ピエール瀧逮捕報道で炎上した深澤真紀は間違ってない! 違法薬物問題に「厳罰より治療を」は世界の潮流だ

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荻上チキらが提起した「薬物報道ガイドライン」

 先に引いた、「日本の法整備は遅れている」との深澤氏の言葉を受けたコーナー進行担当の伊藤利尋アナウンサーは凍り付いた表情で、このように切り捨てたのだ。

「とても大切な視点だとは思いますが、しかしまあ、現状法律で定められた社会のルールを犯してしまった、本人はその容疑を認めている」

 伊藤アナにせよ、深澤氏に噛み付いたネットユーザーにせよ、彼らの主張は「我が村のルールを破った者は厳罰に処されなくてはならない。海外でどんな法律の運用がなされているかなど知ったことではないし、治療の現場にも興味はない。とにかく、ピエール瀧は恐ろしい犯罪者である。彼の行いの何が“罪”なのかはわからないし、考える気もない。とにかく、罰せられるべき犯罪者だ。理由はひとつ。“我が村のルールを破った”からだ!」ということに他ならない。

 一度、コミュニティの掟を破ったものは、彼らの言う道義的な「正義」の名のもとにどこまでも断罪され、その後、再び仲間に引き入れられることはない。

 彼らの言葉からは、現在日本にまん延する潔癖で閉塞した空気感が集約されている。

 おかしいのは、深澤氏ではなく、彼らのほうだ。

 2017年に、荻上チキ氏(評論家)、松本俊彦氏(国立精神・神経医療研究センター)、上岡陽江氏(ダルク女性ハウス代表)、田中紀子氏(ギャンブル依存症問題を考える会代表)といった専門家によって、「薬物報道ガイドライン」というものが発表されている。

 このガイドラインでは、薬物に関する報道を行ううえでメディアが「避けるべきこと」と「望ましいこと」が具体的に言及されている。

 そこでは、「避けるべきこと」のなかに〈「人間やめますか」のように、依存症患者の人格を否定するような表現は用いないこと〉〈薬物依存症であることが発覚したからと言って、その者の雇用を奪うような行為をメディアが率先して行わないこと〉〈「がっかりした」「反省してほしい」といった街録・関係者談話などを使わないこと〉といったものがあり、逆に、「望ましいこと」のなかに〈依存症については、逮捕される犯罪という印象だけでなく、医療機関や相談機関を利用することで回復可能な病気であるという事実を伝えること〉〈「犯罪からの更生」という文脈だけでなく、「病気からの回復」という文脈で取り扱うこと〉〈依存症の背景には、貧困や虐待など、社会的な問題が根深く関わっていることを伝えること〉といった指摘がある。

 伊藤アナやネットユーザーが強化した「ルールを破った者は永遠に村八分」は「避けるべきこと」であり、深澤氏の意見の切り口は「望ましいこと」であった。

 欧米諸国において違法薬物の問題が「厳罰主義から治療へ」といった方向に変わっているのは、医療の進歩や様々なデータの研究の結果、厳罰主義が薬物事犯の抑制に効果がないということが明らかになったからだ。

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