NHK 9時の大越キャスター更迭は官邸の意向! 安倍お気に入り記者も協力?

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 岩田氏の“復活”をまざまざと見せつけたのが、2013年10月に放送されたNHKスペシャル『ドキュメント消費税増税 安倍政権 2か月の攻防』だ。番組冒頭は「NHKのカメラが今回初めて総理大臣執務室に入りました」というナレーションで始まって、安倍首相が消費税増税についてどんな覚悟と勇気を持って決断したかが描かれた、完全な政権ヨイショ番組だった。

 記者として取材対象に食い込むことはもちろん大事だが、岩田氏の場合、露骨な安倍応援団、あるいは指南役になってしまっていた。最近は解説委員として顔出しで政治解説をすることも多いが、安倍政権にネガティブな情報が出ると、さりげなくフォローのコメントをはさむシーンがたびたびだ。先の「週刊現代」には、元政治部記者のこんなコメントが出ている。

〈「あくまで報道は中立であるべきと考える大越さんは、以前から岩田さんの取材姿勢を疑問視していました。逆に岩田さんは、大越キャスターのコメントのしかたに不満がたまっているようです」〉

 その岩田氏が今回、確執もあいまって大越おろしに動き、官邸の意向を伝書鳩のようにNHK上層部に伝えていたのではないかといわれているのだ。

 いずれにせよ、こうしたさまざまなチャンネルからの圧力によって、大越氏を疎んじる空気がNHK内部に共有され、今回の降板人事につながっていったのは間違いない。

 もっとも、当の大越氏は降板が発表されて以降は吹っ切れたのか、むしろ絶好調だ。2月25日の放送では村山富市元首相にインタビューし、戦後70年の安倍談話を牽制してみせた。そして、同日付のブログには〈安倍総理は、村山談話をどう引き継ぐのか。(中略)全体的に引き継ぐとしながら、村山さんが言うキーワードを使うかどうかは霧の中だ〉と書いた。

 3月25日の放送では、辺野古基地建設を巡って沖縄と安倍政権が真っ向対立する中、自ら翁長雄志知事と菅官房長官の双方に個別インタビューをして、それぞれの言い分をいっさいのコメントなしにそのまま出した。翁長知事の「日本の0.6%の土地である沖縄に、米軍基地の74%を押し付け続け、さらにまた沖縄県の民意に反して新たな米軍基地建設を強行する。私は自民党、保守の政治家として日米同盟の重要性は認めるが、こんなことをしていたら、その日米同盟が危うくなる」というコメントに菅官房長官はまったく反論できていなかった。

 今日の最終回、大越キャスターはいったいどんな内容の解説をして、どんなコメントを発するのか。もちろん、大越氏はNHKを退職するわけではないので限界はあるだろうが、ジャーナリズムの独立性を守るためにも最後の一刺しをぜひ期待したい。
(野尻民夫)

最終更新:2021.07.09 12:15

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