紅白最低視聴率を生んだNHKの異常なジャニーズ依存 籾井会長は嵐とタッキーのコンサートに…

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 実際、もはや誰も気にしていないであろう紅組白組の優勝組に関しても、今回は紅組が勝ったものの、2005年以降、2011年に一度紅組が勝ったのをのぞいてはずっと白組の勝ちが続いていた。紅白史上、こんなに勝ちが偏るのは近年だけである。

 これには2005年以降、ケータイやワンセグなどを通じ、一般の視聴者も審査に参加できるようになったということが大きな影響を及ぼしていると考えられている。先に述べた勝ちの偏りは、ジャニーズのファンたちがいかに熱心であるかを表す証左である。(さらにいえば今回白組が負けたのは、マッチなどのゴリ押しは事務所都合で、もはやジャニーズファンすらのぞまないものとなってしまったためだろう)

 実は、紅白歌合戦はその長い歴史のなか、終了に向けて本格的に歩みを進めたことがある。1989年の大みそかは、紅白ではない新番組の企画が練られ、実際にその実現に向けて動きだしていた。結局、その企画は時間切れで断念せざるを得なくなったため紅白歌合戦は続行。その年の内容が好評だったことで紅白は現在まで続くことになるのだが、この年の内容次第では紅白歌合戦はなくなっていた可能性も大いにある。また、これから先、このように紅白の終了が検討されることも大いに考えられるだろう。

 社会学者の太田省一氏は『紅白歌合戦と日本人』(筑摩書房)のなかで、「紅白歌合戦」をこう評価している。

〈私たち日本人が60年以上にわたって「紅白」を見続けてきたのは、そこに〈安住の地〉を見出してきたからである。
 帰省して実家で見るにせよ、何らかの事情で都会の自室で一人で見るにせよ、淋しさや不安を抱いた日本人を、「紅白」は笑顔で迎えてくれる。たとえそれが、バーチャルな安らぎであったとしても。1963年「紅白」における81.4%という視聴率は、敗戦後の占領期を経て、ようやく〈安住の地〉を見出せるかもしれないという日本人の思いが弾き出したものではなかっただろうか。
「紅白」が「国民的番組」とまで言われるようになり、「年中行事」と呼ばれるほど生活の中に定着し得たのも、〈安住の地〉を求める私たち日本人の気持ちがあったからに違いない〉

 紅白が「オワコン」化し続けていっているのは、内容云々の問題ではなく、もはや日本人が「安住の地」を求めていないからであるとすれば、この紅白離れはコンテンツの問題ではなく、「紅白歌合戦」というフォーマット自体が時代から取り残されているということである。

 紅白の視聴率が下がったのは、コンテンツの問題なのか、それとも、紅白自体がもう時代遅れだからなのか。どちらが本当の理由なのかは、そう遠くない将来に分かることだろう。
(新田 樹)

最終更新:2018.10.18 04:05

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