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自殺した赤木さんの妻が安倍首相の冷酷反応に「夫が生きてたら悔しくて泣いている」 ヒロミも思わず「なんだか怖い国だな」
ニヤニヤ答弁する安倍首相(参議院インターネット審議中継より)
森友問題の決裁文書改ざんを強要され自殺した近畿財務局職員・赤木俊夫さんが遺した遺書と手記をめぐって、安倍首相が下劣な本性を晒しつづけている。
安倍首相は、赤木さんの手記に財務省の調査報告書とはあきらかに食い違う証言があるというのに、頑として再調査を拒否。23日におこなわれた参院予算委員会では、赤木さんの妻による〈安倍首相は、2017年2月17日の国会の発言で改ざんが始まる原因をつくりました〉〈この2人(安倍首相と麻生太郎財務相)は調査される側で、再調査しないと発言する立場ではないと思います〉というコメントが読み上げられたというのに、「自分の答弁が改ざんのターニングポイントになったとは手記には書かれていない」と強弁し、赤木さんの妻のコメントを真っ向から否定した。
こうした安倍首相の態度に対し、赤木さんの妻は23日の午後、2度目となるコメントを発表。「怒りに震える」と感情をあらわにしたのだ。
〈今日、安倍首相や麻生大臣の答弁を報道などで聞きました。すごく残念で、悲しく、また、怒りに震えています。夫の遺志が完全にないがしろにされていることが許せません。もし夫が生きていたら、悔しくて泣いていると思います。〉
〈再調査をしないとのことですが、何を言われても何度も再調査の実施を訴えたいと思います。財務省の中の人が再調査をしても同じ結論になるので、是非、第三者委員会を立ち上げて欲しいと思います。このままうやむやにされるとすれば、夫の遺志が全く果たされないことになります。〉
もし夫が生きていたら、悔しくて泣いている──。当然の感想だろう。赤木さんは命をかけてまで事実を告発したというのに、安倍首相はそれをことごとく無視しているのだから。しかも、このコメントが発表されたあとも、安倍首相は態度をまったくあらためようとしていない。昨日24日、マスコミは「安倍首相が自殺職員の妻に謝罪」などと報じたが、実際には謝罪などと呼べるシロモノではなかったのだ。
「安倍首相が謝罪」と伝えられたのは、昨日24日の参院財政金融委員会での答弁なのだが、まず、安倍首相は「奥さまに一言」と迫られると、手に持った書類に視線を落としたまま、「真面目に職務に精励していた方が自ら命を絶たれたことは、痛ましい出来事であり、本当に胸が痛む思いでございます」と18日にぶら下がり取材で発したのとまったく同じ言葉を繰り返した。「悲しく、怒りに震えている」と遺族がコメントを出したあとだというのに、安倍首相はこれみよがしに紙に書かれた文面を読み上げたのだ。
これだけでも赤木さん夫妻を冒涜するような態度と言わざるを得ないが、問題の「謝罪」の場面でも、安倍首相の言葉は心無いものだった。
安倍首相は、「奥さまにとってもですね、愛する方がああいうかたちで自らの命を絶たれた。本当に大変な思いをされたんだろうなとあらためてお見舞い、お悔やみを申し上げたいと思うところでございます」と答弁すると、こう続けた。
「いずれにいたしましても、いまの政府としての立場はいままで申し上げているとおりでございますが、我々のこうした答弁について、さまざまなお気持ちを持っておられるだろうなと、このように思いますし、お気持ちは察するところでございます。そういう意味では、ああした結果になったことについては、総理大臣として大変申し訳ない気持ちでございます」
「気持ちは察する」と口にしながら再調査を拒否する姿勢は崩さない上、赤木さんが自殺に追い込まれたことを「気持ちは察するが、そういう意味では、ああした結果になったことは申し訳ない」などと済ませたのである。一体、これのどこが「謝罪」だと言えるのだろう。
安倍首相は「何が改ざんのきっかけなのか」の問いにニヤニヤ、麻生大臣と談笑
実際、安倍首相は「自分には何の責任もない」と主張するために、ずっと赤木さん夫妻の思いを踏みにじりつづけている。
たとえば、23日の参院予算委員会では「安倍首相が笑って答弁していた」ことが、ネット上でも大きな話題になっている。
これは、野党統一会派の芳賀道也参院議員が「総理の発言が改ざんを招いたのではないというなら、何が改ざんのきっかけなのか」と問うた際のことだった。安倍首相は答弁席に立つと、ニヤニヤと笑いながら、こう言い放ったのだ。
「これもうですね(笑)、先程来、何回もお答えをさせていただいていることでございまして。まあ、同じ質問でありますから、同じような答えになるのは、これはお許しをいただきたい」
赤木さんの妻が〈安倍首相は、2017年2月17日の国会の発言で改ざんが始まる原因をつくりました〉とコメントを発表し、それが目の前で読み上げられたあとだというのに、安倍首相は笑いを含ませながら「何回も同じことを訊くなよ」と言わんばかりに主張したのだ。
だが、じつはこのあとの態度も酷かった。赤木さん夫妻を冒涜するような姿勢に対し、当然ながら委員会室はざわついたのだが、安倍首相はすかさず「あまりにもですね、あまりにも場外からのヤジが多すぎますよ。そういうヤジがないとダメなんですか?」と野党議員を批判。半笑いで答弁する姿勢にヤジが飛ぶのは当たり前だが、まるで自分が被害者かのように振る舞いはじめたのである。
挙げ句、「同じ質問でございますから同じ答弁にならざるを得ない」と繰り返し、「総理答弁が決裁文書改ざんのターニングポイントになったというのはですね、これは職員の手記にないわけでございます。いま、首を振っておられたけど、これ、読まれたんですか? 手記にはございませんよ」などと答弁して、赤木さんの妻のコメントを完全無視。さらに、この日の参院予算委員会では、大臣席で隣に座る麻生財務相と笑いを浮かべて談笑する姿も確認されている。
再調査を拒否するだけではなく、ニヤニヤと笑いながら自分のコメントをもないもののように無視される……。赤木さんの妻が怒りに震えるのは、至極当然の話だ。
『バイキング』では坂上忍が「埋もれさせちゃいけない」「こんな国になってたのか」
しかも、このように笑いながら答弁したことに批判が集まったというのに、前述した翌24日の参院財政金融委員会でも、安倍首相は「(改ざん前文書にかかれていた)『いい土地ですね』というのは、私の妻が言ったわけではなくて(笑)、籠池さんがそう言っている」と、笑いまじりで答弁したのだ。
たとえ籠池泰典理事長(当時)が言ったことだとしても、近畿財務局の文書には昭恵夫人の名前がここで登場し、さらには籠池夫妻と昭恵夫人のスリーショット写真という証拠もこのとき近畿財務局には提示されている。そのことで実際に赤木さんは改ざんを強要されたというのに、安倍首相は笑いながら話すことで「昭恵は関係ない」とごまかそうとしたのである。
ようするに、安倍首相は自分の答弁が改ざんのきっかけになったことも、名誉校長だった昭恵夫人が国有地取引に影響を与えたことも「あるはずがない」と印象づけるべく、ヘラヘラと笑うことで余裕があるように演出しているだけなのだ。赤木さんから命を奪ったのは、こうした安倍首相の「絶対に謝らない」「自分の責任は認めない」「責任は下の者に押し付ける」という一貫した態度にあることは言うまでもないだろう。
さらに、この無責任総理をアシストしてきたのが菅義偉官房長官だが、菅官房長官も信じられないようなことを言い放った。24日の定例会見で、赤木さんの妻が23日に出した2度にわたるコメントについて「どう感じたか」と東京新聞の望月衣塑子記者が追及したのだが、菅官房長官の返答は「私自身は聞いておりません」、たったこれだけ。「聞いていない」というだけでなかったことのようにしているのだ。
これがどれだけ恐ろしいことか。赤木さんが遺した遺書と手記をきっかけに、少なくない国民が気づきはじめている。
たとえば、24日放送の『バイキング』(フジテレビ)では、河井案里参院議員と前法相の河井克行衆院議員の公選法違反疑惑問題を取り上げたのだが、そのなかでMCの坂上忍は「各局、新型コロナウイルスのニュースばかりで、ただ、森友問題しかり『再調査しない』と。こちらの問題も埋もれちゃいけないんですよね」とコメント。これを受けてコメンテーターのヒロミは「森友のやつもそうだけど、ああやって揉み消されてるっていうか『関係ない』って言われちゃうと、何か怖い国だなって感じちゃうよね」と話すと、坂上も「気がつくと、何かこんな国になってたのかって」と同調した。
命を賭けた告発さえ一顧だにせず、責任を認めない「怖い国」──。だが、「怖い国」と言うだけでは、ますます我が物顔で権力を振りかざし、この国を好き勝手にすることを許すだけだ。そうさせないためにも、赤木さんの妻が求める「第三者による調査」を安倍首相が拒否できなくなるような大きな世論をつくってゆく。まずはこれしかない。
(編集部)
最終更新:2020.03.25 09:34
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