久米宏が安保法制強行採決に激怒! 安倍首相を「セコい」「独裁者」と批判

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『久米宏 ラジオなんですけど』公式サイトより


 衆院特別委員会と衆院本会議で強行採決された安保法案だが、テレビ局の報道は腰砕けもいいところだ。NHKにいたっては特別委での強行採決当日、国会中継すらしなかった。これは一説には籾井会長直々の指示だという話すら囁かれている。

 他の民放も批判が鈍い。短くデモの模様を流して茶を濁し、国民の不安の種である戦争法案の問題点にはさほど尺をとらないでいる。比較的がんばっているのはTBSの『NEWS23』、そしてテレビ朝日の『報道ステーション』ぐらいか。しかし、それでも『報ステ』キャスター・古舘伊知郎の頼りなさに、オールドファンからは“あの人”の再登板を望む声も根強い。他でもない、前身番組である『ニュースステーション』のキャスター・久米宏である。

 そんな久米が、昨日18日、TBSラジオ『久米宏 ラジオなんですけど』で、安保法案と安倍首相を苛烈に批判した。番組冒頭、久米は、安倍首相が新国立競技場計画の見直しを宣言したことについて、こう語った。

「国立競技場、先週まで『もうこれでやらないと間に合わない、このままいくんだ』と総理大臣が言ってたんですけど。こういうのを“舌の根も乾かないうちに”って言うんでしょうね。ゼロから見直し、もう一回コンペから見直すんだって。こんなことで人気を回復しようとするセコい考えが許せないんですけど」

 久米は、新国立計画見直しは目くらましだと一刀両断し、そのうえで安保法案について、こう断じるのだ。

「そんなことより、今週あの安全保障関連法案というのが衆議院の委員会で強行採決、そして本会議で賛成多数で成立ということで参院に送られるわけです。まあ、日本が民主主義国家であるかどうか、それは僕、ひとつ疑問ではあるんです。戦争が終わってね、アメリカさんに(民主主義を)押し付けられたわけですから。日本人が自ら獲得したものではないので、ちょっと本物ではない可能性はあります。が、とりあえず民主主義国家で、とりあえず民主主義国家の総理大臣たる者がですね、ほとんどの憲法学者がこれは憲法違反だと言っている法案を成立させようってことですから。これは、本質的に憲法改正と同じなんですよ。改正するということと実質的に同じなので、それを民主主義国家の総理大臣が勝手に強行していいのか、という大問題があると思うんですね。本来なら憲法改正というのは国民投票をしなければいけないんですけど、それもしない! 最低でも、僕は衆議院を解散すべきだと思うんです」

 日本に民主主義の精神が根付いているかはさておいても、仮にも民主主義国家の建前を崩さないのならば、なぜ、主権者である国民を無視して、首相の一存で事実上の改憲ができるのか。解散して国民に信を問うのが当たり前ではないのか。そう久米は言っているのである。

「こないだの去年の12月には、一応、アベノミクスというなんだかわけのわからないものを争点にして、衆議院の解散総選挙をやったんです。これは、最低限、国会議員というのは国民の代表ですから、そういう民主主義システムに日本はなっているわけですから、どうも、かなりの国民が疑問をもっているような法案を成立させようという場合には、これを争点にして衆議院の解散総選挙をするのが常道だと思うんです。(しかし安倍首相は)それはする気がない。でも、国立競技場は見直すというね。このわけのわからない考え方がね、納得できないんです」

 久米の主張は至極まっとうだろう。安倍首相は今年5月の会見で、「先の総選挙においては、昨年7月1日の閣議決定に基づいて、平和安全法制を速やかに整備することを明確に公約として掲げ、国民の審判を受けました」とうそぶいたが、昨年の衆院解散時の会見では冒頭ではっきりと「この解散は『アベノミクス解散』であります。アベノミクスを前に進めるのか、それとも止めてしまうのか。それを問う選挙であります」と明言していた。事実、安倍首相はメディア出演時に“安保のアの字”も言わなかったではないか。にもかかわらず、先の選挙で信を得たなどと言い張るのはまったくの詐欺である。

 久米は、番組でこの点を強調し、さらに安倍首相を強い言葉で弾劾する。

「つまり、衆院の解散をしないで、総選挙でこの法案の是非を問わないってことは、はっきり言って、こんなこと言うのもなんですけど、独裁者ですから。完全に。民主主義国家のリーダーは独裁者になってはいけないんです」

 安倍晋三は独裁者である──久米がそう評すのは、いま、世論ははっきりと“戦争法案にNO”を示しているのに、民主主義国家の宰相であるはずの人間が、まったく聞く耳をもたないからだ。レトリックでもレッテル貼りでもない、論理的で説得力のある説明だが、続けて久米は、安保法案の本質と、安倍首相の性質について、こう述べるのである。

「たぶん、将来子どもたちが、戦場で戦死する可能性が減りはしないんです、この法案ができると。減りはしない、どちらかといえば増える方向にいくのは間違いないんですけど、なんでこんな法案を安倍さんは通すのかというと、一部の人は、『そりゃあれだよ、安倍ってのは子どもがいないからさ』って言っているぐらいのレベルになっている。あれは子どもがいないからね、子どものことなんか考えていないんだから、だからああいう法案をつくるんだ、という噂が出るほど評判が落ちているってことを、安倍さんは考え直したほうがいいですよね」

 そして久米は、再度「独裁者、なっていいの?」と念を押すのだ。

 久米がここまで言うのは、相当に、安倍政権に怒りをもっているということだろう。しかも、その表現はいずれも真っ当で、安倍首相の本質を鋭く突くものだ。

 だが、ネット上では、この久米の発言になぜか反発する声が上がっている。

「独裁者というのは、安倍首相に対する人格攻撃だ」「安倍憎しでも使っていい表現悪い表現がある」「子供がいないことを攻撃するのは卑劣だ」「完全に老害カテゴリーに入ったな」

 これらの見解は、一見良識的に見えるが、権力に対する批判と個人同士の会話のマナーを完全に混同している。そもそもメディアや国民には、権力の暴走を監視し、批判する権利がある。権力の暴走に対しては、どんな言葉を使ってもいい。いや、むしろ、メディアはもっと激しい言葉を使ってでも、それを止める必要がある。

 しかも、久米は安倍首相がなぜ「独裁者」と言えるのかについて論理的に説明している。これのどこが人格攻撃だというのか。

 “安倍首相には子どもがいないから”という言い回しについても同様だ。仮に、これを久米が自身の意見として表明していたとしても、政策に反映される可能性のある為政者の家族関係や性格についての論評はどんどんやるべきだし、久米は、第三者の評判を紹介することで、安倍首相の子どもや孫の世代への想像力のなさを批判したにすぎない。

 また、久米自身に子どもがいないことを考えると、その言葉は「安倍首相のせいで、子どもがいない人間が差別される」と言っているようにも読める。それを「人格攻撃」「卑劣」などと言うのは、明らかに安倍首相を擁護するためとしか思えない。

 安倍首相は、その独裁傾向をますます強めてきている。今回の安保法案強行採決はその先鞭であり、近い将来、国民世論を無視した戦争へと舵をきるのはもはや決定的とさえ言える。

 むしろ、メディアに必要なのは、今回、久米が口にしたような激烈な批判なのだ。いま、現役でテレビに出ているキャスターやコメンテーターも、この程度の批判くらいは口にしてもらいたいものである。
(小杉みすず)

最終更新:2015.07.20 07:17

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