朝井リョウが「兼業作家に戻りたい」発言! 古巣の東宝が絶好調で作家として成功の川村元気が羨ましくなった?

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 しかも、同社には、川村元気がいる。川村は東宝のサラリーマン映画プロデューサーとして数々の映画をヒットさせながら、『世界から猫が消えたなら』で小説家デビュー。小説もベストセラーになり、そのあとも『億男』、さらには「週刊文春」(文藝春秋)で『四月になれば彼女は』を連載するなど、作家としての地歩を固めている。しかも、川村は自分の小説を東宝で映画化もしており、ひとりメディアミックス状態も作り上げている。

 もしかして、朝井はこうした状況を見ていて、「僕もうまくやれば、川村さんみたいになれたのに」と後悔し始めたのだろうか。

 と思ったが、朝井のインタビューをいろいろチェックしてみると、どうも少し違うようだ。

 そもそも、朝井が東宝を辞めた真の理由は、サラリーマン兼業ではとても不可能な、長い時間の取材を要する小説の企画が立ち上がったからだと、昨年5月にウェブサイト「本の話WEB」で朝井自身が語っている。

「理由は、少し先ですが、東京ではない場所に仕事場を構えて臨む仕事の依頼をいただいたからです。物凄く悩みましたが、引き受けることに決めました。また、膨大な量の資料を読み込み、勉強もしなければならないので、時間的な面でも兼業だと厳しいだろうな、と感じました。まだ詳しい内容は言えないんですが……。
 5年間作家をやってきて、自分が自分から手を伸ばす範囲みたいなものが少し見えかけていた時期だったんです。それでは成長しないだろうなと思っていた時にいただいたこの依頼は、自分からは絶対に手を伸ばさないようなジャンルのお話でした。これを引き受けるか受けないかで作家としての成長が止まるか止まらないかが決まる、という気がしました」

 それで、東宝をやめることになった朝井だが、この企画の話は途中でなくなってしまったのだという。15年12月に応えたインタビューでこのように語っている。

「もともと会社を辞めるきっかけになった大きな仕事は、色々なトラブルが重なって消えてしまったんですが」(ウェブサイト「マイナビニュース」内インタビューより)

 しかし、今回の発言は、安定した生活を取り戻すためにまた会社員に戻りたい、というような単純な話ではない。サラリーマン時代の彼は、朝5時に起きて出社前に原稿を書き、会社が終わって家に帰ったらゲラを読むなどし、土日も作家仕事に宛てていた。二足のわらじを履くことでゆっくり休む時間もなくなり、肉体的にはボロボロになっていった。しかし、逆に精神的には安定していたという。前掲「SPA!」で朝井はこう語っている。

「24時間全身くまなく使っていて、余計なことを考えるヒマがないのが気持ちよかったんです。小説を書くことが生活の中心だと、自分が今何を食べたいのかすらわからなくなっちゃうような人間なので」

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