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嫌韓でも人気のK-POP!国策化で韓国芸能界の性犯罪にメスは入るのか
ムック『ザ・韓流スキャンダル! 』(宝島社)シリーズの第三弾には、恐るべき韓国芸能界のダークサイドが……
一時はあれだけ盛り上がっていた日本のK-POP人気だが、ここ数年、嫌韓のムーブメントで一気に下火になった感がある。一部では、このままK-POPが消滅するのでは?という声も上がっているほどだ。ところが、実際は少し事情が違うようだ。抗議を恐れたテレビがK-POPアーティストの起用を控えているだけで、その人気はほとんど衰えておらず、むしろ違う形でブームが起きつつあるらしい。
その兆候と言えるのが、超大型新人グループの相次ぐ登場だ。今年4月、日本本格デビュー前ながら日本に初上陸し、埼玉スーパーアリーナに10万人を動員した「EXO」の存在は記憶に新しい。韓国で2012年にデビューして以来、爆発的な人気を誇ってきた11人組だ。件の埼玉スーパーアリーナの公演には、動員数の約4倍、実に40万人の応募者が殺到したという。その潜在力はすでに日本、韓国を含めたアーティストの中でトップクラスと言って間違いない。
また、「BIGBANG」の弟分として、今年9月に日本デビューを果たした「WINNER」の勢いも破竹だ。10日に発売された日本デビューアルバム『2014S/S-Japan Collection-』は、日本オリコンアルバムチャート、ウィークリーチャートともに上位に食い込んだ。今月11日からは「WINNER 1st JAPAN TOUR2014」で日本主要都市を飛び回っており、新人とはとても思えない異例のスピードで、日韓両国ファンの人気獲得に成功している。
こうした大型新人グループの受け入れられ方を見ていると、日本で根強い人気を誇る「東方神起」が活動開始した2005年頃に比べて、新人グループがスターダムにのし上がるまでのスパンが格段に短縮されていることがわかる。明らかにファンの裾野が広がっているということだろう。
ところが、供給元である韓国では、そのK-POPをめぐってさまざまな問題が発生しているようだ。 そのひとつが、芸能界志望の若者を食い物にするプロダクションの性犯罪だ。韓国ではここ数年、彼らトップアイドルのような一瀉千里の成功を求めて芸能人を志望する若者が急増。K-POPだけでも、デビューする新人が年間数百組と言われているが、そこにつけこむ悪質なプロダクションが後を絶たないのだ。
最近、『ザ・韓流スキャンダル!』(宝島社)というMOOKが出版された。韓国芸能界のゴシップ、不祥事、事件がまとめられた一冊だが、この中でも、プロダクションの信じられないような犯罪行為がいくつも紹介されている。
たとえば、2012年4月に起きたオープンワールド・エンターテインメント集団暴行事件。オープンワールド・エンターテインメントはかつて「大国男児」、「X-5」といった男性アイドルグループやコ・ジュウォンらが所属した中堅芸能プロダクション。社長のチャン・ソグはKARAの分裂騒動が起きたときに“黒幕”と噂された人物でもある。そのチャン・ソグが所属タレントやデビュー前の女性練習生計11名に性的暴行を加えていたとして逮捕された。
同書で解説されているチャン・ソグ氏のやり口は、まさに卑劣の一言だ。「『指導』という名目で少女らに性的興奮剤入りの酒を飲ませ、事務所地下にあるレッスン室で性的暴行を常習的に繰り返して」おり、「デビューしたばかりの男性アイドルグループのメンバーや男性練習生にも、少女たちへの性的暴行を指示」したとされている。さらに氏は、その模様を「レッスン室に設置されたカメラを通じて確認」するなど、もはや鬼畜の所行であると言わざるをえない。
「性的暴行は契約前に行われることが多く、チャン・ソグは自身の快楽はもちろん、将来的にはゆすりや脅しの材料にしようと蛮行に走ったことは間違いなく、裁判の結果、懲役6年の処分が下された」(同書)
また、アイドル志望者をターゲットにした自称・芸能事務所を装う詐欺師たちも後を絶たない。同じく『ザ・韓流スキャンダル!』では、芸能人志望者から不正に金を搾り取り、しかも性売買まで強いたという事件が紹介されている。その手口は非常に悪質だ。
「まず、有名モデルがまるで自社に所属しているように見せかけたインターネットサイトを作り、『短期間で高所得を得られる』『モデル、芸能人になりたい人を募集する』など甘言巧みに若者を集める。次に、面接に訪れた女性たちに、整形手術費用、レッスン費用、プロモーション費用、芸能界に進出するための費用などが嵩むため保証金が必要だと持ちかけ、金融業者から金を借りさせる」(同書)
この「保証金」などはすべて事務所側にわたる。そして「所属契約」を交わし、「契約書」を盾にして「芸能界に入れなくさせる」「保証金を増額する」「違約金を払わす」などと強迫し、売春や詐欺加害者自らとの性行為を強要していたのだという。
同書によれば、こうした事件は韓国では珍しいことではないらしい。類似した犯罪が起こる頻度は「芸能人を目指す志望生が、誰しもみな一度は巻き込まれる」ほどだとも表現されている。
「歌手のIUは、昨年5月にKBSのバラエティー番組『ハッピートゥギャザー』に登場した際に、詐欺に合った過去を告白。『お金を払わせようとする事務所はすべて詐欺』と、警鐘をならした。彼女自身も、現在にいたるまで3回程、そのような事務所を渡り歩いたという。最初の段階で、平均『30万円くらい』を要求するのが手口となっているらしい」(同書)
上記のように、芸能人志望生の若者たちが、詐欺や性犯罪に巻き込まれるケースがここ数年で急増したためか、韓国では関連法まで作り若者を保護しようとの動きもある。特に性的行為を強要する悪習については、厳罰化が進んでいる。芸能人に脅迫、暴行などで性行為を強要した場合、10年以下の懲役、もしくは約1000万円以下の罰金刑。19歳以下の芸能人と性行為に及んだ場合は、5年以下の懲役という重刑が課せられることになった。また、来年2015年からは、韓国政府が約7000万円を捻出し、芸能人志望生の起訴手続きや法律相談を支援することに加え、麻薬や性知識に関する教育を広めるべく、専門機関を設置することも決まっている。
近年、日本でも、AKB48やEXILEなどの人気が高まり、アイドルブームが起きているが、国家が関与するというのはあまり想像できない。それくらい、韓国の芸能界の状況が問題をはらんでいるともいえるが、一方では、日本の芸能界にも似たような構造があるのに、それがあまり表にでないだけだという指摘もある。むしろ、この取り締まり強化で、韓国の方が先に近代化を進めるのではないか、ともいわれている。
いずれにしても、韓国ではすでに、アイドルブームが国家省庁を巻き込んだ社会現象となりつつある。はたして、若者たちの夢を食い物にする悪習は、断ち切ることができるのだろうか。そして、韓国を支える主要な産業として面目を一新することができるのだろうか。韓国芸能界は今、新たな段階に入ろうとしている。
(西 民夫)
最終更新:2016.08.05 06:06
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