Mステ初出演が注目のジャスティン・ビーバー、靖国参拝で大炎上したのは確信犯だった?

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ジャスティン・ビーバーオフィシャルブログより


 本日12月4日、ジャスティン・ビーバーが『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)に初出演することが決まった。「ホワット・ドゥー・ユー・ミーン?」が全米ビルボード総合シングル・チャートで1位を獲得し、先日最新アルバム『パーパス』を発売したばかり。いま勢いに乗る彼の登場に「ビリーバー」(ジャスティン・ビーバーファンの呼び名)からの喜びの声が止まらない。しかし、その一方、こんな不安な声も……。

〈t.A.T.u.の二の舞にならないことを祈る〉

 2003年、同じく『ミュージックステーション』に出演したt.A.T.u.が生放送をドタキャン。テレビ史に残る大騒動を起こしたのは記憶に新しいが、こんな声が漏れ聞こえてきたのには理由がある。

 ジャスティン・ビーバーのこれまでのキャリアはスキャンダルの嵐であった。まだ声変わりもしていない14歳でデビューしたビーバー君、しかし、デビュー後瞬く間に世界を代表するポップスターにのし上がるにつれ、だんだんと素行が悪化していく。

 例えば、飲酒運転で逮捕されたり、パパラッチに中指を立てて謝罪に追い込まれたり、隣人宅に卵を投げつけて1000万近くの賠償金を支払うハメになったり、ブエノスアイレスのナイトクラブでの暴行事件に関して事情聴取要請を無視し国際指名手配を受けたり……etc、彼のスキャンダルを聞かない日はないのではないかというほどだった。

 そんなスキャンダルのひとつに、2014年の来日時、靖国神社を参拝し、インスタグラムに「神のご加護に感謝」とコメントをつけて投稿、それに対し中国・韓国のネットユーザーから叩かれまくった炎上事件がある。

 この騒動は単なるネットユーザーの炎上事件を越え、中国外務省が「カナダ人歌手が日本の侵略と軍国主義の歴史を明確に理解することを期待する」とコメントを出すまでに発展。それを受けてビーバー君は謝罪コメントを出すのだが、そこに韓国が含まれていなかったため火に油を注ぐ結果となった。

 当サイトでは、この騒動や、アンネ・フランク記念館を訪れた際に「もしも現代に生まれていれば、アンネ・フランクは自分のファンだっただろう」と言及した舌禍事件を分析。その結果、ビーバー君は単なる「無知」でこのような騒動を起こしていたのではなく、各々の歴史的背景も理解したうえでの「確信犯」的な炎上発言だったのでは?との検証記事を掲載したことがある。

 新作『パーパス』は、エド・シーランとの共作曲に加え、ナズ、ディプロ、スクリレックス、トラヴィス・スコットなどをゲストに迎え、アイドルポップスから完全に脱皮した作品との評価も高い。これら音楽通をも唸らせるミュージシャンたちとの共演も、単なるバッドボーイ気取りのアイドルにこなせるものではない。

 ビーバー君の「炎上」は、「天然」なのか「確信犯」なのか、以下に掲載する再録記事を読んで皆さんも想像してみてほしい。
(編集部)

********************

 ジャスティン・ビーバーといえば世界で一番殺害予告をされているアイドルだ。嫌われている理由としては「カナダ人の癖にアメリカで大人気」「歌が下手」「歌詞の内容が空っぽ」「童顔で声が高くてオカマ野郎っぽい」「YouTube出身で出自に権威が全くない」など様々に挙げることができる。日本のアイドルは歌が下手なのも童顔なのも当たり前なのでイマイチ共感しにくい理由だが。

 しかし一番の理由は彼が定期的にスキャンダルを巻き起こしているという事にあるだろう。パパラッチの乗る車と接触事故を起こしたり、自宅からコカインが発見されたり、隣人の家に卵を投げつけて訴えられたりとその問題児っぷりには疑いを差し挟む余地がない。

 去年の靖国参拝はその典型例のひとつだ。プライベート旅行で日本に来ていたジャスティン・ビーバーは、写真投稿SNSインスタグラムで靖国神社に参拝した写真を4月23日に「神のご加護に感謝」というコメントをつけて投稿した。この写真には60万件以上の「いいね!」がついたが、中国や韓国のネットユーザーは大激怒し、「謝罪しろ」「恥を知れ」などというコメントが大量について炎上し、その日のうちに写真は削除された。削除された後でも中国版のツイッター微博(ウェイボー)ではジャスティン・ビーバーをボイコットしようという動きが盛り上がった。

 この炎上はネット上だけにとどまらず、TIME誌やBBCでも報じられ、中国外務省の秦剛報道局長は定例会見で「カナダ人歌手が日本の侵略と軍国主義の歴史を明確に理解することを期待する」とジャスティン・ビーバーの行動を批判した。それにしても単にプライベート旅行でちょっと観光に立ち寄っただけの行動が一国の首相が参拝したのと同じような波紋を呼ぶのだから、このカナダ人歌手の影響力には恐れいるしかない。

 この騒ぎに対してジャスティン・ビーバーはすぐに謝罪のコメントをツイッターで出した。「見かけた美しい神社に寄ってくれとドライバーに頼んだだけ、神社は単に祈りのための場所だと誤解していた」「気分を害してごめんね。中国も日本も愛してるよ」といった内容だ。素早い対応だがこの謝罪で騒ぎは収まるどころか新しい火種になってしまった。謝罪の言葉の中に韓国が入っていなかったからだ。韓国のメディアでは「『中・日愛している』韓国は?」という見出しで報じられ、韓国のネットでは「もう韓国に来るな」「謝罪文をみて余計に腹が立った」などと怒りの声があがった。

 ついでにこの謝罪には日本国内からも「謝罪するなら最初から参拝するな!」などと反応があり、一部のネトウヨのあいだで「特アの圧力に屈したジャスティン・ビーバーはロックじゃない」「個人の参拝に関して中韓は干渉するな」などと話題になった。彼のことをこの事ではじめて知ったネトウヨも多いだろう。

 しかし本当にジャスティン・ビーバーは無知から靖国神社に立ち寄ったのだろうか? 都内の様々な神社の中からわざわざ靖国神社を選ぶというのが偶然にしてはできすぎている。謝罪をした時韓国に言及しなかったのもネット上で話題になることを考えれば巧妙な手口だ。謝るふりをして火に油を注ぐ結果になっているのだから。ちなみにジャスティンが韓国の存在そのものを知らなかったという事はありえない。なぜなら韓国のお面とハングルで自分の名前を書いたタトゥーを左手に掘った写真を来日のひと月前にインスタグラムにアップしているからだ。

 もし騒動になるのを意図してやったのならばアジアの近代史についてかなり詳しく知っていなければできない。そもそもハングルのタトゥーをアップしたのも韓国好きと思わせておいて靖国神社に参拝し強烈な印象を残す戦略だったのかも……? ジャスティン・ビーバー、実は頭がいい説がにわかに浮上してきた。

 アムステルダムのアンネ・フランク記念館を訪れた際に「もしも現代に生まれていれば、アンネ・フランクは自分のファンだったろう」とゲストブックに書き込んで物議をかもした事もあった。上から目線の自惚れた発言だと話題になり、ジャスティンのファンである女優のクロエ・モレッツも彼の発言を擁護しつつも「少し不適切」とコメントした。しかしこれも本当に考えなしの発言だったのだろうか?

 アンネ・フランクはナチス・ドイツの被害者であり悲劇の歴史上の人物として神聖化されているが、部屋の壁に映画スターのブロマイドを貼ったり、流行の少女小説の愛読者だったりと、ごく普通の思春期の少女としての一面も持っている。アンネの日記を読んでいれば彼女が同居している少年と恋もする等身大の少女だったことがわかるだろう。実際、彼女が現代に生まれていればジャスティン・ビーバーのファンになっていてもおかしくはないのだ。アンネの義理の姉妹でアウシュヴィッツ収容所から生還したエヴァ・シュロースも「アンネはきっとファンになっていたはずでしょう。彼は若い男で、彼女は若い女の子だった、それにアンネは映画スターや音楽が好きだったから」と「ザ・サン紙」で語っている。

 アンネという少女個人の人格まで理解した上で、もしもアンネがポップカルチャーを娯楽として楽しめる時代に生まれていたらきっと明るい青春を過ごせただろうし、自分のファンになっていたかもしれないという意味をこめて上記の発言をしたとすれば恥じることのない立派な発言だ。

 そういえば14歳の頃の「ニガー」とチェーンソーの音をかけて人種差別的ジョークを飛ばしている動画が流出し、謝罪した直後に再びKKKに入るという替え歌を歌っていた動画が続けて流出。さらに罪を洗い流すために友人宅の浴槽で洗礼を受けたという事件もあった。

 まず問題行動をした後に一度謝罪をし、立て続けにさらに火に油を注ぐような事を起こすというのがジャスティン・ビーバーの戦略だとすると、これもまた計算づくで話題を途切れさせないようにする意図があったのかもしれない。だとすると彼は相当な策士ということになる。

 実際彼は大成功しているセレブだし世界中に数多くのファンがいる。話題の発言や画像が素早く流通するツイッターなどのSNSの特性を最も効果的に活用している人間だと言っても過言ではないだろう。そもそもYouTubeから人気が爆発したアーティストでもあるし、メディア戦略においてジャスティン・ビーバーに学ぶべきものは多いのではないだろうか?

 もちろんこうした見方はうがち過ぎで、本人は天然で騒動を巻き起こしてしまう体質なのかもしれない。ジャスティン・ビーバーの大ファンの囚人が刑務所の中で知り合った囚人にジャスティンの暗殺と去勢の依頼をしたが後から思い直して警察に自白したという事件や、ロシアの漁師がヒグマに襲われたが突然鳴り出したジャスティンの歌の着メロにヒグマが怖がって逃げ出した、などのスラップスティック映画めいたエピソードは意図して作れるものではないだろう。

 16歳の時出演したテレビ番組でドイツという国を知らなかった様子を見せるなどの頭が悪そうなエピソードもたくさんある。東日本大震災直後の2011年5月、余震や放射能を怖れるスタッフの反対を押し切ってジャパン・ツアーをキャンセルせずに来日したのも、単に放射能の危険性に関する知識がほとんどなかったからという見方もある。

 日本好きなのはおそらく本当なようで「日本は車を追いかけられて叩かれたりしない国だから好き」などとコメントをしている。現在では改心して大人しくなったような姿勢を見せているが、次にジャスティンが来日した時はまた罪のない騒動を起こして欲しい、というのは筆者の個人的な願望である。
(東池誠之)

最終更新:2015.12.04 12:31

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