なぜトルコでなくヨルダン…日本政府が対イスラム国交渉で犯した“選択ミス”

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷

 たしかに、イスラム国爆撃の有志連合にも参加しているヨルダンに対して、トルコは昨年9月にオバマ米大統領から「攻撃参加」を強く要請されたものの、その呼びかけを拒否している。また、イスラム国と独自のルートをもち、中東の中で人質交渉を成功させた実績が最もある国でもある。

 また、内藤教授は情報の面でも、トルコの方がはるかにメリットがあったのではないかと語っている。
 
「それにトルコとシリアの間は人の往来が非常に活発ですので、結局トルコ側でそういう世論を醸成すればシリア側に伝わるんです。しかし、ヨルダンからそこへ伝えるのは困難です。」(26日の『報道ステーション』)
「現地対策本部はヨルダンでなくトルコの首都アンカラに置く方が、はるかに情報が集中してくる。多くのガセ情報から本物を選ぶときに、ヨルダンでは欧米の情報機関が中心になるが、トルコでは欧米+現地情報が得られる」(23日のツイッター)

 こうした意見は内藤教授がトルコの専門家だから出たものではない。宮田律氏はじめ他の中東の専門家の間でも同じ見方をとる人は多い。中東支局の経験がある全国紙の外信部記者もこう話す。

「日本政府は今頃になって、トルコとシリアの国境で引き渡しがある、として、トルコ政府にも協力を働きかけ始めましたが、遅すぎます。初動段階で日本政府がトルコに現地本部をおいて交渉を依頼していたら、ここまで事態が錯綜することはなかったかもしれません。もしかしたら、Youtubeでの公開もなく、秘密裏に交渉が進み、それこそ身代金で湯川遥菜さんも解放された可能性もあった」

 しかしだとしたら、日本政府はなぜトルコではなく、ヨルダンを選んだのだろう。

 まず考えられるのは、アメリカの顔色をうかがった判断、ということだ。前述のように、トルコはイスラム国に対しては独自外交を展開しており、アメリカとは距離をとっている。「テロとの戦い」でアメリカに追従する安倍政権としては、親米で有志連合に入っているヨルダンに現地対策本部をおくのが当然、と安易に選んでしまったの可能性が高い。

 また、この判断には外務省の事情も関係したのではないかとささやかれている。今回の人質交渉を担っているのは外務省の中東アフリカ局だが、同局はアラビア語の研修を受けたアラブスクール出身者が主流のため、トルコ系のルートは軽視されがちなのだという。

「しかも、局長の上村司氏も元イラク大使館参事官で、同代理大使時代にイラク日本人外交官射殺事件にも遭遇した人物ですから。ヨルダンのほうに人脈が圧倒的にある。それで、トルコに、という省内の声をおさえて、ヨルダンに本部をおいたんでしょう」(全国紙・外務省担当記者)

 こんな大事な決定を省内の力学で決めていたとしたら唖然するしかないが、いずれにしても、安全保障や危機管理などどという名目で「戦争のできる国」づくりをめざす安倍政権の実態はこんな程度ということなのである。

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

この記事に関する本・雑誌

イスラム戦争 中東崩壊と欧米の敗北

新着芸能・エンタメスキャンダルビジネス社会カルチャーくらし

なぜトルコでなくヨルダン…日本政府が対イスラム国交渉で犯した“選択ミス”のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。イスラム国人質事件安倍晋三裏側野尻民夫の記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
ツイート数
1 維新に反省なし!女性蔑視の石井議員は開き直り、松井代表は経歴詐称を擁護
2 自公維の「国民投票法改正案」に批判の声!小泉今日子も反対表明
3 「報道の自由度ランキング」下落報道でNHKが政権忖度し削除した文言
4 葵つかさが「松潤とは終わった」と
5 古市憲寿が政府のコロナ対策を検証する「有識者会議」入りで疑問の声
6 乙武洋匡が不倫旅行、5人の女性と関係
7 浅田舞が真央との不仲は母のせいと告白
8 マキタスポーツ「安倍は何の魅力もない」
9 原発新設を言い出した安倍晋三は福島原発事故の最大の戦犯
10 ペジー社社長の財団が山口敬之の実家に
11 坂上忍『バイキング』打ち切りはフジ上層部による政権批判潰し
12 国会審議で「総理は嘘つき」が“侮辱罪”にあたる可能性を政府は否定せず
13 ロシア入国禁止リストに“安倍元首相の名前なし”で「やっぱり」の声!
14 橋下徹に恫喝された女子高生が告白!
15 乙武洋匡の本質をマツコが見抜いていた
16 痴漢しても中島裕翔のドラマは放送開始
17 乃木坂46橋本奈々未が背負った貧困
18 『女が嫌いな女』アンケートの噓を暴く
19 フジの格闘技RIZINと暴力団が
20 水原希子に日本のネトウヨがヘイト攻撃
1「報道の自由度ランキング」下落報道でNHKが政権忖度し削除した文言
2自公維の「国民投票法改正案」に批判の声!小泉今日子も反対表明
3ロシア入国禁止リストに“安倍元首相の名前なし”で「やっぱり」の声!
4維新に反省なし!女性蔑視の石井議員は開き直り、松井代表は経歴詐称を擁護
5古市憲寿が政府のコロナ対策を検証する「有識者会議」入りで疑問の声
マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄