改憲に動き始めた安倍首相の「押しつけ憲法論」は嘘だらけ! GHQ支配の元凶は自民党とお前のじいさんだ!

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 だが、安倍や自民党にそんな知性や誠実さはない。自分に都合のいい部分だけをつまみ食いして、ひたすらすべては占領期の洗脳だったという陰謀論を垂れ流すばかりだ。

 戦後、日本は、それまでなかった女性の参政権、財閥解体、農地解放、平和主義と国民主権、人権尊重と人道主義、労働組合の育成を推し進め、戦後民主主義の礎をつくっていった。ところが、安倍首相らWGIP史観の連中は、これも“押し付け”られたものとして忌み嫌う。

 その最たるものが、9条で戦争放棄を謳った日本国憲法の制定だ。たとえば、安倍首相は現行憲法はアメリカの“押し付け”であり“みっともない”と断じる根拠として、以下のようなものをあげている。

〈まず、憲法の成立過程に大きな問題があります。日本が占領下にあった時、GHQ司令部から「憲法草案を作るように」と指示が出て、松本烝治国務大臣のもと、起草委員会が草案作りに取り組んでいました。その憲法原案が昭和21年2月1日に新聞にスクープされ、その記事、内容にマッカーサー司令官が激怒して「日本人には任すことはできない」とホイットニー民生局長にGHQが憲法草案を作るように命令したのです。
 これは歴史的な事実です。その際、ホイットニーは部下に「2月12日までに憲法草案を作るよう」に命令し、「なぜ12日までか」と尋ねた部下にホイットニーは「2月12日はリンカーンの誕生日だから」と答えています。これも、その後の関係者の証言などで明らかになっています。
 草案作りには憲法学者も入っておらず、国際法に通じた専門家も加わっていない中で、タイムリミットが設定されました。日本の憲法策定とリンカーンの誕生日は何ら関係ないにもかかわらず、2月13日にGHQから日本側に急ごしらえの草案が提示され、そして、それが日本国憲法草案となったのです〉(安倍晋三公式サイトより)

 なんという粗雑で浅薄な歴史認識だろう。実際、安倍首相のような占領憲法、押し付け憲法論に対して、日本を代表する近現代史研究者の保坂正康は、占領下という圧倒的に不利な状況でも日本の平和と国益を守るために一身を賭した先達への侮辱であると批判している(毎日新聞2013年6月8日)。

〈吉田茂や幣原喜重郎、それに全面的賛意を示していた昭和天皇の努力、熱意に考えが及んでいない〉
〈現憲法を作成するために当時の政治指導者がどのように努力を払ったか、単に占領憲法というだけでは彼らを侮辱していないかと指摘しておきたい〉というのである。

 勉強不足の安倍は知らないと思うが、GHQの憲法草案は日本人の憲法学者、鈴木安蔵らの憲法研究会がつくった憲法草案要綱がベースになっている。つまり、日本国憲法の起草者は日本人だったとも言えるのだ。しかも、GHQ草案は日本の国会で審議され、さまざまな修正が加えられた。単純な“押し付け”ではないのである。さらにいえば、保坂も指摘していることだが、安倍らが改定を熱望している第9条もマッカーサー(アメリカ側)の発案ではなく、当時首相だった幣原喜重郎の示唆によって挿入されたものだったのだ。

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