ナンパ師来日阻止にイ・スンチョル入国拒否…日本は鎖国でもする気なのか!?

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 官民の両方から高まっている恣意的な入国拒否の動き。奇しくもこのタイミングで法務省が、入国時の顔認証システムを早ければ2017年度中に導入する方針を明らかにした。これは、パスポートに内蔵されたICチップに保存された顔のデータとゲートで撮影する画像を照らし合わせるシステムだ。まずは日本人のみが対象となり、自動化によって浮いた人員を、外国人の入国手続きにまわす方針だという。

 2020年東京五輪に向けた措置でもある。今年の夏に羽田空港と成田空港で実験を行ったところ、5社のうち精度の高い2社で、ミスが0.26%と0.54%だったので実用化に踏み切りたいとした。0.26%とは、1000人に2人か3人はミスが生じるということ。認証できない場合はこれまでの通例通り空港職員による審査になるのだろう。長時間フライトで疲れ果てた後に入国審査の長蛇の列に並ばされる煩わしさから開放されるのは吉報だが、この手のデジタル化による業務の簡略が急がれる時に、放られがちなのが個人情報の問題。

 日本弁護士連合会・編著『デジタル社会のプライバシー』(航思社)によると、アメリカやイギリスの空港では顔認証だけではなく、全身が裸のイメージ画像になって映し出される「ミリ波レントゲンによる全身スキャナー」の導入が薦められているそうで、国連の人権問題特別調査官は「防止策として効果が薄い上にプライバシーに踏み込みすぎだと述べ、個人の権利の侵害だとの見解」を示したという。なにせヒースロー空港では人気俳優のイメージ裸画像が空港職員内で出回るという事件まで起きたそう。

 これを海外の珍事として済ませてはいけない。大量の個人情報を取り扱う、より公的な立場の人間が善人ばかりとは限らない。2011年には、東京メトロ社員がPASMOの履歴データを取得して、女性客の乗車履歴をネットの掲示板に掲載、ストーカー行為を行い解雇処分を受けた、というような事例まで起きている。この事件を受けて対応は変わったようだが、それまでは改札口にいる職員が顧客データを自由閲覧できていたというのだから恐ろしい。

 あまり話題にならなかったが、今年の頭には、指紋情報を日米間で相互提供する法案「PCSC協定」が閣議決定されている。これは日本の警察庁が管理する約1000万人の指紋情報をアメリカが、アメリカのFBIと国土安全保障省が管理する約7000万人の指紋情報を日本が、それぞれオンライン上で照会できるシステムだ。この法案を記した日米重大犯罪防止対処協定の発表資料には、「事前の要請がない場合においても」「実行されたと信ずるに足りる理由があるとき」といった、解釈次第で適用範囲を拡張できる文面が散見される。警察庁が1000万人の指紋情報を持っているというのも驚きだが、特定秘密保護法と同様に、この文面を活かして解釈をその都度変えて指紋を自由に行き来させるのだろう。

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