イオンが文春に1億6千万円を請求した名誉毀損裁判で東京高裁が「記事は真実」と判断、大企業のSLAPP訴訟を批判

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「週刊文春」2013年10月17日号中吊り広告(文藝春秋WEBより)


“文春砲”をめぐり注目すべき判決が下された。「週刊文春」(文藝春秋)2013年10月17日号に掲載された流通大手イオンの食品汚染記事に関し、東京高裁(野山宏裁判長)が「見出し以外記事の内容は真実」として1審の賠償2492万円から110万円の大幅減額を命じた。

 事実上、文春の“勝訴”である。さらに、判決の中で野山裁判長はこう語った。

「食品の安全に関して問題を提起する良質の言論で、裁判を起こすことで萎縮させるのではなく、言論の場で論争を深めていくことが望まれる」

 裁判に訴えたイオンの姿勢を諌め、その上で、「文春」記事が「食の安全にリスクが生じているのではないかと問題提起する良質の言論」と評したのだ。

 非常に真っ当な判決だが、そもそも今回の訴訟は、イオンの対応のほうに明らかに問題があった。

 問題となった「文春」の『「中国猛毒米」偽装 イオンの大罪を暴く』は、イオンで販売された弁当などに産地偽装された中国米が混入していたこと、さらにイオンの検査体制のずさんさや、仕入先の卸売会社との不透明な関係、全商品の8割が中国産であることなどが告発するもの。見出しはかなりショッキングではあるが、記事の内容そのものはかなり精緻に取材したもので、具体的な関係者の証言や証拠もそろっていた。

 ところが、イオンはこれに対し「記事の内容は事実に反する」として謝罪と雑誌の回収などを要求。これを拒否されると1億6500万円もの巨額損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こしたのだ。

 しかも、イオンの取った措置はそれだけはなかった。全国のイオンやイオングループ傘下のミニストップなどの直営店から「週刊文春」を撤去してしまったのだ。さらにイオンは、記事の反論として新聞社などに意見広告を出稿、その広告費用を損害額として文春側に要求もしている。

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