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今度は嫌韓批判で炎上も、ブレない石田純一が安倍政権の圧力を笑い飛ばす! 内閣官房から「桜を見る会」に出るな、の電話が
週刊金曜日(2月1日号)
石田純一がまた、ネトウヨから攻撃を受けて炎上している。原因は、ニュースサイト「デイリー新潮」に掲載された連載コラムで、石田が感情的な嫌韓論に警鐘を鳴らしたことだった。
石田はまず、元徴用工の問題やレーダー照射の問題について、〈日韓問題はたがいに感情的になっているかぎり解決しない。メディアもことさら嫌悪感情を煽らないでいただきたい〉としたうえで、元徴用工の問題について、「日韓請求権協定で韓国の請求権は放棄されているので、この問題は解決済み」と突き放す日本側の姿勢にこう再考を促した。
〈1965年当時の韓国は朴正煕大統領による軍事政権下で民意が抑えられていた。だから、韓国人の国民感情としては、その時代に解決済みだといわれてもなかなか納得できない。そして強制労働や、劣悪な環境の労働に対する反省や謝罪は、やはりなかった。〉
また、石田は、安倍政権の韓国への対応と、アメリカやロシアに対する対応の違いについても疑問を呈した。
〈ロシアのプーチン大統領やラブロフ外相から「北方領土はロシア主権下にあると認めることが平和条約交渉の前提だ」なんて言われても言い返せないし、トランプ大統領にねじ込まれるまま何千億円分も武器を買う弱腰の総理が、韓国にだけ強い態度に出るというのは、いかがなものか〉
何から何まで石田の言う通りだろう。韓国国民の声に耳を傾けることなく、強硬に「この問題は解決済み」との回答を繰り返すだけでは、永遠に徴用工問題は解決されないだろうし、安倍政権がアメリカやロシアに対する隷属的外交とは対照的に、韓国に対してだけは不必要なまでに強く出ているのは、どう考えてもおかしい。その背景には、自分の支持層である右派へのアピールと、統計不正や沖縄サンゴ移植の問題など次々と湧いて出る政権の問題から国民の目を逸らさせ、支持率を上げようという意図があるのは明らかだ。
ところが、韓国バッシング一色に染まる現在の日本社会では、石田のような理性的な発言はもはやタブーとなりつつあり、彼のコラムは即座に、安倍応援団やネトウヨから総攻撃を受けた。
たとえば、高須クリニック院長の高須克弥氏は、石田のコラムに対して〈朝鮮半島の国はもともと中国王朝の冊奉国です。DNA が目覚めたのです。理を説いても無駄だと思います。DNA には勝てません〉などとツイッターに投稿した。
「そういうDNAだから理を説いても無駄」とは、医療に従事する者とは思えない差別発言であり、レイシスト丸出しの暴言だが、ネットでは高須院長への批判はあまりなく、冷静な正論を口にした石田だけが炎上している状態なのだ。
なんとも暗澹とさせられる言論状況だが、しかし、石田純一がこうした攻撃に屈することはないだろう。石田はこれまでも、安保法制反対デモに参加するなど、安倍政権の政策に反対する姿勢を示す度に激しい非難・攻撃を受けてきた。
たとえば「週刊新潮」(新潮社)2015年10月15日号で、石田は「テレビ番組を3つキャンセルされました。35年の芸能生活で、こんなのは初めてです。CMもひとつなくなったし、広告代理店を通して、厳重注意も2、3社から受けました。“二度と国会議事堂にデモに行くな”“メディアの前で政治的発言をするな”ってね」と語っており、安保法制反対のデモに参加しただけで、芸能生活に大きな支障をきたしたとも証言している。
都知事選について会見したあとも、テレビ局は石田が出演するCMを差し替えたり、放送予定の番組を休止させたりと過剰な対応を行い、あげく所属事務所が「11日の会見をもちまして、今後一切、政治に関する発言はできなくなりました」などという信じがたい発表をしたこともあった。
石田純一「行政の長がマジに怒ってヤジを飛ばす。文化偏差値が非常に低い」
しかし、あまり知られていないが、石田はこうした不当な攻撃を受けたあとも、ブレることなく発言をし続けてきた。
昨年10月には日本ペンクラブのシンポジウム「『憲法と表現の自由』の現在と未来」に登壇。「日本国憲法は傑作であり、名作」と称え、「日本国憲法よりも優れた憲法を制定する能力や政治状況がいまの日本の政治家にあるかどうか。僕の答えはNO」と断言した。そして、2012年の自民党改憲草案について「無能力と不見識ぶりに唖然とした」と厳しく批判。基本的人権や表現の自由が失われること、緊急事態条項の危険性、憲法が縛る対象が国家権力から国民に変わってしまっていることなど、自民党改憲草案の問題点を指摘していた。
最近も「週刊金曜日」(金曜日)2019年2月1日号にも登場。旧友である教員・ライター藤原孝弘氏のインタビューに応じ、安倍政権や忖度するメディアを厳しく批判している。さらに石田は叩かれてもなぜ発言し続けるのか、その真意についてもあらためて語っている。
「行政の長(内閣総理大臣)がマジに怒って、「早く質問しろよ」とかヤジを飛ばしちゃう。文化偏差値というものがあるとすれば、日本は非常に低いんじゃないか」
「あれ(引用者注:福島第一原発事故)を総括しないで原発を再稼働している。ヤバイでしょ」
「安倍さんは原発に反対する小泉元首相に「無責任だ」と言ったけど、どちらが本当に無責任かは一目瞭然」
「今の政治家は旧体制の支配者層の3世4世が多いので、憲法改正もそっちのほうに戻りたいんだな、と思います。自民党は結党以来、自主憲法制定を党是としてきたにもかかわらず、60年かかって出してきた憲法草案は不見識で無教養で、できが悪い。」
麻生財務相の「ナチスの憲法」発言を正したらディレクターに「困ります」
石田は、安倍政権を忖度するメディアに対しても厳しい目を向ける。テレビ朝日の早河洋会長は石田が夕方のニュース番組『スーパーJチャンネル』のキャスターを務めていたときの報道局長だったと明かしたうえで、こう疑問を呈した。
「(テレビ朝日会長の)早河さんはいまやよく安倍さんと一緒に食事をされていますね。米国で三大ネットワーク、五大ネットワークのトップが政権トップとご飯を食べていますか。日本は先進国といえるのですかね。」
安倍首相と会食を重ねているメディアはテレビ朝日に限った話ではない。多くのメディアが政権と癒着するなか、石田自身、テレビ局の忖度と圧力を目の当たりにしたという。麻生太郎副総理兼財務相が「ドイツのワイマール憲法もいつの間にかナチス憲法に変わっていた。誰も気が付かなかった。あの手口に学んだらどうか」と発言した問題についてコメントした際の経験をこう語っている。
「番組中で、すっと終わりそうになったから、『すいません、ナチスの憲法というのはないです』『麻生さんは多分誤認されたんじゃないですか』と言ったんです」
石田は、ナチスは憲法を作ったり改憲したのではなく、全権委任法によってワイマール憲法を骨抜きにしたと解説しようとしたのだという。ところが、歴史的事実を語っただけのこの発言が、問題視された。
「番組終了後に、ディレクターが飛んできて「石田さん、そういう発言は困ります」と言われました。カンカンになって怒ってきたと」
ちなみに、ここで「カンカンになって怒ってきた」相手について、石田は「わからないけどたぶん麻生事務所か自民党」と答えているが、この一件をきっかけに、「それから在京のテレビ局にはあまり呼ばれなくなった」とも語っている。
「桜を見る会」の招待状が来たのに、内閣官房から電話が来て「ダメ」と
こういった圧力を受けると普通の人であれば、政権批判からフェードアウトするか、もしくは逆に、政権の恐ろしさに震えて取り込まれることすらある。
しかし、石田はそうはならなかった。実は、石田純一と安倍首相は共に1954年生まれで同い年(石田は1月生まれで安倍首相は9月生まれなので、学年的には石田のほうが1つ上)。同い年の人同士で集まった「昭和29年会」を通じ親交があり、1993年に安倍首相が最初の衆院選挙に出た際には、請われて自民党山口県連の婦人部が集まっている集会に参加したこともあるという。
そんな縁もあって、実は石田は今も安倍首相主催の「桜を見る会」にも招待されているのだという。前掲「週刊金曜日」で石田は、桜を見る会をめぐってこんな裏話も語っている。
「実はいまこんなに安倍政権を批判しているけれど「桜を見に来てください」とか安倍さんから招待状が来ます」
「でも、内閣官房から後で電話がきて、ダメ、といわれる。安倍さんには当時から違う意見をはっきりと言ってたからね。雰囲気が悪くなる、とみんなに嫌な顔をされながら。29年会は、いまでもやってるみたいだけれど、俺は呼ばれなくなりました」
石田は、「戦争は文化ではありません」という名言を残した、安保法制をめぐる国会前デモでのスピーチで「アメリカはもちろんわれわれの友だちで同盟国ではあります。でもやはり間違ってる、違ってる、なんかそういうことは友だちでもちゃんと言えなくちゃおかしいと思います」と語っていた。
石田はまさに「友だちでもちゃんと言えなくちゃおかしい」を実践していたわけだ。
ネトウヨに攻撃され、街で保守親父に絡まれた体験を笑い飛ばす石田
もちろん、石田自身は、こうした政権批判を続けている限り、自分への風当たり、圧力がずっと続くいことはわかっているはずだ。実際、「週刊金曜日」のなかでもこんな経験を明かしていた。
「『週刊新潮』の連載が1年で終わって、いまはウェブのほうで。ネトウヨとかが乗り込んできて喧々諤々となったりしますね」
「ホテルのバーとかでイケてない親父たちにからまれるわけですよ。『石田君、君は間違っているよ。中国に攻められたらどうするんだ』と。『それは個別的自衛権で対処できますよ』って言い返しますが」
しかし、圧力をかけられ仕事を降ろされ、ネットでネトウヨに攻撃され、街で保守親父に絡まれても、それでも石田はめげることはない。それどころか、いたって前向きだ。
「(都知事選で出馬が取りざたされた時)おまえなんか、2000%当選しないよ、と松本人志さんに言われた。いま、シンプルにできることはないかと考えると、情報の提供、視点の提供かな、と思う」
飄々としているようにみえる石田だが、戦争のない平和な世界を実現するために、自由で民主的な社会のために、芸能人である自分に何ができるか、どういう場でどういうタイミングで何を発言するべきか、常に真剣に考えている。そのクレバーさと本気、そして覚悟を、メディアも少しは見習ったらどうだろう。
(編集部)
最終更新:2020.08.23 07:14
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