ヘイトスピーチ法規制で“反日”取締まり!? 安倍政権の危険な本音

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 実は、同プロジェクトチームで座長代理をつとめる柴山昌彦議員が、この会合に先立つ24日付けの自身のブログで、高市氏とヘイトスピーチ法規制に対すると話し合ったとして、こう書いているのだ。

《(21日の会議で行われた慰安婦報道の検証と)併せて、今党内で検討していると報じられているいわゆるヘイトスピーチの規制に関しても、「この慰安婦問題など根底にある部分の解決が必要な中、表現行為の規制は内容・手段等慎重にするべきだ。」と(私、柴山は)発言しました。高市政調会長は、今後政府に新たな談話の発表を求める提言を党としてしたいとするとともに、ヘイトスピーチに関してはそれを特別の規制対象とすることはないと明言しました》

 つまり、これはヘイトスピーチのみを規制するのではなく、併せて他の表現行為、例えば官邸前での反原発や特定秘密保護法反対の政治デモのような、政府の方針に異を唱える市民運動を規制するということではないか。

 実際、プロジェクトチームの初会合後、柴山座長代理のツイッターには、ネトウヨからの「反日による日本に対するヘイトを取り締まれ」「左翼のデモこそ対象にすべき」「米軍基地や靖国でのデモも禁止せよ」「逆差別助長法にならない法の建て付けを」といった内容の期待の声が殺到。柴山議員はこれに「様々な事象や現在の法理論を踏まえて慎重に議論します」と答えている。

 我々が注意しておかなければならないのは、この高市政調会長や柴山議員だけでなく、安倍首相とその周辺の議員、ブレーンが、むしろ「在特会」のような、ヘイトスピーチを繰り広げている勢力に近い思想をもっているということだ。これは極論をいっているわけではない。

 たとえば、安倍第一次政権で教育再生会議の委員を務め、今回の再登板についても強力に後押しし、総理就任後はNHKの籾井勝人会長を推薦するなど、今も安倍首相の最大のブレーンといわれているJR東海代表取締役名誉会長の葛西敬之氏は、国家公安委員であった当時、定例会議のなかで、在特会ら排外デモの話題になった際、「『右派系』と言うより、『極右系』」と発言した委員長に対して、「このグループについては、『極右』と呼ぶべきものではないと思う。事前に、よく実態を知り、適正に評価することが大事なのではないかと思う」などと擁護していたことがわかっている。

 こうした支持基盤をもった安倍政権がすんなり、ヘイトスピーチだけを規制するとはとても思えないのである。

 冒頭で紹介したように、安倍首相は舛添都知事との会談で、ヘイトスピーチについて「日本人の誇りを傷つける」という表現を使った。これは、彼らのいう「反日」、つまり、集団的自衛権や原発、米軍基地反対運動、さらにはヘイトスピーチに反対するカウンターの行動を「日本の誇りを傷つける」と取り締ろうという、安倍首相の本音のあらわれなのではないだろうか。
(エンジョウトオル)

最終更新:2014.09.16 07:32

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