安倍政権批判本が書棚から消える? ジュンク堂ブックフェアのネトウヨ攻撃・撤去事件で奪われた書店の良心と自由

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 町の書店が軒並み姿を消し、なんとか生き残っているのは大手チェーンの書店ばかり。その大手チェーンも近年大企業の資本が入っている。たとえば、リブロは日販の100%子会社、TSUTAYAは日販と資本提携、ジュンク堂も大日本印刷の傘下だ。表現や文化の多様性を下支えするはずの書店も、資本の波に飲み込まれてしまっているのが現状である。

 資本の論理の前に売れる本だけが売れ、それ以外の大多数の本は見向きもされないという現象は加速し、各書店の独自性はもちろん、出版の多様性すらも失われる一方だ。

 そんななか、かろうじて、言論の多様性を担保してきたのは、書店員の良心だった。仕入れで、棚づくりで、フェアで、ひとりひとりの書店員が、個人の良心にのっとって、自分のできる範囲で、かろうじて言論の自由と書物の持つ多様性、教養主義を担保してきたのだ。

 だが、ひとたびこうしたトラブルが起きると、大資本はそうした書店員の自由を許さなくなる。書店の良心や公益性よりも利益を優先する大資本は、その営利追求を邪魔するものとしてトラブルの種を徹底的に避けようとし始める。

 おそらく、これから先、大手書店では政治的なことをツイートするのはもちろん、ちょっとでも政治色のあるフェアをやること自体がタブー化してしまうだろう。

 いや、今回の件で味をしめたネトウヨたちが、調子に乗って、安倍政権を批判する本を置いてあるだけで、抗議や嫌がらせを行い、自由に本を選び置くことすらできなくなる可能性さえある。

 この「自由と民主主義フェア」撤去問題は、決してジュンク堂だけの小さな問題ではないのだ。その意味で今回のジュンク堂本部の撤去という対応は、非常に罪が重い。
(酒井まど)

最終更新:2015.10.24 10:52

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