“サブカル女優”二階堂ふみが小説連載を開始! その筆力と文化度を検証

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 この連載第一回目で二階堂が取り上げたのは、長野まゆみの『団地で暮らそう!』(毎日新聞社)。築50年になる団地に引っ越した青年の“団地生活”が描かれた小説だが、この作品に対して二階堂は、〈貴方がそちらに移って、はや一年が経ちましたね〉という書き出しからはじまる手紙形式の物語を展開させる。そして、〈貴方からたまに来る、団地生活の便りは共同生活の面白さが伝わってきます〉と綴り、長野の小説に詰まっている“団地生活のあれこれ”のおもしろさを伝えながら、〈貴方が大学院を卒業する頃、私もそちらの団地に移ろうかと考えています〉と、独自の物語をふくらませていく。

〈貴方のお隣の近藤さんに煮物のお礼をしにいこうかと『煮物の基礎』という本を買いました。最近「オレンジページ」が愛読書です〉
〈築四十七年の団地で、ベランダに遊びにくるハトに餌を撒きつつ、貴方の帰りを待つのも悪くないのかなと思ったのです〉

 ──長野の小説のほうは、青年の物語というよりも昭和の懐かしさが漂う団地への郷愁感が強いが、二階堂は架空の女性を主人公にして、新たな“団地小説”を描きつつ作品に呼応する。短い文字数のなかで、書評と短編小説を見事に融合させているのだ。

 たしかに、二階堂のオフィシャルイメージから期待した辛辣さや刺激はないが、その文章力と発想力は目を見張るもの。インタビューでも「割と何気ない日常に喜びを覚えるタイプです」と答えていたこともあるように、彼女の演技力の源泉は、この短編小説にも顕著な“日常の細部を大事にする視点”にあるのかもしれない。

 以前、Twitterで「不思議ちゃん・天然ちゃんイメージは脱却できたから、そろそろサブカルとかこじらせっていう類のイメージを脱却したいな☆」と表明していた二階堂。この短編連載は、そんな彼女の新しい一面、新たな才能を引き出すものになりそうだ。
(サニーうどん)

最終更新:2015.01.19 05:10

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