厚顔、稲田朋美が防衛相時代の失態をネグり復活!「南京事件はなかった」のトンデモ講演、「一議員で終わらない」の決意表明も

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稲田朋美オフィシャルHPより


 大臣辞任から半年も経たず、あの議員が再び息を吹き返した。今月13日、都内でおこなわれた「外務省 目覚めよ!南京事件はなかった」なるタイトルの講演会に稲田朋美が登壇、「日本の名誉を守るとは、いわれなき非難や事実と違うことに断固として反論することだ」「国益を守ることに政治家としての軸足を置いていきたい」と語ったというのだ。

 さらに、この講演会の2日前には、自身が会長を務める「伝統と創造の会」の総会を開催。また、同日はアパグループの「真の近現代史観」懸賞論文の出版記念パーティにも参加し、アパの元谷外志雄代表・芙美子社長夫妻や田母神俊雄氏と肩を並べて仲良く写真を撮っている。

 稲田元防衛相は、南スーダンPKO派遣に際して大規模な戦闘を「戦闘ではなく衝突」と答弁したり、その上「戦闘」としなかった理由を「憲法9条上の問題になるから」と平然と言ってのけるなど、大臣以前に法曹家としても信じられない発言を連発。一方、森友問題では籠池泰典・前理事長との関係を必死になって隠そうとして虚偽答弁をおこなったことも記憶に新しい。

 なにより、大臣辞任の引き金となった日報問題では、稲田防衛相が日報隠蔽に直接関与していたことはもはや決定的であるにもかかわらず、辞任したことを盾にして閉会中審査への出席も拒否。いまだ説明責任をはたしていないのが現状だ。

 しかし、当の本人はまったく無反省。現に、11月に地元・福井でおこなった講演会では、今年10月の衆院選について、涙ぐみながら「今回の選挙ほど苦しいものはなかった」と語ったという。「苦しい」選挙戦になった原因をつくり出したのは自身の責任なのだが、その自覚が微塵も感じられない。挙げ句、この講演会では、自民党の二階俊博幹事長がわざわざ駆け付け、「女性総理の最短距離にある」と太鼓判を押した。

 いや、二階幹事長だけではない。当の稲田氏も〈「このまま一議員で終わりたくない」と再起に意欲をみせる〉(産経ニュース12月5日付)というのだから、呆れて開いた口が塞がらないではないか。

 ようするに、選挙によって「もう禊ぎは済んだ」とばかりに、ここにきて鳴りを潜めていた稲田元防衛相が再始動。大臣であるために抑えてきた歴史捏造主義者としての言動を大々的に解禁しはじめた、というわけだ。

歴史修正主義全開で再び「ポスト安倍」を狙い始めた稲田朋美

 事実、13日に稲田議員が講演をおこなったイベントは、タイトルからもわかるように、外務省および政府の〈日本軍の南京入城(1937年)後、非戦闘員の殺害や略奪行為等があったことは否定できない〉という見解を全否定する、歴史の捏造を目的としたものだ。

 そもそも「南京虐殺はなかった」という“虐殺まぼろし”論は一部のネトウヨや狂信的極右学者、右派メディアが叫んでいるだけで保守系歴史学者の間でも相手にされていないトンデモ論でしかない。しかも、稲田氏は弁護士として参加した南京事件に絡んだ訴訟(「李秀英裁判」「夏淑琴裁判」「南京百人斬り訴訟」)でことごとく敗訴している。だが、稲田氏は歴史的事実から目を逸らしつづけ、南京事件を否定するイベントに元防衛相として登場したのである。

 だが、こうした歴史捏造主義の主張を展開させることこそが、稲田議員が「ポスト安倍」に返り咲くための生命線であることは間違いない。なぜなら、安倍首相が稲田氏を寵愛してきた理由は、そこにあるからだ。

 前述した「百人斬り」訴訟に参加するなかで極右界で注目を集めた稲田氏を勉強会に招いたのは、当時、自民党幹事長だった安倍氏である。安倍氏の側近議員が「安倍さんは稲田さんの弁舌に一目ぼれした。女性の保守という点も珍しいと評価していた」(「週刊文春」2015年10月15日号/文藝春秋)と証言しているが、その後、安倍氏は2005年の郵政選挙の刺客候補として稲田氏に出馬を自ら要請。安倍氏は稲田氏の極右思想と歴史捏造主義のスピーカーとしての才能を買ったのである。

 そして、そうした安倍首相の「趣味」はいまも薄れていない。実際、今年の衆院選では、極右政党・日本のこころ(当時・次世代の党)の元衆院議員である杉田水脈氏を公認。本サイトでは詳しく紹介したように、杉田議員は「9条改憲、愛国教育推進、歴史修正主義、男尊女卑、ヘイト肯定」というバリバリの極右レイシストであり、著書では慰安婦像の“爆破テロ”を推進するような人物だ。この杉田氏を自民党が公認した背景を、櫻井よしこ氏はネット番組『言論テレビ』でこう語っている。

「安倍さんがやっぱりね、『杉田さんは素晴らしい!』って言うので、萩生田(光一・自民党幹事長代行)さんが一生懸命になってお誘いして、もうちゃんと話をして、(杉田氏は)『自民党、このしっかりした政党から出たい』と」

 つまり、稲田氏をスカウトしたときと同じように、いまも安倍首相は「女性で、口が立つ極右」を求めて杉田氏を自民党に引き入れた。そして、その杉田議員は、前述した稲田議員が会長を務める「伝統と創造の会」に加入し、同じようにアパの出版記念パーティにも出席。稲田議員と笑顔で田母神氏を挟んだ写真をブログにアップしている。

「防衛相辞任を慰留され続けた」と安倍の寵愛を自慢する稲田朋美

 先の選挙直前に広報副本部長に抜擢され、メディア批判を繰り返している和田政宗議員の件といい、安倍自民党の「ネトウヨ化」はよりパワーアップしつつあるが、そんななかでも安倍首相の稲田議員に対する愛は変わらないらしい。稲田議員は自身の有力後援者に、大臣辞任の裏側として、こんなことを語っていたという。

「“安倍総理は、『稲田さんまで辞める必要はない』と、何度も突っぱね、辞任をなかなか許してくれなかった”と」
「“自分の信条として、あの2人が辞任するのに、自分だけ大臣の座に残ることなんて絶対にできない。辞めさせてくださいと懇願し、ようやく総理に辞任を認めてもらえた”と仰る(後略)」(「週刊新潮」10月5日号/新潮社)

 この稲田議員の弁が事実か否かはわからないが、少なくとも本人はいまも安倍首相との親密な関係を強調し、「このまま一議員で終わりたくない」という野心も隠さなくなっている。しかも、杉田氏のような過激な議員まで加わったなかで安倍首相に忠臣であることをアピールするべく、今後さらに「初心」である歴史捏造主義者としての言動を強めていくのは必至だ。

 だが、繰り返すが、日報隠蔽問題の説明責任を稲田議員はいまだ果たしていない。それなのに「女性総理の最短距離」にまで簡単に戻れてしまう。それが安倍政権なのである。

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