あ然!『バイキング』で坂上忍、土田晃之、東国原英夫が「体罰は必要」と堂々主張! 体罰の美化は第二の暴力だ

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フジテレビ『バイキング』オフィシャルサイト出演者ページより


 4月より放送時間が延長されたフジテレビの『バイキング』。だが、先週金曜日、同番組で信じがたいトークが繰り広げられた。

 それは、大阪市東住吉区の小学校で発覚した、30代教諭による小学5年生男児への暴力と「これでクビになったら許さへんからな」と恫喝発言を行っていた事件を取り上げた際に起こった。このニュースをピックアップしたのは芸人の土田晃之だったが、土田は「ビックリしましたね」と言ったあと、こうコメントした。

「僕ら悪いことしなかったら(教師は)ゲンコツなんてくれないんで、やった俺らが悪いからゲンコツくれてるんだってわかってた」
「まったく体罰とかない、体罰って言い方もよくないのかな、怒るときに手を出さない先生もいたんですよ。口だけで叱ってくれる先生。でも、そういうときってね、意外にね、学級崩壊近くなってたんですよね」

 土田はこの教師の恫喝はよくないと述べたが、そもそもの暴力自体は“愛のムチ”と捉え、手を出す教師を肯定。そして、土田と同様に「体罰って言葉自体が好きじゃない」と言い出したのは、司会の坂上忍だ。

「普通に先生にひっぱたかれてた世代としてはね、今回の問題は別にしてね、先生も両手両足を縛られているようななかで頑張ってらっしゃると思うのよ」

 さらに、自身の中学時代を「やっぱ金八先生ど真ん中で、まあすごい荒れてたのよ」と振り返り、このようにつづけた。

「この年になって思ったら、俺がいま先生になって、あのときの俺みたいな生徒がいたら、そりゃ蹴っ飛ばすよね。そういう気になっちゃうもん。だって蹴っ飛ばさないとわかんない奴っているから」

 また、東国原英夫も、「体罰、暴力っていうのは、教育的指導と恣意的な暴力っていうのと二つに大きく分かれる」「この問題は、恣意的な問題」とし、こう話した。

「教育の問題だと、土田くんが言ったように先生と生徒の信頼関係の問題。先生を信頼して、この先生がゲンコツ、あるいはビンタをしたのは、この先生は僕のことを、私のことを思ってしてくれたんだっていう信頼関係が成立していた時代があった。いつからか、この信頼関係が壊された。信頼できないですよ」
「言葉で言って聞かない場合に、痛みをもって知らせるっていうのは、僕は肯定派じゃないんだけど、これは仕方がない。愛のムチなんじゃないかなって思える部分もあるんだよね」

「蹴らないとわからない奴がいる」と言う坂上に、「ビンタされてもそこに愛があるなら、それは教育的指導」と言う東国原……。このほか、雨上がり決死隊の宮迫博之も「話だけ聞くと先生のほうがすごい悪いように聞こえますけど、本当はどうなのかなっていうのが実際わからないので。どこまでその生徒の子は言うことを聞かなかったのか」と述べるなど、スタジオの流れは完全に“体罰容認”となっていったのだ。

 はっきり言って、圧倒的に力が強い者が暴力によって言うことを聞かせるという行為に、良し悪しなどあるはずがない。だいたい、この事件で児童が死亡、あるいは教師からの恫喝によって自殺をはかっていたら、それでも彼らはこんな話をしただろうか。

 このように、体罰を原因にした死亡事件や生徒の自殺問題がどんなに起こっても、一向になくならない「体罰は必要」論。そればかりか、「ゲンコツをくれた先生はじつは人気者だった」(土田)、「軍人上がりみたいな怖い先生がいちばん好きだった」(坂上)など、美化さえしていた。

 だが、体罰に対するこうした“語り”があるからこそ、体罰はなくならないのだ。体罰問題を長く取材してきたノンフィクション作家・藤井誠二は、著書『体罰はなぜなくならないのか』(幻冬舎新書)で、こう綴っている。

〈授業中や運動部の活動の中で体罰を受けて育った大人たちは、時間が経つにつれてその経験を楽しかった思い出として美化し、それが世論を形成する。そのとき、今この瞬間に体罰を受けている子どもたちの苦しみは置き去りにされている〉
〈体罰を容認・肯定する語りには、常に殴る側の視線しかなく、殴られる側のそれがない。同じ程度の体罰を受けても何も感じない子どももいれば、深く心に傷を負う子どももいる、感受性は人によって異なるという自明の理も排除されている〉

「殴られたけれどいい先生だった」という“体験談”は、すべての人に当てはまらないし、それを子どもに押し付けるのは、第二の暴力と言ってもいい。しかし、なぜ暴力の記憶が「美化」されてしまうのか。この点も藤井氏は言及している。

〈体罰を受けた子どもたちが、それでも体罰をふるう教師を「いい先生」だと言う。それは、殴られるときは辛く、嫌だったし、また殴られることに恐怖を感じているのだが、それをクリアした、耐え抜いたという経験を経ることでとらえ方が逆転するからだ。理不尽な体罰や暴言に耐え抜いてきた自分をほめ、耐えたことは間違いではなかったと考える。と同時に、自分のためを思ってやってくれる「愛の鞭」だったんだと、心身が拒否していた「体罰」がとたんに美化される〉

 ここに、成績が伸びたりスポーツ競技で勝利するなどの“成功体験”が加わると、さらに「美化」は進む。だが、その“成功”とは、暴力や恫喝という恐怖によって支配した結果、必ず生まれるものではない。そればかりか、その暴力は再生産されつづけていく。現に、女子柔道や相撲部屋で横行してきた暴力事件などにも顕著なように、指導という名の暴力を受けてきた者はさらに下の人間にそれを繰り返し、隠蔽され、相撲部屋では暴行死という最悪のケースにいたっている。

 自分は乗り越えたから、あるいは自分の青春の思い出を否定されたくないから。そんな理由で体罰を認めることは、藤井氏の指摘にもあるように、“いま、体罰を受けている子どもたちの苦しみを置き去りにしている”ということだ。そのことの意味を、土田や坂上、東国原、宮迫らには考えてもらいたいが、もうひとつ、同書から指摘しておきたいのは、〈そもそも、学校における体罰が是か非かなどと議論をしているのは日本ぐらいである〉という点だ。

〈海外では、学校内における体罰は子どもへの虐待と見なされる。そして世界では、今や体罰禁止の焦点は「家庭」に当てられている。保護者でさえ子どもに対する体罰が禁止される方向にあるのだ〉

 学校内の体罰は虐待。この認識は、一体いつになったらこの国に根付くのだろうか。
(田岡 尼)

最終更新:2017.11.24 09:50

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