本田圭佑が若者の自殺に「政治のせいにするな」と理不尽説教! 蔓延る自己責任論…曽野綾子はいじめ自殺まで責め立てる

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本田圭佑は過重労働の実態をまったく理解していない

 先のツイートで本田は〈今やってることが嫌ならやめればいいから〉と綴っている。これはおそらくブラック企業による過重労働のことを指しているのだろうが、実際にブラック労働に苦しんでいる人にとって、事はそんなに単純ではない。過重労働によって傷つけられていくうちにだんだんと正常な判断能力を失い、「辞める」よりも「死」を選ぶことのほうが自然なことだと思わされてしまうようになる。だからこそ、過重労働の問題は根が深く、深刻なのだ。

 汐街コナ『「死ぬくらいなら会社辞めれば」ができない理由』(あさ出版)というエッセイ漫画が現在大ヒットしているが、この本は、デザイン会社で過労死ラインの残業80時間を優に超える過重労働に苦しめられ自殺未遂を起こした著者自身の体験を作品にしたもので、そのなかには、著者もかつて抱いてしまっていたブラック労働被害者の思考回路がこのように綴られている。

〈両側を崖に挟まれた細い道を歩いているとします。道にはいくつもの分かれ道や扉があります。元気なうちはそれがまだ見えます。でも、真面目な人ほどその道や扉を塗りつぶしてしまいます。何度も何度も繰り返し丁寧に。そうこうするうちにも、長時間労働は思考力を奪い、視界を暗くし、ハラスメントは傷になって痛み続ける。何度も塗りつぶした道や扉はもう見えず、大切な人の声も届かず、壊れたように歩くことしか考えられなくなり。(中略)「まだ大丈夫」なうちに判断しないと、判断そのものができなくなるのです〉(元は漫画のセリフのため、句読点のみ筆者の判断で付け加えた)

 結果として、著者は電車に飛び込みかけるのだが、そのときの気持ちに、「命を絶つ」という究極の選択肢を選ぶ悲壮感は皆無で、むしろ、ホームの端に立ちながら「明日は会社に行かなくていい!? フォオオオオオオオオオオ!!!」と喜びすら感じていたというのだから、過重労働がどれほど正常な判断能力を失わせるものかということがよくわかる。

 その事実は、本田の〈今やってることが嫌ならやめればいいから〉という言葉が、いかに事の深刻さを理解していないものかということを端的に示している。

 また、本田は〈成功に囚われるな!成長に囚われろ!!〉と簡単に言うが、これもはっきり言ってしまえば、彼が才能をもち、自分の得意とする分野で結果を残すことのできた成功者だから言えたことだ。前掲『「死ぬくらいなら会社辞めれば」ができない理由』の監修を務め、本のなかで医学的な見地から解説している精神科医で作家のゆうきゆうは、〈成功に囚われるな!成長に囚われろ!!〉と頑張ることの危険性をこのように綴っている。

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