ろくでなし子“まんこ裁判”の本質を見誤るな! 追求されるべきは警察の報復逮捕だ

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 これだけでも十分唖然とさせられるが、刑事の横暴はまだまだつづく。取り調べで刑事は科学捜査研究所からの資料を叩きつけ、「科捜研があんたのやっている事はワイセツだと証明したの!」「つまり国がワイセツ犯だと認めたんだよ!!」と詰め寄ったが、じつはこの資料、たんに〈3Dまんこデータが専用ソフトで開けるよという証明書〉に過ぎないモノ。さらに、説明もないままに供述調書に署名と押印を求められるものの、調書には“容疑者には黙秘権があることを聞いた”という項目が。「こんなの聞かされてないよ」とろくでなし子氏が言うと、「あーっいけね!黙秘権のこと言い忘れてた!!」「いーじゃん いーじゃん聞いたことにしようよ〜」と丸め込もうとさえしている。

 だいたい、はじめて逮捕された者には、何をどうするのか、どうしたらいいのか、勝手などわからない。それをいいことに、刑事は弁護士についても、「当番弁護士は1回目は無料だけど次からはお金かかるよ 40〜50万くらい」と説明。実際は、お金がない場合、日弁連の刑事被疑者弁護救助制度を利用することができるが、刑事はろくでなし子氏に〈ウソを言っていた〉のだ。

 こうした状況で、ろくでなし子氏は“罪を認めれば出られる”“罰金15万くらい払えば出られる”と考えていたという。だが、対面した当番弁護士から「罪を認めたらなし子さんは活動できなくなりますよ」「けど こんな事で捕まるなんておかしいですよ」と言われたことで気持ちが変わった。拘束された中、「この逮捕はおかしい」と言う人がやっと現れたことで、〈本来の自分をとりもどせた〉のだ。

 その後は、やはり「まんこ」と言えず、供述調書に「女性器」と変換する刑事に、裁判で供述調書を読むのが自分ならば〈私らしい言葉にしてもらわなきゃ困る!!〉と「まんこ」に修正するよう求めるなど、果敢に闘ったろくでなし子氏。そして供述調書は〈前代未聞のまんこまみれ〉になったという。ちなみに、供述調書は自分が読むと思っていたろくでなし子氏だが、これは間違いで、裁判になった場合、検事がこの調書を読み上げることになるらしい。

 このように、警察のマヌケさ、雑さを見事に描いているとはいえ、これくらいの内容でも怒って逮捕してしまうのが、日本の警察の実態である。そもそも、以前もお伝えしたように、ろくでなし子氏の作品は、決してわいせつ物ではない。ろくでなし子氏は、「まんこ」に対する世間のまなざし──いやらしい、下品、女性が口にすることではない──に疑問を感じ、まんこの所有者たる女性自身が親しめるよう、ポップで明るく楽しいイメージづくりを行ってきたのだ。また、北原氏の「ラブ・ピースクラブ」も、男性視点の“男が女に用いて楽しむ”アダルトグッズではなく、女性が性の主体となれるグッズを取り扱っている。ふたりとも、男性中心主義の社会のなかで隠蔽されてきた“女性の性”を、自らの方法で表現してきた。それをわいせつと呼ぶことは、「女性は性を語るな」と禁圧していることに等しい。

 この、不当かつ女性の性表現を抑圧する逮捕を、断じて許してはいけない。
(田岡 尼)

最終更新:2017.12.23 07:04

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