ノーベル賞騒動「迷惑」宣言の村上春樹、やっぱり候補に入ってなかったのか!?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷

 村上春樹はこれから先もノーベル文学賞は獲れないのではないか。こう指摘するのは、評論家で作家の小谷野敦。小谷野は、著書『病む女はなぜ村上春樹を読むのか』(ベスト新書)のなかで、春樹ノーベル賞の可能性について様々な角度から考察しているのだ。

 そもそも村上春樹はノーベル賞の候補に本当に入っているのか。そこから小谷野は疑問を呈する。というのも、この時期報道でよく目にする「下馬評で1番人気」「最有力候補」などというのは予想屋が勝手に予想しているだけのもの。ノーベル賞の選考委員会は候補を公表しているわけではない。ノーベル賞委員会は50年経つと候補を公開することになっており、たとえば今年はじめに1963年の最終候補から三島由紀夫が一歩手前で漏れていたことがわかったり、当時日本では全くノーマークだった賀川豊彦が実は1947年の候補だったことが50年を経て初めてわかったり、などということがあった。春樹がこのまま受賞しなければ、本当に候補に入っているかどうかは、50年経たないと真相はわからないというわけだ。

 小谷野が「ノーベル賞受賞に当たっては不利な要因」としてまず挙げるのが、「村上春樹は日本ペンクラブ会員ではない」ということ。そんなことで決まるの?と思うかもしれないが、日本人初のノーベル文学賞作家である川端康成は、日本ペンクラブ会長を17年という長期にわたって務めており、2人目のノーベル文学賞作家の大江健三郎も、ペンクラブ理事、副会長だった。

 しかも単にペンクラブの役職に就いていればいいというわけではなく、「根回し」が重要だと小谷野は見ている。川端は会長任期中に日本で初めての国際ペンクラブ大会を開いており、その関係で西洋へもたびたび行き、さらに国際ペンクラブの副会長も務めており、「西洋社会への根回しは十分だった」。大江も「海外へ出ることも多く、それなりに根回しはしていた」。一方、海外での評価も高く候補に入っていたが受賞には至らなかった谷崎潤一郎は、飛行機が怖くて一度も西洋へ行ったことはなかったのだとか。

 さらに政治的な立ち位置も関係している。小谷野に言わせると「ノーベル賞委員会は、少し左寄りである」という。たとえば、アメリカで初めてノーベル文学賞を獲ったシンクレア・ルイスや、授与されたが辞退したサルトルも、社会主義的だった。日本では保守派と見られる川端康成も「その辺はぬかりなく、戦後は平和主義の仮面をかぶり続けた。ノーベル賞をとってしまうと地金が出て、(略)以後日本ペンクラブは右寄りに」なったという。

 当時大江健三郎はペンクラブを一度退会しているのだが、その後またペンクラブが左寄りに戻ると、戻ってきて理事になっている。そして「1984年には反核声明を出すなどしているし、大江は原爆、沖縄などを問題視する平和主義者としてふるまい、ノーベル賞にこぎつけた」。もちろん小谷野は、川端も大江も政治的な立ち位置だけで受賞したと言っているわけではない。優れた文学者として高く評価しているが、それだけではノーベル賞は受賞できない。たとえ文学者として優れていても、「日本人がノーベル文学賞をとるには、ロビー活動が必要」なのだ。対して春樹は、文学賞の選考委員もやらず、文壇の受賞パーティにも姿を見せないなど、文壇づきあいをほとんどしていないと指摘する。

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

この記事に関する本・雑誌

新着芸能・エンタメスキャンダルビジネス社会カルチャーくらし

ノーベル賞騒動「迷惑」宣言の村上春樹、やっぱり候補に入ってなかったのか!?のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。ノーベル賞文学村上春樹編集部の記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
ツイート数
1 うずしお搭乗が発覚、麻生財務相が例の女性のクラブに650万円
2 安倍政権が「明治の産業革命遺産」報告書から“朝鮮人の強制労働”を削除
3 慰安婦の軍直接関与と強制性を示す公文書を内閣官房が保有! 
4 安倍昭恵が「桜を見る会」にビジュアル系やトンデモスピ仲間を招待
5 「桜を見る会」名簿問題で菅官房長官の会見が支離滅裂!
6 田崎史郎のいない素晴らしい世界
7 安倍官邸が74億円の官房機密費使用!安倍応援団の手にも?
8 徴用工問題で日本の元外務官僚が「韓国に100%の理、日本に100%の非」
9 葵つかさが「松潤とは終わった」と
10 安倍の成蹊時代の恩師が涙ながらに批判
11 田崎史郎が御用批判に失笑の言い訳
12 菅原経産相辞任で田崎史郎不在の『ひるおび!』が政権批判
13 安倍政権御用ジャーナリスト大賞(前編)
14 ジャパンライフの広告塔に田崎とNHK島田も
15 ネトウヨと自民党とニコ動の相関関係
16 「桜を見る会」ジャパンライフ招待問題にマスコミが消極的な理由
17 田崎史郎と三浦瑠麗が『朝生』で無理やりすぎる安倍政権擁護連発!
18 安倍首相の「嵐」政治利用にファン批判、天皇即位祭典も政権の意向か
19 橋下徹に恫喝された女子高生が告白!
20 安倍晋太郎が山口会長に「金儲けの秘訣を教えて」と懇願した夜
1久米宏が「テレビが反韓国キャンペーンをやってる」と真っ向批判
2安倍政権・厚労政務官が外国人在留申請で口利き「100人で200万円」
3 玉川徹がGSOMIA破棄で加熱するテレビの嫌韓煽動を批判
4明石家さんまが吉本上層部と安倍首相の癒着に痛烈皮肉!
5『ゴゴスマ』で今度は東国原英夫がヘイト丸出し、金慶珠を攻撃!
6『報ステ』の“安倍忖度”チーフPがアナやスタッフへの“セクハラ”で更迭
7『ゴゴスマ』で「日本男子も韓国女性が来たら暴行しなけりゃいかん」
8文在寅側近の不正に大はしゃぎの一方、安倍政権が厚労政務官の口利きに無視
9埼玉知事選で警察が柴山文科相への抗議を排除!柴山も表現の自由否定
10安倍首相がトランプからトウモロコシ爆買い
11菅官房長官「トウモロコシ大量購入は害虫被害対策」は嘘
12 GSOMIA破棄は安倍のせい 慰安婦合意から始まった韓国ヘイト政策
13安倍が後に先送り財政検証の酷い中身
14 GSOMIA破棄で日本マスコミの「困るのは韓国だけ」の嘘
15 松本人志や吉本上層部批判の友近、近藤春菜にバッシング、報復か
16『週刊ポスト』の下劣ヘイト記事は「小学館幹部の方針」の内部情報
17GSOMIA破棄!八代・有本ら安倍応援団は「嫌なら来るな」
18 『モーニングショー』で「暑さに耐えるのが教育」元高校野球監督は右派論客
19 古市憲寿の芥川賞候補作「参考文献問題」に選考委員が猛批判
20『関東大震災「朝鮮人虐殺」はなかった!』のデマとトリックを暴く

マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄