盗んだはずの財布に指紋なし! みのもんたが著書で次男の不当逮捕を主張

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『敗者の報道』(TAC出版)

「どうも、来年3月の第3週から『報道ステーション』の司会を古舘くんに代わってやらせていただくことになりました、みのもんたでございます」

 みのがこんな発言をしたのは昨年まで連載していた「アサ芸プラス」の記事中でのことだった。

 もちろんこれはみののギャグ。2013年、次男の不祥事で『朝ズバッ!』(TBS系)などレギュラー番組を降板したみのだが、最近でも「(仕事のオファーは)どこからもきていません」(みの)という状態が続いている。

 だが、みの本人は現在でも報道番組などへの本格復帰に意欲的で、その機会を虎視眈々と狙っていると見られている。実際、派手な復活パーティや在京テレビ幹部との会合も報じられ、また多くのメディアのインタビューに応じて「やりたいことはまだまだある」など本格復帰の可能性を示唆している。

 そんな中、みのが出版した『敗者の報道』(TAC出版)という本が一部で話題になっている。そこには次男の窃盗未遂容疑逮捕の“真相”が語られていたからだ。

 これまでの報道では、事件は次男が泥酔した男性のカバンからキャッシュカードを盗み、ATMを操作しようとしたとされている。だが、本書によると「本人はいまだに盗みはやっていないと言っています」という。そしてみのもそれを信じているというのだ。

 最初は、このオヤジ、今頃になってまだそんな言い訳をしているのか……と思ったのだが、よく読むと、報道とはかなりちがう事実が次々明らかになってくる。

 まず、みのが次男から聞いた一部始終は以下のようなものだった。8月13日午前1時頃、酔った次男は自販機で水を買おうとした際、自分の財布がないことに気がついたという。

「焦ってあたりを探すとコンビニ前の道路にカードが3枚散らばっていた。そのうちの1枚が自分のメインバンクのキャッシュカードだった。咄嗟に〈やられた! 自分の口座の金を引き出された!〉そう思いこんでしまった次男はカードを拾い、まっさきにコンビニ店内のATMで残高照会しようとした」

 だが、暗証番号が合わない。よく見ると自分の名義ではないことに気づいた次男は、そのカードを店外へポイッと捨ててしまったという。

 その直後、背後にいた警察に呼び止められ何をやったか咎められ、交番に連れて行かれた。その聴取の途中で次男の紛失した財布が届けられたため、財布を落としたのは事実と分かり、そのまま帰宅が許されたという。

 それから1カ月、警察からは何の連絡もなかった。しかし9月11日、自宅マンション前に待ち構えていた刑事たちに次男は窃盗未遂容疑で逮捕されてしまう。その後はみののレギュラー番組出演自粛、そしてマスコミからのバッシング報道が巻き起こっていく。その渦中にありキャスターとしての立場、しかし子供の言葉を信じたい父親としての苦悩で揺れるみの。

 事態はさらに悪化する。10月1日には被害者からカバンを盗んだ容疑で次男が再逮捕されたのだ。当初、次男は容疑を否認したが、その後は罪を認め、マスコミでは窃盗未遂は確定したものとして報道された。

 ところが、10月29日、次男はなぜか起訴されることなく起訴猶予という処分が下されていたのだ。

 いったい何があったのか。実は、次男が盗んだとされる“カバン”と“財布”から次男の指紋は検出されなかったのだという。そして、ATMを調べても“残高照会”を試みようとした記録しか残されていなかった。“引き出し”をしようとした痕跡がなかったのだ。

 これらの事実は、当初から次男が主張していた「落ちていたカードを自分が盗まれたカードだと勘違いし残高照会した」という証言に合致する。また次男はカバンが落ちていたことや、その持ち主が植え込みの中で寝込んでいたこともまったく知らなかったという。

 これらの事実を聞くと、次男の逮捕は明らかに誤認逮捕、冤罪としか思えないだろう。しかしだとしたら、どうしてみのの次男、そしてみのはそのときに声をあげなかったのか。考えられるのは、おとなしく罪を認めれば、釈放と起訴猶予処分にするということで警察と話がついていたという可能性だ。

 当初、警察はみのの次男ということで、なんとしても事件化しようと、前のめりになって捜査を開始。マスコミにもどんどん情報をリークした。ところが、途中で、盗んだとされる“カバン”と“財布”から次男の指紋が検出されなかったことが判明。慌てて幕引きをはかった。

 実際、みのは同書の中で、警察の前のめりな姿勢についてこう疑問を述べている。

「キャッシュカードとカバンの窃盗容疑をわざわざ分けて逮捕するというのはあきらかに異例でした(略)何がなんでも警察は次男を起訴に追い込む腹づもりでいることが明白になりました」
 
 加えてその体制も異例だったという。捜査にあたったのが所轄ではなく警視庁捜査第3課という“プロの泥棒”を扱う専門部署だったからだ。

「単に“置き引き”の疑いがあるというレベルの事件を担当する捜査員たちではありません。そもそも、どうしてそんなスペシャリストたちが出動してきているのか?」

 みのは元検察官で警察内部の事情に詳しい弁護士からこんなことを言われたとも付け加えている。

「原因は君だよ。この件は君が“みのもんた”じゃなかったら、1日でおしまい。逮捕までいかなかったんだよ」
「人の不幸は密の味と言う言葉もある」

 しかし、みのはそれでも結局、同書の中で冤罪とは一言もいっていない。 不当逮捕という表現も使っていない。その背景にはおそらく、みのの次男が警察との取引に応じてしまったということがあるのだろう。次男の側にも他人のキャッシュカードを残高照会とはいえ一旦使用し、そのまま捨ててしまった負い目があり、そのため、「罪を認めれば起訴猶予にする」という取引に応じてしまった。その次男を慮って、一番核心の部分を話していないのではないか。

 だが、もし、みのが本当にキャスターとして報道番組復帰したいと思っているなら、この部分を包み隠さず話し、そして不当逮捕した警察と当時、洪水のような報道を繰り広げたマスコミと対峙すべきだろう。そのことが、みのにとってのみそぎであり、甘やかしてきた次男に対する親の責任の取り方というものではないだろうか。
(伊勢崎馨)

最終更新:2017.12.09 04:45

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