独裁国家・北朝鮮のアウトローたち…放射性物質や世界遺産を盗み出し闇経済で売買!

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 そもそも北朝鮮の国民たちが、社会主義体制に逆らって、こっそり「ヤミ経済」に身を投じる背景には、深刻な経済難がある。1990年前後のソ連・東欧の社会主義圏崩壊の煽りを受け、経済的に大きな打撃を受けた北朝鮮は、数百万人もの餓死者を出すほど、食糧難にあえぐこととなる。こんな状況下で、北朝鮮の国民がどうにか生きていく道を探っていった結果が、ヤミ経済だったというわけだ。

 北朝鮮のヤミ経済では、放射性物質までもが取引されている。検察文書では、北朝鮮北東部の清津(チョンジン)市で、放射性物質の硝酸ナトリウムが軍需工場から大量に持ち出され、その一部が中国に密輸出されていた事件が記録されている。しかも、取引を行っていたのは、「職場離脱者」と呼ばれる定職を持たない者たちだった。

「これは、厳しい『統制社会』であるはずの北朝鮮で、当局が動向を捕捉できない、あるいは捕捉が難しいグループが各地に次々と誕生しており、既成の秩序を揺さぶっていることを示す好例だと言えるだろう」

 北朝鮮国内に犯罪グループが誕生し、統制社会は危機的状況を迎えているというわけだ。

 ヤミ経済の存在感が大きくなっていく北朝鮮だが、さらに深刻な事態に晒されている。それは国内における覚醒剤の蔓延だ。『北朝鮮・絶対秘密文書』では、平壌市内に住む貿易商だという40歳前後の男性のこんな発言が紹介されている。

「もともと我が国の覚醒剤は輸出用。とくに日本向けに作っていたんですよ」
「南浦の方には、日本方面に向かう麻薬船専用の船着き場もあったと聞いています。それが2000年前後に日本側の海上での取り締まりが厳しくなって壊滅的な打撃を受けました。それ以来、覚醒剤が国内に大量に出回るようになりました。それで、あわてて覚醒剤など薬物を取り締まる仕組みを、その時期になって作ったのです」

 しかし、国内の覚醒剤汚染は止められない。もともと国家管理の覚醒剤工場で働いていた者たちは、覚醒剤の製法を覚えて、いつしか独自に作って流通させるようになっていったという。

「生活条件が厳しく、体力、気力とも十分でない日常の中で、『リアカーを引くときに吸うと力が出る』などとその『効能』が評判になり、今では中学生くらいの子供でも吸うほどで、体に悪いという認識を持つ人などほとんどいない状況だそうだ」

 ちなみに、北朝鮮の刑法に麻薬に関する条文が初めて入ったのは2004年のことだという。それまでは覚醒剤の管理が上手くいっていたということでもあるが、北朝鮮での麻薬に対する認識が低いのも当然なのかもしれない。

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