大河『いだてん』に関東大震災「朝鮮人虐殺」を示唆するシーンが! 右派の虐殺否定デマに抗した勇気

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朝鮮人虐殺を示唆した『いだてん』(番組HPより)


 16日放送のNHK大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』が話題になっている。関東大震災時に起きた、朝鮮人虐殺を示唆する描写に踏み込んだからだ。

 ご存知のとおり、関東大震災は1923(大正12)年9月1日に起きたのだが、『いだてん』の主人公のひとり・マラソンランナーの金栗四三も当時東京府女子師範学校で教員として勤めており、震災に遭遇する。

 ドラマ中盤、ちょうどお昼時だった東京の街を地震が襲う。地震そのものも以上に火災の被害も大きく、浅草から日本橋、芝まで炎に包まれ、2日かけて東京が焼き尽くされる。なかでも浅草の被害は大きく、シンボルだった凌雲閣の倒壊をはじめ、2日で街が消えるほどの壊滅的な被害を受ける。

 混乱さめやらぬなか四三は、浅草で行方不明になっている同僚教師を懸命に探すのだが、そこで棒を手にした数人の男に声をかけられる。

 男らは「おまえ、日本人か? どこから、どうやって来た?」と、四三にいきなり出自を問う。四三が「いやいや、どぎゃんも、こぎゃんも……」と出身である熊本訛りで答えると、男らは「なんだ? なんだ、その言葉? 日本人じゃないな」四三を取り囲む。四三が「熊本! おら熊本だげん!」と答えても、「くまもとぉ?」とさらに問い詰める。

 そこへたまたま、四三の教え子の父親で医師の大作があらわれ、「娘の学校の先生だ、日本人だ」「大丈夫だ!」と、四三を助け出したことから、なんとか事なきを得たが、男らは「本当か!?」としつこく詰め寄っていた。

「ご無事で何より」と無事を労う四三に、大作は先ほどの男らについて「自警団ですよ」「この災害のどさくさで、根拠のない流言飛語が出回っている。大きな余震がくるとか、井戸に毒がまかれたとか、とんでもないデマがね」と説明する。

 時間にしてわずか1分足らずの場面で、「朝鮮人」という言葉こそ出していないものの、関東大震災時に起きた「朝鮮人虐殺」を描いたものだ。

 大作が流言飛語が飛び交っていると説明していたとおり、実際の震災時も「朝鮮人が暴動を起こした」「井戸に毒を入れた」「火をつけて回っている」などのデマ・流言飛語が飛び交い、それを信じた自警団を称する日本人たちにより多くの朝鮮人たちが殺害された。

 また熊本訛りの四三に対し「おまえ日本人か?」「なんだその言葉? 日本人じゃないな」と問い詰めていたのも、実際に当時「アイウエを言え」「教育勅語を言え」などと詰め寄り言葉に詰まったり発音が違ったりすると「朝鮮人だ」として暴行するという行為が横行していたことに基づいている。また、四三のように棒を手にした自警団に「朝鮮人だろう」と取り囲まれるというのは、実際、当時中学生だった故・黒澤明監督も同様の体験を自伝のなかに記している(https://lite-ra.com/2017/09/post-3425.html)。

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