フジロックSEALDs奥田出演に「音楽に政治を持ち込むな」と炎上させたバカどもは音楽とフェスの歴史を学び直せ

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〈「政治的なものは嫌」とか言える人は、自分が聞いてるものがいかに狭く、小さいものであるかが分かってないんだろうと思う。そのうち映画でもこういうことを言う人が出てきそうだな。「メッセージ性が強い映画は嫌い」とか〉

 後藤氏が主張している通り、今回の件で騒ぎ立てている人間は、フジロックになど行ったこともないし、フジロックがどういうイベントなのかもまったく分かっていないし、音楽と政治がどう関わってきたかの歴史についてもまったく知らない人間なのだろう。

 FUJI ROCK FESTIVALは、1997年のフェス開始時より社会的なイシューに対して自覚的なフェスであった。特に、地球環境問題に対しての啓蒙活動はこだわりをもって行い続けており、徹底したゴミの分別や省エネ対策への努力などから、いまでは「世界で一番クリーンなフェス」とも称されている。また、運営としても今回奥田氏などが参加する「アトミック・カフェ」をはじめ、反戦や脱原発へのメッセージを発信し続けてきた。それは、出演するアーティストに関しても同じである。

 ウェブサイト『FUJIROCKERS.ORG』のなかで、フジロックを主催するスマッシュの山本紀行氏が〈フジロックの象徴は、忌野清志郎さんとジョー・ストラマーです〉との発言を残しているが、平和を愛し、権力に対して反抗のメッセージを常に掲げた二人を「象徴」としていることからも分かる通り、フジロックではステージ上でも常にアーティストから反戦などのメッセージが訴えられ続けてきた。エルヴィス・コステロ、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン、パティ・スミス、アタリ・ティーンエイジ・ライオット、マッシヴ・アタック、BRAHMAN、YMO、斉藤和義……。多くのアーティストが音楽を通して自らの主張を送り届けてきたのだ。

 また、今回奥田氏がブッキングされたアトミック・カフェというステージ自体、1980年代に反核・反原発のメッセージを訴えるべく開催されていた「アトミック・カフェ・フェスティバル」を復活させたものという経緯がある。アトミック・カフェ・フェスティバルには、ルースターズ、ARB、SION、浜田省吾、ブルーハーツといった面々が出演。そのなかでも、尾崎豊がライブ途中に照明に上り、7メートルの高さのやぐらから飛び降りて骨折しながらもそのまま歌いきったパフォーマンスは、日本のロック史に残る伝説として今なお語り継がれている。アトミック・カフェではこれまで、加藤登紀子と佐藤タイジがコラボしてライブを行ったり、田原総一朗のトークショーが行われるなどしてきた。

 フジロックが社会や政治に対して主張を掲げたのは最近になっての話ではない。97年に始まった時からずっとそうだった。それはフジロックがどんなフェスであるか、実際に行ったことがあり、少しでも知っている人間なら誰でも理解していることだ。

 さらに、もっと言えば、「音楽に政治を持ち込むな」という意見自体、20世紀以降のポップミュージックを何にも理解していないから出てくる言葉だと言わざるを得ない。

 ロックやジャズの元となった「ブルース」という音楽自体、19世紀のアメリカ南部の綿農場で強制労働させられていた黒人たちが、つらさを紛らわすために仕事中に歌っていたワークソングが元になっており(人生の悲哀などが主な歌詞のテーマとなる)、そのブルースから20世紀以降のすべてのポップミュージックが派生している以上、音楽とは始めから社会性や政治性を含んでいるものであると言える。

 その構図は、50年代〜60年代以降、エルヴィス・プレスリーやビートルズの影響で欧米産のポップミュージックが世界的に強い影響力をおよぼすようになって以降も変わらない。

 特に、60年代後半は、政治や社会に対する問題をテーマにした歌で世界が変わった時代である。たとえば、ボブ・ディラン「風に吹かれて」やピート・シーガー「花はどこへ行った」といったフォークソングが反戦集会で歌われ、人々の厭戦意識を高めることに対し大きな力をもった。

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