『最貧困女子』著者が脳機能障害に! 自分が障害をもってわかった生活保護の手続もできない貧困女性の苦しみ

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「ヒサ君は少し言葉も不自由な感じで、呂律の回らない言葉をゆっくりと苦しげに押し出すように話す子だった。目線は常に対話の相手に向けられることはなく、いまの僕と同様に、身体ごと相手から不自然に視線をそらし、なぜか口笛を吹くかのように口先を尖らせて、視線を泳がせて会話をするのだ」

 鈴木氏は取材時、ヒサ君の仕草、空気の読めない態度に、頭をひっぱたいてやりたいとイラついたというが、しかしヒサ君の挙動不審は高次脳と共通する症状で、しかもこうした行動は止めたくても自分ではどうにもならない、本当に苦しくストレスがたまるものだと初めて気づいたという。

 鈴木氏を襲った高次能は「半側空間無視」だけではない。気になる人を凝視してしまう、注意力・集中力の欠如、物事を順序立ててできない、自分の行動や作業を制御できない、猛烈な焦燥感や不安などなど。これら鈴木氏の高次脳の症状は、まさにこれまで出会ってきた困窮者たちの姿だった。

「あれ? この不自由になってしまった僕と同じような人を、僕は前に何度も見たことがあるぞ?
 それはうつ病や発達障害をはじめとして、パニック障害や適応障害などの精神疾患・情緒障害方面、薬物依存や認知症等々を抱えた人たち。僕がこれまでの取材で会ってきた取材で出会ってきた多くの『困窮者たち』の顔が、脳裏に浮かびました」
「恐らく後天的な脳の機能障害である高次脳機能障害の当事者認識とは、先天的な発達障害、または精神疾患、認知症等々、大小の脳のトラブルを抱える『脳が壊れた人々』の当事者意識と、符合するのではないか」

 それは鈴木氏が取材をした貧困女性たちの共通する“不可思議”な言動を読み解くものでもあったという。例えば女性に生活保護を受給させるべく鈴木氏が同行支援をした際、女性は約束の時間に来ない、役所に提出する書類の説明をするとフラフラと寝てしまう、音読しても理解できない──それらについて鈴木氏は安定剤などの薬を服用しているかと思っていたというが、発病後の鈴木氏はこんな疑問をもつのだ。

「彼女たちの症状は、あまりにも『漫画が読めなくなってしまった』僕と、合致するのだ。貧困とは、多大な不安とストレスの中で神経的疲労を蓄積させ、脳梗塞の後遺症で高次脳機能障害となった者と同様なほどに、認知判断力や集中力などが極端に落ちた状態なのではないのか?」

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