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北海道知事選でも安倍官邸が暗躍! 地元の声を無視し候補者ごり押しも、野党が統一候補で対抗

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自民系候補の鈴木直道・夕張市長は政策でも官邸の言いなりか?

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北海道知事選で候補者選定を主導したとされる菅官房長官(1月20日、山梨県知事選での応援演説・撮影/横田一)


 JR九州の『ななつ星』ような観光列車を走らせたり、増え続ける外国人観光客に道内を列車で移動してもらうことなどによって、赤字路線を黒字に近づけていくといった将来を見据えた大胆な鉄道維持(死守)政策を打ち出す発想は鈴木市長にはない。安倍政権のという新自由主義的枠組みの中で、いかに若い市長の自分をカッコ良く見せるかを考えている優等生的小役人のように見えるのだ。

「見た目は子供、頭脳は大人」の名探偵コナン風に言えば、「見た目は若者、頭脳は老人」となるだろうが、ただ「バックに菅官房長官がいる」「官邸忖度志向の吉川道連会長が『鈴木市長ありき』で候補者選考を進めてきた」「カジノ誘致・原発再稼働・JR廃線推進の安倍政権には異議申立てはしない」という“官邸言いなり候補”であることは一部の政界関係者や報道関係者は知っているが、大多数の北海道民は知らない。「爽やかで元気があって夕張を再生した」というイメージが強いので無党派層の票はかなり鈴木市長に入ると見られている。

「具体的には菅官房長官の操り人形になるだろう。知事選候補者選定の段階から、これだけ『鈴木ありき』で後押しをした官邸とその意向を忖度した自民党道連会長の世話になれば、カジノ誘致や泊原発再稼働やJR廃線問題で中央に逆らえるはずがない。神輿に担がれた状態になるだろう」(前出・道政ウォッチャー)

 8日、石川元衆院議員は札幌市内のホテルで記者会見し、無所属での立候補を正式に表明。また道内の立民や国民、共産、社民なども石川元衆院議員を野党統一候補とすることを確認した。「中央依存VS地方自立」の構図が浮き彫りになった。出馬会見で石川氏は、富山生まれの元官僚の高橋知事道政16年間を「中央依存体質が続いた」と総括する一方で、市町村長や経済人らから意見を聴く北海道のダボス会議「北海道経営会議」創設を“目玉政策”として掲げ、地方分権自立(脱中央依存)を目指す姿勢をアピールしたのだ。

 個別の主要政策(争点)でも鈴木市長との違いは明確。カジノを含むIR誘致について「鈴木市長は『経済的にプラス』と言っているが」との私の質問に対して「経済成長に資するか疑問だ」と明言。鈴木市長が出馬会見で全く触れなかった原発政策についても「脱原発の立場で原子力に頼らない北海道を目指す」と冒頭説明で訴え、続く質疑応答でも泊原発再稼働に慎重な姿勢を繰り返した。さらにJR北海道の廃線問題でも「赤字路線を維持すべき」との立場を強調しながら、安すぎる貨物料金アップやJR東日本との連携などの抜本的対策実現への意欲も示した。赤字路線を国策で維持する海外事例に目を向けない地方切捨ての安倍政権に対して、出馬会見で異議申立てをしたともいえるのだ。

 北海道知事選は与野党激突の構図であると同時に、辺野古新基地建設強行で保守分裂・オール沖縄誕生となった沖縄県知事選と同じ「中央(官邸)依存路線VS地方(オール北海道)自立路線」という様相も帯びてきたのだ。北海道知事選から目が離せない。

最終更新:2019.02.27 11:15

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