『最貧困女子』著者が脳機能障害に! 自分が障害をもってわかった生活保護の手続もできない貧困女性の苦しみ

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『脳が壊れた』(新潮社新書) 

 本サイトではこれまで貧困と格差というテーマに取り組んできたが、特にルポライター鈴木大介氏による『最貧困女子』(幻冬舎新書)や『最貧困シングルマザー』(朝日文庫)は大きな反響を呼んだ。それは、こうした作品が従来の風俗ルポや貧困本にない視点をもっていたからだろう。

 これまでタブーとされてきた貧困女性とセックスワークの関係、その背後にある搾取、さらに貧困の陰にうつや統合失調症などの精神疾患や発達障害、知的障害があることを明らかにしたのだ。しかも、単に興味本位で取材をするのでなく、彼女たちと同じ目線に立って、時には取材対象である女性たちに生活保護を受給できるよう説得し、動く。決して上から目線の“取材者“ではなく、時に絶望的な状況や、誰ひとり救えない自分の非力を嘆く鈴木氏の筆致には貧困への憎しみ、絶望感があり、そのルポは政府や行政への静かな反乱ともいえるものだった。

 そんな貧困の深層に切り込み続ける鈴木氏だが、2015年初夏に突然、脳梗塞を患い、緊急入院してしまったのだという。幸い脳梗塞は軽度だったが、残ったのが高次脳機能障害(高次脳)だった。しかし、そこで鈴木氏は“意外な気づき”を発見する。それが自分の高次脳の症状とこれまで出会った数々の最貧困者たちとの“共通点”だ。

 鈴木氏が発病後上梓した『脳が壊れた』(新潮社新書)は、発病から後遺症に苦しみ、家族や友人たちの助けで自分を“再発見”していくルポだが、その中で鈴木氏は自分を襲った“怪現象”(高次脳)の数々を記している。その最初の体験が「半側空間無視」だった。

「僕は自分の左側の世界を『見ていても無視』したり、左側への注意力を持続するのが難しい脳になってしまったようなのだった」

 その症状は鈴木氏を“挙動不審な人間”にしてしまったという。なぜならその障害のせいで人の目を、人の顔を見て話せなくなってしまったからだ。

「最悪なのが、会話をしている相手が真正面にいても、どうしても僕は相手の顔を正面から見て話すことができない。右方向に首ごと顔を逸らせて、視線もなぜか右上方を凝視してしまうのだ」

 こうした症状に襲われた鈴木氏だったが、しかしそれはある被取材者と同じものだと気づく。振り込め詐欺のダシ子(集金役)から組織売春の見張り役をしていたヒサ君だ。ヒサ君は人と話す際、決して目を合わせず、不自然に目を顔ごと逸らしたり、そっぽを向いた状態で目だけをチラ見するような若者だった。

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