カルチャーに関する話題……本と雑誌のニュースサイト/リテラ
読者プレゼントはなんと「棺」! 葬儀・終活雑誌の軽さがスゴい!
「終活読本 ソナエ」vol.5 2014年夏号 (産経新聞出版)
雑誌の懸賞プレゼントというと、昔から人気のバロメーターであり、世相を映し出す鏡でもある。自転車、テレビ、オーディオセット、ゲーム機、海外旅行などなど、時代ごとに豪華景品が登場し、読者の心をつかんできた。
いまや雑誌の読者層は全体的に高齢化しつつある。となれば、プレゼントもその年代に合ったものになるのは当然だ。産経新聞出版の季刊誌『終活読本 ソナエ』の創刊1周年記念プレゼントは、その究極ともいえる。何しろ、「棺」をプレゼントするというのだから。この7月に発売された同誌vol.5(2014年夏号)の誌面には、「日本初のプレゼントになるかもしれません」との紹介文が躍る。
ちょうど同じ号では、「生前葬 「その時が来る前に大切な思いを伝える」」という特集が組まれている。そのなかで、最近の流行として「入棺体験」なるものが出てくる。これは、生前に棺に入ることで「自らの死」や「葬儀」について考えるきっかけとする、というものらしい。葬儀社の行なうフューネラル(葬儀)フェアや終活フェアでは、遺影撮影と並ぶ人気コンテンツになっているそうだ。
棺プレゼントも、そんな風潮に乗ったものなのだろう。プレゼントの紹介文にも、棺を生前に用意して、思い出の品や貴重品の収納箱、あるいは瞑想ルームなどとして利用する人たちがいると書かれている。応募に際しても、棺をどのように活用したいか、はがきに記入することが必須だという。
そんな『終活読本 ソナエ』だが、本誌のメインターゲットであるはずの高齢者でなくても、興味を惹かれる企画が多い。そもそも筆者が本誌を手に取ったのは、昨年夏に出た創刊号の表紙と巻頭インタビューに壇蜜が出ていたからだ。このときちょうどブレイク直後、しかもかつて葬儀社に勤務していた経験を持つ壇蜜の起用は、絶妙だった。
同誌ではその後も、vol.2(2013年秋号)では「千の風になって」の歌手・秋川雅史、vol.3(2014年冬号)では、映画『麦子さんと』で母と死別した娘を演じた堀北真希、vol.4(2014年春号)では作家で僧侶の家田荘子というぐあいに、同誌のテーマにふさわしい人たちが登場している。最新号のvol.5に登場するのは、実家が東京・浅草の大手仏壇店であるタレントの山口もえ。彼女の実家については以前からわりとよく知られていたとはいえ、彼女の口からここまでくわしく語られたのは、ひょっとすると初めてのことかもしれない。
同誌の読みどころは表紙・巻頭ばかりではない。たとえば、vol.3の遺影特集では、仏像ブームの火付け役で、仏教にも造詣の深いみうらじゅんがインタビューに応え、自分の遺影を生前から用意しておくことを勧めていた。同じ号ではまた、「死後のインターネット事情」と題して、ブログやSNSなどのユーザーが死んだあと、それらアカウントがどう扱われるのか検証する企画も組まれている。これなど、高齢者よりもむしろ日常的にネットを使っている若い世代のほうが身につまされるテーマだ。
死というとどうしても暗くて深刻なイメージがつきまとう。相続など厄介な問題も多い。『ソナエ』はそこを、さまざまな切り口から、ときに明るい雰囲気でとらえつつ、死をめぐるあれこれに読者を振り向かせようとしている。
vol.5で特集されている「戒名・布施」もまた厄介な問題だ。それでも「故人の生きざまが伝わる 著名人100人の戒名」というリストのようにトリビアとして楽しめるがあったり、かなりとっつきやすい内容となっている。このリストを見ると、ミュージシャンの忌野清志郎は「忌野清志郎」、作家の幸田露伴は「露伴」、同じく作家の大佛次郎は「大佛次郎居士」と、生前に使っていた名前、いわゆる俗名をそのまま戒名としたケースも結構あることに気づく。
もちろん、戒名料の額など現実的な問題も俎上にあがる。そこでは、戒名は自分でつけられるのか? あるいは、戒名にはいくらぐらい包めばいいのか? などといった疑問に対し、具体例をあげながら解説されている。なかでも、戒名料が普段からの寺とのつきあいの有無により違うという事実とその理由は、目からウロコだった。つまり寺というのは、日常的につきあいのある檀家から、盆や彼岸の読経など折に触れて支払われる布施によって維持されている。それゆえ寺からしてみれば、普段つきあいのない人は、葬儀の際に普段の維持費も含めた布施をしてもらわないと、檀家のあいだで不公平が生じてしまうというのだ。寺とのつきあいというと、せいぜい葬儀や法事ぐらいで大して深く考えたこともなかったが、こうして説明されると思いのほか重要なのだと思い知らされる。
今年ももうすぐお盆だ。『ソナエ』を参考にしながら、自分や肉親の死について考えるというのもありだろう。なお、冒頭で紹介した棺のプレゼントの当選者は1名かぎり、締め切りは2014年9月10日。応募先など詳細はぜひ誌面で確認していただきたい。
(近藤正高)
最終更新:2018.10.18 05:56
関連記事
新着 | 芸能・エンタメ | スキャンダル | ビジネス | 社会 | カルチャー | くらし |
斎藤知事が百条委員会欠席で「知事会出席」を理由にするも…前の知事時代には政府主催の知事会を欠席しあの時の懇話会に参加
国民民主・玉木雄一郎の不倫に“政治活動中の公私混同”疑惑が浮上! ヤバすぎる差別体質とビジネス右翼ぶりにも懸念の声
松本人志「訴訟取り下げ」でワイドショーが醜悪な忖度! 吉本御用スポーツ紙は「物証なし」だけ強調し復帰を扇動
萩生田光一ら非公認“裏金”候補に自民党から政党助成金2000万円振込み発覚も…選挙情勢では続々当選の可能性
“裏金”“統一教会”の萩生田光一を応援する極右勢力と有名テレビコメンテーター 一方、新たな裏金疑惑を検察が捜査開始の報道も
石破茂が史上最速で馬脚あらわに! 手のひら返し解散、統一教会も裏金も再調査せず、菅・麻生以外の人事も酷い
安倍首相が統一教会に選挙支援依頼の証拠を朝日がスクープ! 進次郎のバックにいる菅義偉や萩生田光一もあらためて追及せよ
高市早苗のヤバさは極右思想だけじゃない! 総務省文書問題、統一教会との関係、政治資金規正法違反をめぐる“大嘘”の数々
傀儡・小泉進次郎が改革できない“キングメーカー菅義偉”の官房機密費疑惑! 不正選挙やメディア対策にも
兵庫・斎藤知事問題で維新の責任を改めて検証! 局長を“自死”に追い詰めた維新県議、課長の自死は吉村肝煎り優勝パレードが原因か
松本人志「訴訟取り下げ」でワイドショーが醜悪な忖度! 吉本御用スポーツ紙は「物証なし」だけ強調し復帰を扇動
『仰天ニュース』“赤木ファイル”特集で安倍政権・公文書改ざん事件の卑劣があらためて注目! 中居正広も「あってはならない」と
ジャニーズ会見で井ノ原の「ルール守って」発言賞賛と記者批判はありえない! 性加害企業が一方的に作ったルールに従うマスコミの醜悪
ジャニーズ性加害でジュリー社長辞任もテレビ局は検証放棄! 局内での行為が疑われるテレ朝とNHKの無責任な姿勢
ジャニーズ性加害問題で露わになったテレビ局の共犯性! ジュニアの練習場を提供したテレビ朝日はジュリーの謝罪後も批判なし
坂本龍一が最後まで中止を訴えた「神宮外苑森林伐採・再開発」の元凶は森喜朗! 萩生田光一も暗躍、五輪利権にもつながる疑惑
れいわから出馬 水道橋博士が主張する「反スラップ訴訟法」の重要性! 維新・松井だけでなく自民党も批判封じ込めで訴訟乱発
自公維新が提出「国民投票法改正案」にネットで批判の声広がる! 小泉今日子も〈#国民投票法改正案に反対します〉と投稿
三浦瑠麗が「医者はワイドショー見てコロナ怖がりすぎ」と医療従事者を嘲笑! 専門家から反論されると半笑いで「私、医者じゃないんで」
Netflix版『新聞記者』の踏み込みがすごい! 綾野剛が森友問題キーマン官僚に、安倍御用ジャーナリストはあの人が…
国民民主・玉木雄一郎の不倫に“政治活動中の公私混同”疑惑が浮上! ヤバすぎる差別体質とビジネス右翼ぶりにも懸念の声
“裏金”“統一教会”の萩生田光一を応援する極右勢力と有名テレビコメンテーター 一方、新たな裏金疑惑を検察が捜査開始の報道も
窮地の岸田首相が一番頼りにしているのはあの「Dappi」“仕掛人”説の自民党・元宿仁事務総長!「日本の黒幕」特集本が暴いた新事実
兵庫・斎藤知事の「パワハラ告発職員」追いつめに維新県議が協力していた! 職員は吉村知事肝いり「阪神優勝パレード」めぐる疑惑も告発
“既成政党に与しない”石丸伸二の選対本部長は「自民党政経塾」塾長代行! 応援団筆頭に統一教会系番組キャスターの元自民党職員も
小池百合子が都幹部だけでなく“最側近”を天下りさせていた!「大日本帝国憲法復活」「国民主権を放棄せよ」の請願に関与の元特別秘書
大阪万博建設現場のメタンガスが急増し1日2tも発生! 3月の爆発事故では「通報遅れ」「天井破損」を隠蔽していたことが発覚
萩生田光一が裏金問題で提出した「領収書の嘘」が発覚! 安倍元首相が「官房機密費100 万円を参院候補者に手渡し」報道も
吉村知事はガス爆発でも開き直り「他区域ではガスが出ない」と大嘘! 地下鉄工事でメタンガス確認、大阪市も発生可能性認めたのに
吉村知事が「万博出禁」と攻撃した玉川徹のコメントはどれも当たり前の指摘ばかり! 吉村の言論弾圧体質はプーチン並み
維新ゴリ押し 万博&カジノにかかる金はインフラ整備を含めると8000億円以上だった! 大半が国と大阪市の負担、巨額の税金も投入
防衛費増額の財源で「法人税」を削除し「国民全体の負担」だけにした政府有識者会議は読売社長、日経元会長、朝日元主筆がメンバー
菅首相の追加経済対策の内訳に唖然! 医療支援や感染対策おざなりでGoToに追加1兆円以上、マイナンバー普及に1300億円
菅首相のコロナ経済支援打ち切りの狙いは中小企業の淘汰! ブレーンの「中小は消えてもらうしかない」発言を現実化
菅首相の追加経済対策が“自助”丸出し! コロナ感染対策は10分の1以下、大半が新自由主義経済政策に…坂上忍も「バランスおかしい」
悪評「マイナポイント」事業の広報費は54億円、1カ月で半分を浪費! 事務局事業も電通がトンネル法人通じて140億円
三浦瑠麗のアマプラCMは削除されたが…amazonもうひとつの気になるCM! 物流センター潜入取材ルポが暴いた実態とは大違い
安倍首相“健康不安”説に乗じて側近と応援団が「147日休んでない」「首相は働きすぎ」…ならば「147日」の中身を検証、これが働きすぎか
正気か? 安倍首相の諮問機関「政府税調」がコロナ対策の財源確保と称し「消費税増税」を検討! 世界各国は減税に舵を切っているのに
東京女子医大がボーナスゼロで400人の看護師が退職希望! コロナで病院経営悪化も安倍政権は対策打たず加藤厚労相は “融資でしのげ”
斎藤知事が百条委員会欠席で「知事会出席」を理由にするも…前の知事時代には政府主催の知事会を欠席しあの時の懇話会に参加
萩生田光一ら非公認“裏金”候補に自民党から政党助成金2000万円振込み発覚も…選挙情勢では続々当選の可能性
安倍首相が統一教会に選挙支援依頼の証拠を朝日がスクープ! 進次郎のバックにいる菅義偉や萩生田光一もあらためて追及せよ
高市早苗のヤバさは極右思想だけじゃない! 総務省文書問題、統一教会との関係、政治資金規正法違反をめぐる“大嘘”の数々
傀儡・小泉進次郎が改革できない“キングメーカー菅義偉”の官房機密費疑惑! 不正選挙やメディア対策にも
兵庫・斎藤知事問題で維新の責任を改めて検証! 局長を“自死”に追い詰めた維新県議、課長の自死は吉村肝煎り優勝パレードが原因か
自民党総裁選広告「THE MATCH」は「おじさん」どころか「腐敗ジジイの詰め合わせ」だ! 担当の平井広報本部長は親族ぐるみ税優遇
岸田首相「総裁選不出馬」にごまかされるな! 後継候補の河野太郎、高市早苗、石破茂、小泉進次郎、小林鷹之の欺瞞
都知事候補討論会ですっとぼけるも…小池百合子に清和会時代、裏金を受け取っていた可能性が浮上! 派閥上納額は安倍を超える120万円
裏金裁判で安倍派幹部たちの嘘が明らかに! 抜け穴だらけの政治資金規正法改悪で幕引き図ろうとする自民・岸田政権
瀬戸内寂聴が生前、語っていた護憲と反戦…「美しい憲法を汚した安倍政権は世界の恥」と語り、ネトウヨから攻撃も
「BTSグラミー賞逃す」報道に「韓国人のニュースいらない」「日本人の受賞を報じろ」と炎上攻撃が! 日本スゴイの精神的鎖国
ぼうごなつこ『100日で崩壊する政権』を読めば、安倍首相が病気で辞任ししたのでなく国民が声をあげ追い詰めたことがよくわかる
百田尚樹が「安倍総理にお疲れ様とメールしても返信なし、知人には返信があったのに」とすねると、2日後に「安倍総理から電話きた」
村上春樹が長編小説『騎士団長殺し』とエッセイ『猫を棄てる』に込めた歴史修正主義との対決姿勢! 父親の戦中の凄惨な中国人虐殺の記憶を…
村上春樹がエッセイ『猫を棄てる』を書いたのは歴史修正主義と対決するためだった! 父親の戦中の凄惨な中国人虐殺の記憶を…
安倍首相に利用された星野源がエッセイに書いていた“音楽が政治に利用される危険性” 「X JAPANを使った小泉純一郎のように」
“宇予くん”で改憲煽動のJCと手を組んだTwitter Japanはやっぱり右が大好きだった! 代表は自民党で講演、役員はケントに“いいね”
ウィーン芸術展公認取り消しを会田誠、Chim↑Pomらが批判! あいトリ以降相次ぐ“検閲”はネトウヨ・極右政治家の共犯だ
「ノーベル賞は日本人ではありませんでした」報道で露呈した日本の“精神的鎖国” 文化も科学もスポーツも「日本スゴイ」に回収
幸福の科学出家騒動は清水富美加個人の責任なのか? カルト宗教信者の子どもたちが抱える問題
話題の本『夫のちんぽが入らない』のタイトルに込められた深い意味…しかし一方では広告掲載拒否の動きが
福島の子ども甲状腺がん検診「縮小」にノーベル賞の益川教授らが怒りの反論! 一方、縮小派のバックには日本財団
介護殺人に追い込まれた家族の壮絶な告白! 施設に預ける費用もなく介護疲れの果てにタオルで最愛の人の首を…
宇多田ヒカル「東京はなんて子育てしにくそう」発言は正しい! 英国と日本で育児への社会的ケアはこんなに違う
今もやまぬ人工透析自己責任論の嘘を改めて指摘! 糖尿病の原因は体質遺伝、そして貧困と労働環境の悪化だった
『最貧困女子』著者が脳機能障害に! 自分が障害をもってわかった生活保護の手続もできない貧困女性の苦しみ
雨宮塔子が「子ども捨てた」バッシングに反論! 日本の異常な母性神話とフランスの自立した親子関係の差が
『NEWS23』に抜擢された雨宮塔子に「離婚した元夫に子供押しつけ」と理不尽バッシング! なぜ母親だけが責任を問われるのか
小島慶子が専業主夫の夫に「あなたは仕事してないから」と口にした過去を懺悔!“男は仕事すべき”価値観の呪縛の強さ
人気記事ランキング
カテゴリ別ランキング
社会
ビジネス
人気連載
アベを倒したい!
ブラ弁は見た!
ニッポン抑圧と腐敗の現場
メディア定点観測
ネット右翼の15年
左巻き書店の「いまこそ左翼入門」
政治からテレビを守れ!
「売れてる本」の取扱説明書
話題のキーワード