翁長知事が「辺野古埋立て」承認取り消しも、政府は工事続行!

「戦争中も今も沖縄は本土の犠牲になり続けている」安倍首相と菅官房長官は宮沢和史が「島唄」に込めた思いを聴け!

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「宮沢和史オフィシャルウェブ」より


 今日、沖縄県の翁長雄志知事が米軍基地移転をめぐって、辺野古の埋め立て承認取り消し手続きに入ることを表明した。公約を曲げずに県内移転拒否を貫こうとするこの決断は高く評価したいが、しかし、一方の安倍政権はまったく沖縄の思いを理解するつもりはないようだ。実際、沖縄県民の心を懸命に伝えた翁長知事に対し菅官房長官は「私は戦後生まれで、そういうことが分からない」と言い放ったというが、まさにその言葉通り、政府は新基地建設作業を続行、10月に本体工事に着手する計画だという。

 これから先、沖縄ではさらに激しい対立が起き、政権からは沖縄への陰湿ないやがらせや揺さぶりがいままで以上に展開されるだろう。

 そうなったときに、沖縄を守る一番大きな盾になるのはやはり世論の盛り上がりだ。基地反対の思いをどこまで強く保ち続けることができるか、そして、その思いを日本全国の人たちに共有させることができるか。

 その力になってくれるだろうと期待を集めているのが、歌手の宮沢和史と、彼が歌っていた「島唄」という歌だ。

 宮沢和史といえば、1986年11月に結成されたロックバンド「THE BOOM」のヴォーカル(2014年解散)。THE BOOMは原宿のホコ天でのバンド活動をきっかけに89年、デビューしたが、当時のバンドブームのなかでは、同時期デビューのザ・ブルーハーツ、JUN SKY WALKER(S)、ユニコーンなどの後塵を拝し、一躍全国区になったのは、バンドブーム(イカ天ブーム89-90年)が終わって3年後の「島唄」(1993年)のヒットだった。

 しかし、それまでのポップス的な曲調からのいきなりの路線変更で、沖縄の伝統楽器・三線を弾きながら歌う宮沢の姿には違和感を感じる人も少なくなかった。95年の「風になりたい」では、今度はブラジル音楽のサンバを取り入れ大ヒットしたことから、「島唄」を作詞・作曲した宮沢の沖縄への思いは一時的なものと取る向きも多かった。

 宮沢らメンバーの出身が山梨県甲府市と、沖縄とは無関係の「ヤマトンチュ(本土出身者)」グループが、戦争中のガマ(自然洞窟)の中での自決を歌う姿に釈然としないのは「ウチナーンチュ(沖縄人)」だけではなかったはずだ。さらに、「島唄」のなかに、「ウージの森で あなたと出会い ウージの下で 千代にさよなら」「ウージの森で 歌った友よ ウージの下で八千代の別れ」という歌詞があり、「君が代」の「千代に八千代に」を連想させることから、2000年代に入ると太平洋戦争を美化したい保守層に「島唄」が利用されることが目立つようになってきた。

 しかし、こうした動きに反発するかのように、宮沢は次のように「島唄」に込めた反戦の強いメッセージを明らかにするようになる。

「91年冬、沖縄音楽にのめり込んでいたぼくは、沖縄の『ひめゆり平和祈念資料館』を初めて訪れた。そこで『ひめゆり学徒隊』の生き残りのおばあさんに出会い、本土決戦を引き延ばすための『捨て石』とされた激しい沖縄地上戦で大勢の住民が犠牲になったことを知った。捕虜になることを恐れた肉親同士が互いに殺し合う。極限状況の話を聞くうちにぼくは、そんな事実も知らずに生きてきた無知な自分に怒りさえ覚えた。資料館は自分があたかもガマ(自然洞窟)の中にいるような造りになっている。このような場所で集団自決した人々のことを思うと涙が止まらなかった。だが、その資料館から一歩外に出ると、ウージ(さとうきび)が静かに風に揺れている。この対比を曲にしておばあさんに聴いてもらいたいと思った」(朝日新聞2005年8月22日付)

 歌詞のなかのガマの中で自決した2人を歌った部分「ウージの森で あなたと出会い ウージの下で千代にさよなら」というくだりについても「『島唄』はレとラがない沖縄音階で作ったが、この部分は本土で使われている音階に戻した。2人は本土の犠牲になったのだから」と「島唄」が反戦歌であることを強調したのだ。

 その後も、2013年、頸椎症性神経根症の4カ月の休養から復帰した宮沢はショートムービーの『THE BOOM 島唄のものがたり』の冒頭でも「『ひめゆり平和祈念資料館』で沖縄戦で何が起きたのかを知った。その話をされた方に歌を作って聞かせたいと思ったのが『島唄』を作るきっかけです」と語るのだ。

 また、最近は「自分(宮沢和史)の祖父は硫黄島で戦死している」という事実も明らかにし、今年の沖縄戦から70年目を迎えた慰霊の日(6月23日)には、日本テレビ『NEWS ZERO』に沖縄から出演し、「(20万人の犠牲を被った沖縄戦に至る)ああいう結果になってしまった判断をした人への怒りを鎮めて、まだまだ地下にくすぶっている魂を空に浄化させてあげたい」と「島唄」に込める思いを語り、「今回取材をさせていただいて(思ったのは)、『戦争を知らない世代』とかいうじゃないですか。でもそれは現実から逃げているのではないかと。というのも、この島にはまだまだ基地がありますし、人骨、不発弾も残っている。だから、まだまだ戦争は終わっていないんですよね。僕らはまさに今、戦争を経験、体現していると思うべきだ」と語るのだ。

 戦争という痛みだけでなく、宮沢は沖縄という伝統やアイデンティティをも伝えようとしている。かつては、「ロックバンドが弾けもしないのに三線を振り回してと」「一部の人からはおしかりや批判もあった」(「映画.com」インタビュー、2013年)という宮沢も今では、三線の材料となる黒檀を植栽し、100年育て、国産黒檀の三線を作るというプロジェクトにも積極的に関わっている。

「100年前にこういう思いがあって始めた、だなんてことを誰も知らなくていい。(中略)当たり前にくるちがあって、でいごが咲いて、民謡を歌っていて、新作も生まれてラジオから民謡が流れて。そういう姿を夢見ますね」(ショートムービー『THE BOOM 島唄のものがたり』)。

 この先、100年で基地がなくなり、当たり前の平和が沖縄に訪れるのか。その一歩目は、辺野古を止められるかどうかにかかっている。
(島谷チヨコ)

最終更新:2015.09.14 09:23

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