東京のコロナ感染者は本当に減ったのか 接触者追跡縮小し検査件数も2割以上削減! 和歌山県知事は「崩壊招く」と警告

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷

検査件数が減っただけなのにワイドショーは「感染者が減った」と

 数だけではない。新規感染者の年代別分布にも方針変更前後で変化が見られる。変更以前は20代の新規感染者が全体の20%以上を占め、65歳以上は20%未満だったのが、方針変更前後から、20代は20%未満、65歳以上は20%以上、日によっては26%を占めるようになっている。65歳以上の高齢者の新規感染者は高止まりしている一方、20代の新規感染者が大きく減っているのだ。この変化も高齢者など高リスク者に検査対象を絞った影響と考えられる。

 いずれにしても、検査対象と検査件数が違えば、見かけの感染者数に違いが出てくるのは当然。しかも、その検査を減らした分は濃厚接触者で感染の可能性が高いわけだから、検査件数以上に感染者数が減少する可能性もある。

 それなのに、表に出てきた数字だけ見て「減った」「よかった」と喜んでどうするのか。

 しかも、この検査変更の問題はたんにぬか喜びするメディアやコメンテーターのリテラシーのなさを露わにするだけではすまない。行政の感染対策そのものに、悪影響を与えかねないのだ。

 最初の問題は、データの質が変わるため、感染者数の単純比較ができなくなることだ。とくに、今回は緊急事態宣言の途中に検査基準を変えてしまったために、その効果を検証するにも、正しく検証することができなくなってしまった。検査基準が変わっていなければ「新規感染者が●●人以下に減ったから緊急事態宣言解除」などと、指標として使える可能性もあったが、それも意味をなさなくなった。

 しかし、それ以上に問題なのは、この検査対象の変更が、逆に感染拡大を助長する可能性があることだ。日々の新規感染者数は人々の行動抑制にも大きく影響しているため、この検査方針変更で突然、感染者数が少なくなると、緩みや安易な楽観論を生み出しかねない(実際、そうなっている)。

 しかも、この検査変更によって、実際に濃厚接触者や感染者が放置されるケースが増え、そこから感染が広がっていく可能性が非常に高い。

 検査抑制論者は「高リスク者以外の濃厚接触者はたとえ検査で陽性が判明しても、現在の医療提供体制では宿泊療養はできない。いずれにしても自宅隔離になるから結果は同じ」などと主張しているが、全然違う。濃厚接触者の陽性が判明すれば、さらにその先の濃厚接触者も隔離保護することができるが、濃厚接触者の検査をしないと、その先の濃厚接触者が、感染していることに気づかず活動し、感染を拡大させてしまうからだ。

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

新着芸能・エンタメスキャンダルビジネス社会カルチャーくらし

東京のコロナ感染者は本当に減ったのか 接触者追跡縮小し検査件数も2割以上削減! 和歌山県知事は「崩壊招く」と警告のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。仁坂吉伸和歌山県知事新型コロナウイルス東京都緊急事態宣言編集部の記事ならリテラへ。

マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄