【ヤマダ電機ブラック問題追及第2弾】

訴訟圧力でブラック批判を黙らせるヤマダ電機に未来はあるか!?

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ヤマダ電機ホームページ「会社案内:経営理念」より


 長時間労働やパワハラなどでブラック企業大賞2014を受賞したにもかかわらず、昨年のワタミフードサービスとはうってかわってメディアからほとんど厳しい追及を受けなかったヤマダ電機。その理由について、前回、新聞やテレビにバラまかれている大量の広告の存在があると指摘した。

 だが、メディアの腰が引けている理由はそれだけではない。実はヤマダ電機は批判記事に対して、訴訟で対抗してくる傾向があるのだ。
 
 たとえば、前回の記事で「週刊文春」(2013年12月19日号)が過酷な労働条件を記録したヤマダの内部資料をすっぱ抜いたことを紹介したが、ヤマダ電機はその発売当日に、文春を相手取って名誉毀損訴訟を起こしている。

 いや、ブラック企業批判だけではない。ヤマダ電機は、どのメディアもやっているような顧客満足度調査の結果に対してまで、訴訟を起こしている。

 訴えられたのは経済誌「日経ビジネス」(日経BP社)。同誌では、毎年、アフターサービスの満足度に関するアンケート調査を行なっているが、07年度調査よりランキング項目に「家電量販店」が設けられると、ヤマダ電機が18社中18位の最下位に。しかも、満足度指数はダントツの最下位で、「『電話に出ない』『店員が少ない』『長く待たされる』など現場の人員不足による不満が多い」とサンザンな評価が掲載された。

 しかし、この結果に納得がいかないヤマダ電機側は、翌年度(08年度)調査(08年7月28日号)で再び最下位になると、発行元の日経BP社に5500万円の損害賠償を求める裁判を起こしたのである。この訴訟は結局、10年12月の判決で「ランキングの根拠となった調査には、恣意的な結果が生じるような事情はなかった」とヤマダ側の請求が棄却されている。

 ところが、それでもヤマダ電機の訴訟は止まらない。12年には、「日経ビジネス」の12年のアンケート結果(ケーズデンキが1位でヤマダ電機が最下位)をコピーして店頭で配布していたケーズホールディングスを営業妨害として提訴している。

 ちなみに、13年からはヤマダ電機はある調査会社の「2013年度CS(顧客満足度)アワード 家電量販店部門」で1位を獲得したことを広告に大々的に打つようになる。今年も、この調査会社より「2014年度CS(顧客満足度)アワード 家電量販店部門」もヤマダ電機が1位を獲得した事実も公表されているが、なぜか公表されるのは「家電量販店部門」だけで、他の部門は公表されていないという不可思議さが漂う。

 いずれにしても、こうした客観的な顧客による評価までを訴訟の対象としてくるヤマダ電機の対応に、メディアはどんどん腰が引けているというのが実情なのだ。

「訴訟はある意味、広告引き上げよりきつい。今の裁判システムでは訴訟を起こされたら、9割が報道したメディア側の敗訴。しかも、損害賠償額の基準もあがっており、弁護士費用もバカにならない。そのためか、数年前から訴訟を起こされると会社から編集者や記者が責任を追及されるようになった。そうなると、編集者もサラリーマンですから、批判を書けば訴訟を起こしてくるような政治家や団体、会社については、どんどん記事を書かなくなっていく」(週刊誌記者)

 しかし、訴訟や情報操作で批判記事をつぶすやり方は、長い目で見れば、ヤマダ電機にとってもけっしてプラスにはならないだろう。マスコミは沈黙しても、ヤマダ電機に対するユーザーの悪評はネットを通じて確実に広がっている。 

 ヤマダ電機は力ずくで批判報道をつぶす前にまず、やるべきことがあるのではないだろうか。それは、やはり労働条件の改善だ。ヤマダ電機がどういいつくろうと、その顧客満足度の低さの背景に、売り上げ至上主義と社員に対する過剰な圧迫があることは、否定しようのない事実だ。

 たとえば、ヤマダの店内には万引き対策や、顧客満足度の向上という名目で、監視カメラが設置されているが、その映像は高崎の本社でチェックされていて、従業員の顧客対応など本社で気になることがあれば、すぐに電話がかかってくる仕組みだ。また、店員全員が情報共有のツールとして、インカムをつけているが、フロア責任者や店長が、インカムを通して「今日の自分の売上額、言ってみろ」「そのお客落とせなかったら、転職候補な」などと暴言を吹き込んでくることもあるという。そうした暴言が理由で急性ストレス障害と診断され退職した店員までいる。

 さらに、店長となれば、売り上げ目標も過酷で、近所のライバル店の売り上げをすべて奪ったとしても達成できないような数字を設定される。成績が悪ければ、テレビ会議で中継される店長会議で徹底的に糾弾される。この吊るし上げに耐えきれず、出社ができなくなる店長や辞意を漏らす店長も続出しているのだという。

 こんな状況で、顧客を満足させられるようなサービスなどできるはずがない。おそらくこの労働環境を改善しないかぎり、社員だけでなく顧客の不満もどんどん広がり、やがて同社の経営を圧迫することになるだろう。

 ヤマダ電機の経営思想は「人こそがヤマダ電機の宝であり、礎である」というものだという (「PHP Business Review」2012.7.8「特集 全員経営の凄み 山田昇」)。ならば、店舗拡大のために社員を犠牲にするような労務管理を一刻も早く辞めて、ほんとうの顧客サービスを提供できる労働環境の整備と人材教育をすべきではないのか。
(小石川シンイチ)

【追及!ヤマダ電機ブラック問題シリーズはこちらから→(第1弾)(第2弾)】

最終更新:2015.01.19 05:03

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