えば09年の衆院選。その前の選挙で圧倒的人気を誇った小泉内閣が獲得した多数の議席を民主党が奪い、政権交代が実現した。これって実は、いつも自民党に投票していた人のわずか10%前後の人が民主党に入れたから、政権がひっくり返ったと言われているんです。『最近の自民党は感心しないから、お灸を据えよう』と思ったのか、それくらいの人の支持が変わっただけです」

 その上で、投票にいかないことがどんな意味をもつかについても、丁寧に解説していく。

「投票しないということは『現状に不満はない』という『黙認』を意味します。仮に現在の与党に対して不満があったとしましょう。もし投票しなかったら、今の制度では『現状のままでよい』と見なされます。(略)不満を持っている党や依頼な候補者を応援することになっちゃうわけです」
「無投票は『ただ投票しなかった』だけでなく、まして『抗議』の効果なんてなく、『投票に行った人への賛成』を意味する。この点は知っておいてほしいです。前回の衆院選で与党第一党に投票した人は、比例で全有権者の17%、小選挙区で約25%です。もし今の政治に不満があるならば、投票に行かないことは、この人たちに、いろんなことを丸投げするということなんです」

 また、一人では無力感があるという質問に対して、PTAやサッカーチームでもいい、意見をもち寄って調整し、仲間をつくり、増やすことが「政治」であり、またSNSを活用して政治の情報収集することも可能だと“身近な政治”を提案している。

 さらに、投票のために“知っておくべきこと”として「改憲」の問題が取り上げられているが、ここでは安保法制、集団的自衛権の憲法解釈などについて、憲法学者の木村草太氏による具体的な危険性が提示される。

 例えば、昨年成立した安保法制で何が変わるかとの質問に、木村氏はこう答えている。

「安保法制というより“自衛隊海外活動拡大法”と呼ぶべきでしょう。(略)自衛隊がこれまで以上に危険な状況に陥り、戦闘で死者が出る可能性が高くなるということです。この法律が通ってしまった背景には、日本人が外国の紛争解決に“貢献”しない点に対する後ろめたい気持ちがあると思います。その後ろめたさが安保法制について真正面から考えさせないでいる。それは自衛隊の活動を拡大した政府にとっては“都合のいい無関心”になります」

 また、緊急事態条項についてもこう説明する。

「戦争や災害時に緊急事態を宣言して政府が一時“独裁”するとの条項です。(略)自民党草案の緊急事態条項は、三権分立や基本的人権を停止する効果まで定められています。とても危険な内容で、とうてい許容することはできません」

 他にも、少子化はそこに予算をかけない政府の政策ミスであり、自然発生ではなく人為的なもので、子育て世代は声を上げるべきだといった内容や、自民党・木村弥生議員と民主党の山尾志桜里議員のインタビューを並列して掲載するなど、力の入った特集となっている。

「LEE」は2014年12月号でも「母親たちの初めての憲法特集」という企画を組んでいるが、実際にこうした硬派な記事は読者にも好評を得ているという。それは翻れば、現在の政治状況に多くの女性が危機感をもっていることの証明なのだろう。

 舛添要一都知事問題などのセコい話だけでなく、こうして幅広く政治的関心をもち、同時に権力に対する危機意識をもつ。それが政治に関わる第一歩だ。
(伊勢崎馨)

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