京大寮へのガサ入れと中核派摘発に「公安はどこまでヒマなんだ」と失笑

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 この事件は、デモの翌日の11月4日、京都府警の公安警察官が京大の構内に無断で立ち入っているのを学生に見つかり、取り押さえられたというもの。新聞やテレビでも大きく取り上げられ、警察官のケータイにLINEで「離脱しろ!」というメッセージが流れていたことまでが報道された。

 公安警察としては大失態をおかしたわけだが、今回の捜索は完全にその報復措置だったらしい。今度は警視庁の公安担当記者が語る。

「公安警察官が学生に取り押さえられるという前代未聞の事態に、警察庁警備局が激怒。警察の威信をかけて中核派を叩くという方針を打ち出したらしい。ただし、京都府警がやれば露骨すぎるし、また失敗しかねないというんで、警視庁公安部に捜索するよう指示したみたいだ。名目はデモでの公務執行妨害事件の関連先捜索でしたが、あの逮捕そのものが微罪だから、普通ならありえない捜査だよ」

 ここまでくると、公安の弾圧だ!と叫ぶのもばかばかしくなるようなお粗末さだが、しかし、これが今の公安警察の実態らしい。今回にかぎらず、最近の公安の捜査はほとんどが何の役にも立たない、ただの予算の無駄遣いにすぎなくなっているのだという。

「中核派なんて武装闘争路線を捨ててから久しく、活動家もかなり少なくなっているのに、まだ警視庁だけで100人近く、全国では1000人を超える警察官を担当に配置したまま。他も同じで、共産党や労働組合にかなりの人員をさいている一方、最近、過激な動きをしている在特会をはじめとする極右組織に対してはほとんど人員や予算をつけず、放置している。お役所体質丸出しで、まったく実態とかみあっていないんだよ」(前出・警視庁公安担当記者)

 ようするに、公安は自分たちの予算を守るために、新左翼セクトの小さな事件を必死で大きく見せて大々的な捜査を展開しているだけらしい。

 だが、安倍政権下ではこの公安警察の体質は改革されるどころか、さらにエスカレートしていくだろう。何しろ、安倍首相、山谷えり子国家公安委員長と、在特会などの右派組織に近く、その一方でありもしない左翼過激派の謀略論をふりまくのが大好きな政治家が組織のトップに立っているのだ。警察官僚がこの空気を忖度しないわけがない。

 実際、朝日新聞の誤報問題の後、慰安婦報道に関わった朝日OBが教員をつとめる帝塚山学院大学、北星学園大学に対して行われた爆破テロの脅迫事件では、公安はほとんど捜査らしい捜査をしていない。そして、対照的に京大の捜査はさらに続行する予定だという。

「“ポポロ事件”のほうも京都府警が立件するつもりらしいですね。ただし、取り押さえられた捜査官がそのとき『休暇中だった』と嘘をついてしまったので、公務執行妨害でなく、傷害罪で捜査を進めているらしい。とても公判にたえられるとは思えませんが、それでもいいみたいですよ」(前出・関西在住のジャーナリスト)

 日本は警察国家というより、幼稚な陰謀国家になりつつあるらしい。
(野尻民夫)

最終更新:2015.01.19 04:10

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