官邸の安保担当も務めた防衛省元幹部が証言!「集団的自衛権は安倍首相の個人的願望だ」

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 しかも、そんな大きなリスクがあるのに、日本が国家としていったい何がやりたいのか、何のための施策なのかの説明はない。柳澤氏は集団的自衛権行使を認め、自衛隊の活動範囲や役割を際限なく拡大しながら、その政治的目的がどこにあるのか、まったく見えないことが問題だという。

 では、いったい何のための集団的自衛権なのか。柳澤氏に言わせると、驚くなかれ「安倍首相の個人的願望、もしくは夢」なのだという。だから論理的な説明がなく、政策としての説得力もない。身も蓋もない結論だが、実際、自民党内でも「総理がこだわっていることだから……」といった言説がまかり通っているというのだ。

 これについてよく言われるのが、「首相はお祖父さんの岸信介が果たせなかった夢を追い続けている」という話だ。安倍首相が2004年に出した『この国を守る決意』(扶桑社)という対談本にそのことが出ている。祖父の岸信介が改定した日米安保条約を自分の時代には「堂々たる双務性にしていく」責任があるという。要は、いまの安保条約ではアメリカは日本を助けるが日本はアメリカを助けないというアンバランスな関係なのでそれを是正しなければいけない、という考え方だ。そのためには、どうしても集団的自衛権が必要になる。

 しかし、これには「取引の原則」が抜けている。岸信介が改定した60年安保の段階で「日本は基地を提供する、アメリカは日本を防衛する」という取引が成立し、安倍首相がこだわる“双務性”のバランスもしっかり維持されていた。しかも、この国益のバランスシートはしだいに日本の負担を増やす方向に変わってきた。いわゆる「思いやり予算」といわれる駐留経費負担に始まり、80年代には1000海里シーレーン防衛といった日本の自助努力が求められるようになった。2000年代にアメリカが対テロ戦争を始めると、日本は自衛隊を海外に派遣し、戦後処理を行った。いずれもアメリカ側の都合である。

 もともと、アメリカの防衛力提供=日本の基地提供でバランスをとっていた契約が、現状ではむしろ、アメリカの防衛力提供<日本の基地提供+経費負担+自助努力+海外派遣と、すでにアンバランスな状態になっているのだ。

 にもかかわらず安倍首相は前掲の『この国を守る決意』で、こんなことを言っている。

「軍事同盟というのは血の同盟であって、日本人も血を流さなければアメリカと対等な関係になれない」

 こんなことは、同盟という客観的な国家間の国益の取引においてはあり得ない考えだ。そもそも同盟の目的は日本とアメリカで違っている。アメリカはグローバルな覇権国であるがゆえに日本との同盟を必要とし、日本に基地を置く必然性を持っている。しかし、自国の防衛を目的とする日本がアメリカに基地を置く必要はない。同盟のバランスは同種同量でなければならないというわけではなく、お互いの目的に合致しているかという点が重要になる。日本とアメリカでは兵力に圧倒的な「差」があるのだから、軍事面で完全に双務的というのは考えられない。こんなことは高校生でも分かるだろう。

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