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田崎史郎が年金繰り下げ問題で「僕は65歳から年金もらってる」! 安倍政権は必死で繰り下げPRしてるのに
6月13日放送の『ひるおび!』(TBS)より
金融庁の「年金に頼るな、老後は自分で2000万円貯めておけ」報告書をきっかけに再浮上した年金問題。担当の麻生太郎財務相が「政府とスタンスが異なるから、報告書を受け取らない」などと強弁すしたのを筆頭に、政府・自民党は報告書をなかったことにし、年金制度の破綻を隠蔽しようと躍起になっている。そして、14日にはとうとう報告書を出した金融庁に謝罪をさせた。
しかし、安倍政権が今頃になっていくら必死でごまかしても、政府が共通認識として「年金は下がり2000万円赤字になる」「自助努力でなんとかしろ」と考えていることには変わりはない。むしろ、この期に及んで報告書をなかったことにし、制度破綻を隠蔽しようとしていることこそが、国民に対する背信行為だろう。
しかも、今回の年金問題をめぐっては、もうひとつ指摘しておかなければならないことがある。それは、金融庁が老後の自助努力、資産運用を薦める報告書を出した裏に、年金制度の“元締め”である厚生労働省の“年金給付引き延ばし”戦略があったことだ。
本サイトが金融庁への直撃(https://lite-ra.com/2019/06/post-4748.html)や、議事録をスクープ(https://lite-ra.com/2019/06/post-4765.html)した際にも指摘したが、報告書を作成した金融庁のワーキンググループには、厚労省年金局の課長も出席。年金が下がることを認めて、私的年金などの資産運用の必要性を語ると同時にこんな発言をしていた。
「公的年金は、ご案内のように、65歳の支給を現行であれば70歳まで繰り下げることができ、その場合の増額率は42%となっております。高齢期の就労期間の延伸を年金制度上も反映するとともに、より柔軟な受給のあり方について公的年金サイドで検討を進めております」
「例えば公的年金のかわりに、まずは私的年金を充て、公的年金を繰り下げ、または一部繰り下げるということも可能になる」
現在の年金制度では年金開始年齢は原則65歳だが、60〜70歳までのあいだで本人が選択することができる。65歳より早く給付を受けることを「繰り上げ」、65歳よりあとに給付を先延ばしすることを「繰り下げ」というが、いま、厚生労働省は、給付を抑えるために、国民に繰り下げ、つまり「給付先延ばし」を選択させようと、必死になっている。厚労省が金融庁に全面協力し、データの提供や年金局課長が出席してアシスト発言を行っていたのも、そのためだったのである。
実際、厚労省は年金給付引き延ばしのために、詐欺的な手口まで使っている。
典型的なのが、65歳の年金開始月に日本年金機構から送られてくる年金請求のための手続き書類だ。本サイトは今回、日本年金機構に取材し、年金請求の際に送られてくる3種類の書類を入手した。
まずは「年金請求書」とうよばれるハガキ。年金を繰り下げせずに65歳から給付を受けたい人が申し込むものだが、そもそも、このハガキには、仰天のカラクリがある。
もしハガキを出さないと、自動的に繰り下げ=引き延ばしになってしまい、改めて手続きしないと年金の給付を受けられないというのだ。公的なお知らせは、つい放置してしまいがちな人も少なくない。これはもはや、給付開始年齢を遅らせているようなものではないか。
繰り下げに露骨に誘導する「年金請求書」説明書の詐欺的手法
もっとも、このハガキのシステムは以前かららしいが、これに加えて今年度からさらにとんでもない書類が同封されるようになった。それは繰り下げ=給付引き延ばしを煽るチラシだ。金融庁のワーキンググループで厚労省年金局課長が発言していたのと同じ「受給年齢を繰り下げると年金は増額できます。70歳で最大42%UP」というキャッチコピーが、バーゲンセール広告まがいの大きな文字で打たれ、年金開始を遅らせれば遅らせるほど増額されることを示すグラフが描かれている。
これを読めば「42%も増えるならお得かも」と考えてしまいそうだが、騙されてはいけない。70歳から年金を開始した場合、65歳から開始した場合と比較して「得」が出るのは82歳からだ。それまでに死んだらマイナスになってしまう。ようするに、年金の給付を遅らせて、給付額を抑制したい国の作戦なのである。
さらにもっと詐欺的な手口に満ちているのが、〈「年金請求書」の記入のしかた〉と題された3つめの書類だ。
前掲の年金請求書のハガキを記入するための説明書で、今年度からリニューアルされたのだが、露骨に繰り下げ=給付引き延ばしに誘導するものになっているのだ。
「「年金請求書」の記入のしかた」より
説明書はチャートで希望を選んで、繰り下げするかしないかを判断する方法をとっているのだが、なんと、最初の質問が、「受け取る年金額を増額させますか」。そこから「増額させる場合」と「増額させない場合」の2つに分かれるのだ。そして、「増額させる場合」を選ぶと「基礎年金と厚生年金の両方を増額させる場合」「基礎年金と厚生年金のどちらかを増額させる場合」に分かれる。
そう問われれば、普通「増額させる」「基礎年金と厚生年金の両方を増額させる場合」を選ぶだろう。すると、「老齢基礎年金と老齢厚生年金の両方を繰り下げ」のマスに移り、増額すると受給額が倍増するかのように示す図解のあと、次に「提出不要」にたどり着く。そこには目立つ赤字で「今回はハガキの提出は不要です」「70歳までのご自身が希望する時期に年金の請求手続きを行ってください」とある。
ようするに、年金に詳しくない人、何も警戒していない人はごく自然に「繰り下げを希望する」に記入する流れになっているのだ。ほとんどネット詐欺広告と同じ。まさかこんな手口を政府機関が国民に対してはたらくとは……。
田崎史郎は「僕らの商売、リスクを取っている」と年金繰り下げを否定
もっとも、安倍政権が詐欺的手法まで用いて「年金繰り下げ」キャンペーンを展開している一方で、意外な人物がその努力を無にする本音をもらしてしまった。
その人物とは、安倍応援団のジャーナリスト・田崎史郎氏だ。13日放送の『ひるおび』(TBS)では、この年金繰り下げを誘導する説明書問題が取り上げられたのだが、田崎氏がその議論に割って入って、こう語ったのだ。
「でも、僕はもう65歳からもらってますよ。それは、今の仕事が来年までやれるか再来年までやれるか全然わからないじゃないですか。僕らの商売、一発失言したりスキャンダルあったら一挙に仕事なくなる。リスク取ってるんですよ」
ふだんはあれだけ安倍政権の言うことをなんでもかんでも正しいと喧伝している田崎氏なのに、自分がもらう年金については国の方針を無視して、繰り下げせずにちゃっかり給付を受けていたらしい。
田崎氏は1950年6月22日生まれでもうすぐ69歳。「今の仕事が来年までやれるか再来年までやれるか全然わからない」などと、その理由を語っていたが、定年退職後なら誰でもそうだろう。というか、安倍政権の太鼓持ちである田崎氏がそんな心配をする必要なんてない。実際、時事通信を定年退職後も、安倍応援団代表としてこれだけテレビに出まくり、自民党の講演会に出かけて何十万円というギャラを受け取り、今年の4月からは駿河台大学客員教授も務めている。
田崎氏は「一発失言したりスキャンダルあったら一挙に仕事なくなる」などとも言っていたが、田崎氏なんて失言だらけなのに、仕事は増える一方。なんなら、スキャンダルがあったって安倍政権にもみ消してもらえるかもしれない。
それなのに、こういうときだけ、庶民のふりして、給付を正当化するとは……。
ついでに金融庁の勧める資産運用もやっていることを告白した田崎史郎
しかも、田崎氏の老後対策は年金給付を繰り下げしないことだけじゃなかったらしい。コーナー前半で金融庁の報告書が投資を勧めている問題について議論していた際、MCの恵俊彰が投資に対する不安感を語ったのに対して反論。「僕も会社で退職金もらうときに、一緒にそれどこで運用しますかっていうんで、リスクが高いけど配当が多いってやつとか、リスクはほとんどないけれども配当が低いやつとか、5つか6つ組み合わせてるんですよ。で、それで若干のプラスになるっていうようにしてるんです」と、金融庁の勧める資産運用をすでにしっかりやっていたことも明かしていた。
いずれにしても、田崎氏は老後をかなりきちんと計算しているらしい。そう言えば、田崎氏は時事通信を60歳定年退職後の65歳までのシニア嘱託社員も終え、報酬などが出なくなったとされる2015年前後から、その安倍政権擁護姿勢のギアが一段上がった気がする。安保法制の強行成立で、安倍政権の独裁体質がそれまで以上に露わになったのに、田崎は連日テレビにハシゴ出演しアクロバティックとしか思えない露骨な擁護コメントを盛んに口にするようになっていったのもこの頃だ。まさか田崎氏の安倍応援団化は、老後の不安を解消するためだったのか。
それはともかく、今回の田崎氏の告白で国民が絶対に心に留めておかなければならないことがある。それは、前述したように、安倍政権の政策をあれだけなんでもかんでも肯定し続けている安倍応援団の田崎氏が、自分の年金給付だけは、国の方針にさからい、繰り下げせずに給付を受けていることだ。
これこそが、金融庁や厚労省や年金機構が喧伝している年金繰り下げ=受給開始年齢の後ろ倒しが「詐欺」であることの証明だろう。
(編集部)
最終更新:2019.06.15 07:04
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