悪寒、吐き気、耳を塞ぎたくなる! 嫌韓本トンデモランキング(後編)

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★第2位  室谷克実「大型フェリーが沈没する確率はどれほどか。そこに乗っていたのが、有名な反日高校の生徒たちだったことは、あまりにも偶然すぎる」
『ディス・イズ・コリア 韓国船沈没考』(産経新聞出版/2014年)

 ■セウォル号沈没事故まで? あらゆることを「反日」と結びつける力技■ 

『呆韓論』がベストセラーとなった元時事通信ソウル特派員である室谷氏が旅客船セウォル号沈没事故に迫った新刊『ディス・イズ・コリア』。こちらも売れ行き好調だという。しかし、その事故へのアプローチは独特のものだ。「修学旅行生ら約450人を乗せた旅客船が韓国南西部沖で座礁し、海洋警察が緊急救助活動を行なっている」というニュースが流れたのは4月16日午前中のこと。
このニュースに「ああ、あの高校だったのか」と感想を持ったのが室谷氏。「檀園高校──その名前を見ただけで、長らく韓国ウォッチをしている人間なら、神経がピピッと来てしまう。実は反日教育で勇名を馳せる高校なのだ。(中略)檀園高校は12年8月、教職員と生徒が一緒になって『独島(日本名=竹島)守護決議大会』を催し、それが韓国メディアで紹介されたことがある(「朝鮮日報」12年8月28日)。それで、私は『えっ、あの高校が……』と思ったのだ」という。

 その後、旅客船はなすすべなく沈没。乗員・乗客293人超が死亡するという大惨事になったわけだが、室谷氏の姿勢はまったくぶれない。「この公立高校でどんな教育が行なわれているのか、窺い知ることができる。独島に関する国策映画を見せ、教職員が生徒と一緒になって……」などと、いかにこの高校が有名な反日高校だったかを解説し続けるのだ。

 いったい、被害にあった修学旅行生の高校が反日だったからって、どういう関係が……と思うのだが、その答えが冒頭のくだりらしい。

「大型フェリーが沈没する確率はどれほどか。そこに乗っていたのが、有名な反日高校の生徒たちだったことは、あまりにも偶然すぎる。ただ、逆に言えば、あまりにも偶然すぎるケースに、有名な反日高校が出てきたことは、それはそれで、韓国の一断面といえるだろう」

 まあ、婉曲的な表現ではあるが、反日だから事故が起きたんじゃないの?と言いたいらしいのだ。13年の韓国の有力紙「中央日報」が広島・長崎への原爆投下を「神の懲罰」とする記事を掲載し問題になったが、もしかして室谷氏は“沈没事故は反日高校に対する『神の懲罰』”と言いたかったのだろうか。
 
 その後も、「檀園高校がある安山市は、工場地帯が広がり、低所得者が多い地域なのだ」「韓国日報(14年5月29日)によると『事故に遭った檀園高校の生徒325人中50人余りが片親家庭や祖父母が養育する家庭』であり貧しい家の子どもたちだったことを紹介している」など、とにかく檀園高校のマイナス情報を書き続ける室谷氏。いくら韓国が嫌いでも、不幸な事故の直後にこんな攻撃をするのはあんまりだろう。こんな言論活動を続けていると、韓国から「日本軍兵士は血も涙もなかった。残酷なのが日本人の国民性」とかいわれても反論できなくなる気がするのだが……。

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