安倍首相「私は立法府の長」発言だけじゃない! 都合の悪い議事録を次々改ざんする安倍政権の危険性

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安倍晋三公式サイトより


 またも安倍政権が議事録に“勝手な修正”を行ったことが発覚した。

 先月5月16日に開かれた衆院予算委員会で、安倍首相は民進党の山尾志桜里政調会長の質問に対し、「議会についてはですね、私は立法府、立法府の長であります」と答弁。言わずもがな、安倍首相は「行政府の長」であって、総理大臣とは思えない無知っぷりを露呈させたが、議事録ではこれが「議会については、私は行政府の長であります」と修正されているのだ。

 ちなみに、安倍首相はこの答弁のなかで「国会は国権の最高機関として誇りをもってですね、いわば立法府とは、行政府とは別の権威としてどのように審議をしていくかということについては、各党各会派において議論をしているわけでございます」とも答弁していたが、この部分も「いわば行政府とは別の権威として」と、議事録から立法府発言が削除されている。

 もともと何が言いたいのかさっぱりわからない答弁ではあったが、それでも議事録とは“そのままの発言”が残されなくては意味がない。しかも、本サイトで追及したように、この安倍首相による「立法府の長」発言は、たんなる言い間違いなどではなく、三権分立さえ軽んじる安倍首相の本質が露わになった事案だ。議事録から発言を削除する場合、与野党代表者の合意が必要になるが、この修正にどのような手続きがあったかは不明。だが、勝手に修正したとなれば、“歴史の改ざん”にほかならない。

 しかし、安倍政権にとって、議事録の改ざんはいまにはじまった話ではない。昨年9月17日に開かれた参院平和安全法制特別委員会では、安保法制を採決させるために、自民党議員が鴻池祥肇委員長を“人間かまくら”で取り囲み、ヒゲの隊長こと佐藤正久自民党筆頭理事などは抗議する野党議員に暴力さえ振るった。そのような、何が起こっているのか誰にもわからない状態で法案を強行採決させてしまったことは記憶に新しい。

 とても民主的な手続きとは思えない下劣な方法で採決されてしまった安保法案だが、当然、参院事務局が作成した未定稿の議事録でも「速記中止」と記され、鴻池委員長の発言は「……(発言する者多く、議場騒然、聴取不能)」となっていた。

 だが、同年10月に公表された議事録では、「委員長復席の後の議事経過は、次のとおりである」という説明書きが加えられ、「質疑を終局した後、いずれも可決すべきものと決定した。なお、(安保法制について)付帯決議を行った」と、本来なら委員会で読み上げられなくてはいけない付帯決議までもが議事録に記載されていた。もちろん、委員会当日のVTRを何度見返しても、鴻池委員長が付帯決議を読み上げている声などまったく聞こえない。この議事録と現実の委員会の様子が大きくかけ離れているのは一目瞭然である。

 安倍首相はこの改ざん問題について、「参院の運営だから参院で決めている」と説明したが、野党は無論、この議事録に反発。合意など得られていないまま“公式発表”とされてしまったのだ。

 さらに、同じく安保法制をめぐる国会審議の場で質問を行うなかで、社民党副党首の福島瑞穂議員が「戦争法案」と発言(15年4月1日参院予算委員会)したことにも、自民党は議事録修正を要求。福島議員は、「戦争法案」について〈安倍総理と私は、戦争法案という言葉をめぐって議論をしており、これを他の言葉に置き換えたら、議論そのものが成り立ちません。削除や修正要求には応ずることは、できません〉と反論し、実際に議事録には「戦争法案」の発言は修正されることなく残ったが、こうした発言の削除・修正の要求が出てくること自体が、自民党の歴史修正主義、議論を封じ込めようとする姿勢をよく表している。

 このように、政権に都合の悪い話が議事録から削除され、言い換えられれば、どんな議論が行われたかはおろか、いかに醜いやり方でも法的手続きを踏んだと事実をねじ曲げられる。安保法制がそうだったように、どんな暴走だって後付けで許されていくだろう。

 たとえば、ジョージ・オーウェルのディストピア小説『1984年』では、歴史の改ざんを国家が主導して行い、主人公ウィンストン・スミスは議事録などの記録を体制側の都合のいいように修正する役割を負っていた。当然ながらその国には改ざんされた歴史しかなく、それが正しいものなのか検証することもできない。──このままこの国が議事録の改ざんを日常茶飯事として行うようになれば、その先には、『1984年』のような世界が待っているはずだ。
(水井多賀子)

最終更新:2017.12.05 09:58

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