近畿財務局職員を自殺に追い込んだ「森友公文書改ざん」は財務省・佐川局長だけの責任じゃない 事実上、安倍首相の指示だった

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首相官邸HPより


 森友問題の決裁文書改ざんを強要され自殺した近畿財務局職員・赤木俊夫さんが遺した遺書と手記が、大きな反響を呼んでいる。

 佐川宣寿・理財局長(当時)の改ざん指示や財務省の圧力、そして赤木さんが犯罪を強いられて悩み苦しみ、心身を蝕まれ、ついには死を選択するまで追いつめられる様子に、ネット上でも「怒りで手が震えた」「こんなことが許されていいはずがない」といった感想が数多く投稿されている。

 だが、そんななかで、なんとも無責任な態度を見せた人間がいた。ほかでもない、改ざんの原因をつくった安倍首相だ。

 19日、国会で野党から「職員の方の無念の思い、ご遺族の方の気持ちに対して、もう一度しっかりと再調査することが非常に重要だ」と追及されると、安倍首相は「検察においてすでに捜査をおこなっているものと、結果が出ているものと考えておりますが、麻生(太郎・財務)大臣のもとで事実関係を徹底的に調査し明らかにしたところです」と答え、再調査を否定したのだ。

 検察の捜査で結果が出ているとか、財務省が麻生大臣のもとで事実を徹底的に明らかにしたとか、よくもまあ、ぬけぬけとこんなことが言えたものである。赤木さんの手記の内容はまさにその検察の捜査や財務省の調査を根底から覆すものなのだ。それを無視して、再調査を否定するとは……。

 その前日、18日も安倍首相の態度はひどいものだった。官邸をあとにする際、記者からコメントを求められた安倍首相は「大変痛ましい出来事であり、本当に胸が痛みます」などと他人事のようなコメントをした挙げ句、国会答弁と同様に「麻生大臣のもとで徹底的に調査し明らかにした」と強弁。そのままくるりと背を向け、足早に立ち去ったのだ。逃げる背中に向かって、記者からは「総理、ご自身の責任についてはいかがでしょうか?」という声があがったが、安倍首相はその質問に答えることはなかった。

 こんな態度をこのまま許していいのか。今回の遺書と手記によって佐川理財局長の指示ははっきりしたが、この問題でもっとも問われるべきは、安倍首相の責任なのだ。なぜなら、赤木さんを死まで追い詰めた公文書改ざんは、安倍首相が国会で野党からの追及に逆ギレして述べた、この一言がすべてのはじまりだったからだ。

「私や妻が関係していたということになれば、私は間違いなく総理大臣も国会議員も辞める」

 この答弁が飛び出したのは2017年2月17日だったが、このあと、大きな変化が出てくる。1週間後の24日に佐川理財局長が「交渉記録は破棄した」と答弁するなど、急に強気な答弁を繰り返すようになるのだ。そして、赤木さんの手記でも、財務省の調査報告書でも書かれているとおり、2月26日に近畿財務局で決裁文書の改ざんがはじまるのである。

 しかも、安倍首相の改ざんへの関与は、けっして間接的なレベルにとどまらない。安倍首相は「総理を辞める」宣言のあと、菅義偉官房長官に指示を出していたことを国会でも認めている。安倍首相は、その指示内容を「私の家内の名前も出ましたから、しっかりと徹底的に調べるように」というものだと説明していたが、言葉がもしそうだったとしても、受け取った側は「徹底的に抑えろ」と解釈したはずだ。

 実際、これを受けて、菅官房長官は22日に財務省の佐川理財局長と中村稔・総務課長、太田充・大臣官房総括審議官を呼び出している。ここで佐川氏は、昭恵夫人付職員だった谷査恵子氏が森友学園の小学校に賃料引き下げの優遇措置を適用できないかなどと財務省に照会していたことを報告しているのだ。

 そして、26日からはじまった改ざん作業では、財務省の指示により、真っ先に昭恵夫人や安倍首相の名前が入った箇所がことごとく削除されていく。その作業を強要されたのが、赤木さんだったのである。

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