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「令和」の考案者・中西進の意外な護憲姿勢! 安倍首相に「憲法尊重」要望、安保法制反対、「9条にノーベル賞」発言
『憲法についていま私が考えること』(角川学芸出版)刊行会見でも平和を語っていた中西氏
「令和」ブームに乗って、ついに“憲法を改正して来年に施行”という考えをあらためて強調した安倍首相。3日におこなわれた日本会議系の極右改憲派の集会ではビデオメッセージを寄せ、今年を「令和元年という新たな時代のスタートライン」とし、改憲議論を進めていくことに言及した。
改元と憲法改正には何の関係もないが、新元号発表で内閣支持率が上がったように、この機会を徹底的に政治利用しようと安倍首相が考えていることは明々白々。一気に憲法改正へと舵を切ることは間違いない。
だが、そんななか、“話題のあの人”が安倍首相に苦言を呈した。新元号の考案者とされている国文学者の中西進氏だ。
新元号をめぐっては、2月末までに出揃っていた候補案を安倍首相がどれも気に入らず、中西氏ら複数の学者に新しい案を追加依頼したところ、中西氏が出した案のひとつだった「令和」を安倍首相が気に入り、「令和」を本命としたかたちで有識者懇談会に提出。露骨な誘導で「令和」を支持させ、全閣僚会議でも押し通したと言われている。
そんな安倍首相を満足させた新元号の提案者である中西氏だが、4日に富山市でおこなわれた講演会に登壇。「令和」の意味について、〈「令」には「秩序というものをもった美しさ、麗しい」という意味が込められていると解説〉(時事通信5月4日付)し、「和」については〈聖徳太子の十七条憲法の「和をもって貴しとなす」につながるもの〉(朝日新聞5月4日付)とした。そして、十七条憲法は外国との激しい戦争を経験した直後につくられ、いまの憲法の制定時と時代背景に共通点があると指摘して、こう述べたという。
「(十七条憲法は)故国を喪失した人たちが力を合わせて平和憲法をつくった。非常に崇高な切実な願いを持っている」
「代々の宰相は十七条憲法を尊重しているので、今の宰相にもぜひそうしてほしい」
平和憲法の精神を安倍首相も尊重してほしい──。「十七条憲法」は憲法と付いているものの実際は「役人の心得」でしかなく、constitusionの訳語である近代の「憲法」とは異なるものだが、それでも「令和」考案者の中西氏が「和」という字に「平和憲法」を尊重してほしいという願いを込めたことはたしかなようだ。そして今回、安倍首相に直接言及し、「平和憲法」の尊重を求めたのだ。
ようするに、これは世界に名だたる「平和憲法」である日本国憲法、なかでもその平和主義を支える「憲法9条」の改正を進めようとしている安倍首相に対する牽制ではないのか。
これは何も無理にこじつけようとしているわけではない。実際、中西氏は韓国の中央日報のインタビューでも、自分が「令和」の考案者であることには触れず、しかし「一にも二にも平和(が重要)だとする平和論者が考案した元号だ」と述べたという(共同通信5月3日付)。
しかも、自らを「平和論者」と呼ぶだけではなく、憲法9条を守るために行動も起こしている。というのも中西氏は、安保法制や安倍政権による改憲に反対を掲げて運動をおこなっている、市民団体などでつくる「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動」の賛同者に名を連ねているのだ。
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