政治・政治家に関する話題……本と雑誌のニュースサイト/リテラ
麻生副総裁「戦う覚悟」発言は岸田首相と打ち合わせた“政府の代弁”だった! 終戦記念日も反省なし、戦争を着々準備する岸田政権
全国戦没者追悼式での岸田首相(首相官邸HPより)
本日8月15日、78回目となる終戦記念日を迎えた。岸田文雄首相は「全国戦没者追悼式」において「戦争の惨禍を二度と繰り返さない。この決然たる誓いを今後も貫いてまいります」などと述べたが、これが舌先三寸であることが、つい先日、はっきりとした。
というのも、麻生太郎・自民党副総裁が台湾で述べた「戦う覚悟」発言が、麻生氏によるいつもの暴言などではなく、政府とすり合わせた上で発せられた「岸田首相の代弁」であったことが判明したからだ。
麻生副総裁の問題発言は、8日に台湾で開かれた国際フォーラムの基調講演で飛び出した。麻生氏は「大事なことは、台湾海峡を含むこの地域で戦争を起こさせないことだ。抑止力には能力がいる。そして、抑止力を行使する意志を持ち、それを相手に教えておくこと。その3つが揃って抑止力だ」と述べた上で、こう発言した。
「いまほど日本・台湾・アメリカをはじめとした有志の国に、強い抑止力を機能させる覚悟が求められている時代はないのではないか。『戦う覚悟』だ」
「お金をかけて防衛力を持っているだけではダメ。いざとなったら使う、台湾防衛のために。明確な意思を相手に伝えて、それが抑止力になる」
沖縄や広島・長崎をはじめとする国内のみならず、侵略をおこなった朝鮮半島や中国をはじめとするアジアの国々などに多大な犠牲を与えて敗戦を迎えた8月という重要な節目に、首相経験者で現役の政権与党副総裁が「戦う覚悟が求められている」などと口にする──。これだけでも信じがたい問題発言だ。しかも、「いざとなったら台湾防衛のために日本が防衛力を使う」という発言は完全に専守防衛に反するものであり、78年前の反省を覆すものにほかならない。
だいたい、防衛力を「抑止力のため」と強調するが、どれだけ防衛費を倍増させても中国の国防予算・軍事力にかなうはずがない。結局は周辺国に緊張と軍拡競争を生み出す「安全保障のジレンマ」を引き起こすだけであり、行き着く先は核の保有になる。台湾の平和と安全を守ろうというのならば、まずは外交努力で汗をかくべきだ。ところが、それもせずに「戦う覚悟」などと好戦的な言葉で挑発し、いたずらに緊張を高めたのである。
麻生副総裁「戦う覚悟」発言は麻生の暴走でなく、岸田首相と“密に連携”し“政府のメッセージを代弁”したものだった!
だが、最大の問題は、この危険極まりない麻生副総裁の発言が独断によるものではなかった、という点にある。
9日、麻生氏の訪台に同行した鈴木馨祐・元外務副大臣が『BSフジLIVE プライムニュース』(BSフジ)に出演し、麻生氏の発言について、こう述べたのだ。
「当然、これは政府の内部も含めて調整をした結果のことですから。少なくともここのラインというのは、日本政府としてのラインというのは明確」
「岸田総理と極めて密に連携をした。今回もいろいろ訪問前にやっている」
さらに、10日付の毎日新聞も〈講演に先立ち、首相官邸や外務省、国家安全保障局(NSS)と入念に発言内容を調整していた〉〈台湾海峡問題をはじめとした安全保障で妥協する意思はない。首相はこうしたメッセージを、現在は政府の立場から離れている首相経験者の麻生氏に代弁してもらった可能性がある〉と伝えたのだ。
つまり、「戦う覚悟」「いざとなったら使う」などという挑発の言葉は、岸田首相がGOサインを出した上で発せられたものだった、というのである。
これは背筋が凍るほどに恐ろしい事実だ。麻生氏は2021年にも「台湾有事は存立危機事態にあたる」といった発言をおこない、同年に安倍晋三・元首相も「台湾有事は日本有事であり、日米同盟の有事でもある」と発言してきた。今回の「戦う覚悟」「防衛力をいざとなったら使う」という発言も、台湾有事が起こり、米軍が軍事介入した場合、自衛隊が米軍とともに戦うと言っているに等しい。
そして、この暴言を麻生氏に言わせたのは、現役総理大臣の岸田首相だった──。これはようするに、場合によっては日本がアメリカの戦争に巻き込まれ、反撃の対象となることを辞さないと岸田政権が宣言したようなものではないか。
「抑止のため」と言いながら戦争準備着々 地元住民の生命を危険に晒してまでミサイル配備を進める岸田政権
しかも、岸田政権は敵基地攻撃能力の保有にとどまらず、着々と「戦争の準備」をはじめている。
政府は沖縄県の宮古島や石垣島や鹿児島県の奄美大島に陸自ミサイル部隊を配備し、今後、与那国島にも追加配備する計画になっている。このような南西諸島の自衛隊増強について、松野博一官房長官は「抑止力、対処力を高め、わが国への武力攻撃の可能性を低下させるため」と説明している。だが、その一方で岸田政権は、住民避難のためのシェルター整備を検討。つまり、ミサイル部隊を配備した地域が攻撃対象となる危険性を認識しながら、戦争に向けた準備を急速に進めているのである。
ミサイル部隊が敵基地攻撃の拠点となった場合、島は報復攻撃の危険にさらされる。しかし避難計画は避難先が学校や公民館になっていたり、島外避難に10日近くかかったりとまともな中身がない。シェルターを整備したとしても、島々の人口は計10万人を超え、全員の安全を守ることなどまず不可能だ。いたずらに住民の生命を危機に晒しているだけなのである。いや、戦争に巻き込まれる危険があるのは南西諸島だけではない。全国各地にある自衛隊基地も狙われ、原発が攻撃されれば壊滅的な被害となるだろう。
「戦争の惨禍を二度と繰り返さない」と言いながら、すでに戦争に向けて歩みを進め、挙げ句、代弁者を立てて挑発行為に出る岸田首相。しかも、このように岸田首相が間接的に好戦的な姿勢を見せた背景には、台湾有事を煽ることで防衛費倍増を正当化しようという意図はもちろん、“反岸田”化が進む極右勢力にアピールする目的があることは見え見えだ。すさまじい私利私欲っぷりではないか。
外交努力もないまま脅威を煽るだけ煽り、先の戦争の反省と憲法の理念を歪めて進められていく軍備増強。その一方、どんどんと国民の生活と安全は切り捨てられていっている。昨年末、タモリは「(今年は)新しい戦前になるんじゃないですかね」と予測したが、実際にそれは的中したと言ってもいいだろう。
(編集部)
最終更新:2023.08.15 06:11
関連記事
新着 | 芸能・エンタメ | スキャンダル | ビジネス | 社会 | カルチャー | くらし |
萩生田光一ら非公認“裏金”候補に自民党から政党助成金2000万円振込み発覚も…選挙情勢では続々当選の可能性
“裏金”“統一教会”の萩生田光一を応援する極右勢力と有名テレビコメンテーター 一方、新たな裏金疑惑を検察が捜査開始の報道も
石破茂が史上最速で馬脚あらわに! 手のひら返し解散、統一教会も裏金も再調査せず、菅・麻生以外の人事も酷い
安倍首相が統一教会に選挙支援依頼の証拠を朝日がスクープ! 進次郎のバックにいる菅義偉や萩生田光一もあらためて追及せよ
高市早苗のヤバさは極右思想だけじゃない! 総務省文書問題、統一教会との関係、政治資金規正法違反をめぐる“大嘘”の数々
傀儡・小泉進次郎が改革できない“キングメーカー菅義偉”の官房機密費疑惑! 不正選挙やメディア対策にも
兵庫・斎藤知事問題で維新の責任を改めて検証! 局長を“自死”に追い詰めた維新県議、課長の自死は吉村肝煎り優勝パレードが原因か
自民党総裁選広告「THE MATCH」は「おじさん」どころか「腐敗ジジイの詰め合わせ」だ! 担当の平井広報本部長は親族ぐるみ税優遇
岸田首相「総裁選不出馬」にごまかされるな! 後継候補の河野太郎、高市早苗、石破茂、小泉進次郎、小林鷹之の欺瞞
窮地の岸田首相が一番頼りにしているのはあの「Dappi」“仕掛人”説の自民党・元宿仁事務総長!「日本の黒幕」特集本が暴いた新事実
『仰天ニュース』“赤木ファイル”特集で安倍政権・公文書改ざん事件の卑劣があらためて注目! 中居正広も「あってはならない」と
ジャニーズ会見で井ノ原の「ルール守って」発言賞賛と記者批判はありえない! 性加害企業が一方的に作ったルールに従うマスコミの醜悪
ジャニーズ性加害でジュリー社長辞任もテレビ局は検証放棄! 局内での行為が疑われるテレ朝とNHKの無責任な姿勢
ジャニーズ性加害問題で露わになったテレビ局の共犯性! ジュニアの練習場を提供したテレビ朝日はジュリーの謝罪後も批判なし
坂本龍一が最後まで中止を訴えた「神宮外苑森林伐採・再開発」の元凶は森喜朗! 萩生田光一も暗躍、五輪利権にもつながる疑惑
れいわから出馬 水道橋博士が主張する「反スラップ訴訟法」の重要性! 維新・松井だけでなく自民党も批判封じ込めで訴訟乱発
自公維新が提出「国民投票法改正案」にネットで批判の声広がる! 小泉今日子も〈#国民投票法改正案に反対します〉と投稿
三浦瑠麗が「医者はワイドショー見てコロナ怖がりすぎ」と医療従事者を嘲笑! 専門家から反論されると半笑いで「私、医者じゃないんで」
Netflix版『新聞記者』の踏み込みがすごい! 綾野剛が森友問題キーマン官僚に、安倍御用ジャーナリストはあの人が…
NHK捏造・虚偽放送問題で河瀬直美監督のコメントが無責任すぎる!ドラマの デモ描写に異議唱えた『相棒』脚本家と大違い
“裏金”“統一教会”の萩生田光一を応援する極右勢力と有名テレビコメンテーター 一方、新たな裏金疑惑を検察が捜査開始の報道も
窮地の岸田首相が一番頼りにしているのはあの「Dappi」“仕掛人”説の自民党・元宿仁事務総長!「日本の黒幕」特集本が暴いた新事実
兵庫・斎藤知事の「パワハラ告発職員」追いつめに維新県議が協力していた! 職員は吉村知事肝いり「阪神優勝パレード」めぐる疑惑も告発
“既成政党に与しない”石丸伸二の選対本部長は「自民党政経塾」塾長代行! 応援団筆頭に統一教会系番組キャスターの元自民党職員も
小池百合子が都幹部だけでなく“最側近”を天下りさせていた!「大日本帝国憲法復活」「国民主権を放棄せよ」の請願に関与の元特別秘書
大阪万博建設現場のメタンガスが急増し1日2tも発生! 3月の爆発事故では「通報遅れ」「天井破損」を隠蔽していたことが発覚
萩生田光一が裏金問題で提出した「領収書の嘘」が発覚! 安倍元首相が「官房機密費100 万円を参院候補者に手渡し」報道も
吉村知事はガス爆発でも開き直り「他区域ではガスが出ない」と大嘘! 地下鉄工事でメタンガス確認、大阪市も発生可能性認めたのに
吉村知事が「万博出禁」と攻撃した玉川徹のコメントはどれも当たり前の指摘ばかり! 吉村の言論弾圧体質はプーチン並み
大阪万博の工事現場でガス爆発 会場地下に溜まるメタンガスへの懸念が現実に! 危険な有害物質PCB汚泥も覆うだけ
維新ゴリ押し 万博&カジノにかかる金はインフラ整備を含めると8000億円以上だった! 大半が国と大阪市の負担、巨額の税金も投入
防衛費増額の財源で「法人税」を削除し「国民全体の負担」だけにした政府有識者会議は読売社長、日経元会長、朝日元主筆がメンバー
菅首相の追加経済対策の内訳に唖然! 医療支援や感染対策おざなりでGoToに追加1兆円以上、マイナンバー普及に1300億円
菅首相のコロナ経済支援打ち切りの狙いは中小企業の淘汰! ブレーンの「中小は消えてもらうしかない」発言を現実化
菅首相の追加経済対策が“自助”丸出し! コロナ感染対策は10分の1以下、大半が新自由主義経済政策に…坂上忍も「バランスおかしい」
悪評「マイナポイント」事業の広報費は54億円、1カ月で半分を浪費! 事務局事業も電通がトンネル法人通じて140億円
三浦瑠麗のアマプラCMは削除されたが…amazonもうひとつの気になるCM! 物流センター潜入取材ルポが暴いた実態とは大違い
安倍首相“健康不安”説に乗じて側近と応援団が「147日休んでない」「首相は働きすぎ」…ならば「147日」の中身を検証、これが働きすぎか
正気か? 安倍首相の諮問機関「政府税調」がコロナ対策の財源確保と称し「消費税増税」を検討! 世界各国は減税に舵を切っているのに
東京女子医大がボーナスゼロで400人の看護師が退職希望! コロナで病院経営悪化も安倍政権は対策打たず加藤厚労相は “融資でしのげ”
萩生田光一ら非公認“裏金”候補に自民党から政党助成金2000万円振込み発覚も…選挙情勢では続々当選の可能性
安倍首相が統一教会に選挙支援依頼の証拠を朝日がスクープ! 進次郎のバックにいる菅義偉や萩生田光一もあらためて追及せよ
高市早苗のヤバさは極右思想だけじゃない! 総務省文書問題、統一教会との関係、政治資金規正法違反をめぐる“大嘘”の数々
傀儡・小泉進次郎が改革できない“キングメーカー菅義偉”の官房機密費疑惑! 不正選挙やメディア対策にも
兵庫・斎藤知事問題で維新の責任を改めて検証! 局長を“自死”に追い詰めた維新県議、課長の自死は吉村肝煎り優勝パレードが原因か
自民党総裁選広告「THE MATCH」は「おじさん」どころか「腐敗ジジイの詰め合わせ」だ! 担当の平井広報本部長は親族ぐるみ税優遇
岸田首相「総裁選不出馬」にごまかされるな! 後継候補の河野太郎、高市早苗、石破茂、小泉進次郎、小林鷹之の欺瞞
都知事候補討論会ですっとぼけるも…小池百合子に清和会時代、裏金を受け取っていた可能性が浮上! 派閥上納額は安倍を超える120万円
裏金裁判で安倍派幹部たちの嘘が明らかに! 抜け穴だらけの政治資金規正法改悪で幕引き図ろうとする自民・岸田政権
小池百合子が「神宮の樹木伐採」で後押し 森喜朗と萩生田光一“裏金コンビ”の神宮再開発利権の疑惑を改めて検証する!
瀬戸内寂聴が生前、語っていた護憲と反戦…「美しい憲法を汚した安倍政権は世界の恥」と語り、ネトウヨから攻撃も
「BTSグラミー賞逃す」報道に「韓国人のニュースいらない」「日本人の受賞を報じろ」と炎上攻撃が! 日本スゴイの精神的鎖国
ぼうごなつこ『100日で崩壊する政権』を読めば、安倍首相が病気で辞任ししたのでなく国民が声をあげ追い詰めたことがよくわかる
百田尚樹が「安倍総理にお疲れ様とメールしても返信なし、知人には返信があったのに」とすねると、2日後に「安倍総理から電話きた」
村上春樹が長編小説『騎士団長殺し』とエッセイ『猫を棄てる』に込めた歴史修正主義との対決姿勢! 父親の戦中の凄惨な中国人虐殺の記憶を…
村上春樹がエッセイ『猫を棄てる』を書いたのは歴史修正主義と対決するためだった! 父親の戦中の凄惨な中国人虐殺の記憶を…
安倍首相に利用された星野源がエッセイに書いていた“音楽が政治に利用される危険性” 「X JAPANを使った小泉純一郎のように」
“宇予くん”で改憲煽動のJCと手を組んだTwitter Japanはやっぱり右が大好きだった! 代表は自民党で講演、役員はケントに“いいね”
ウィーン芸術展公認取り消しを会田誠、Chim↑Pomらが批判! あいトリ以降相次ぐ“検閲”はネトウヨ・極右政治家の共犯だ
「ノーベル賞は日本人ではありませんでした」報道で露呈した日本の“精神的鎖国” 文化も科学もスポーツも「日本スゴイ」に回収
幸福の科学出家騒動は清水富美加個人の責任なのか? カルト宗教信者の子どもたちが抱える問題
話題の本『夫のちんぽが入らない』のタイトルに込められた深い意味…しかし一方では広告掲載拒否の動きが
福島の子ども甲状腺がん検診「縮小」にノーベル賞の益川教授らが怒りの反論! 一方、縮小派のバックには日本財団
介護殺人に追い込まれた家族の壮絶な告白! 施設に預ける費用もなく介護疲れの果てにタオルで最愛の人の首を…
宇多田ヒカル「東京はなんて子育てしにくそう」発言は正しい! 英国と日本で育児への社会的ケアはこんなに違う
今もやまぬ人工透析自己責任論の嘘を改めて指摘! 糖尿病の原因は体質遺伝、そして貧困と労働環境の悪化だった
『最貧困女子』著者が脳機能障害に! 自分が障害をもってわかった生活保護の手続もできない貧困女性の苦しみ
雨宮塔子が「子ども捨てた」バッシングに反論! 日本の異常な母性神話とフランスの自立した親子関係の差が
『NEWS23』に抜擢された雨宮塔子に「離婚した元夫に子供押しつけ」と理不尽バッシング! なぜ母親だけが責任を問われるのか
小島慶子が専業主夫の夫に「あなたは仕事してないから」と口にした過去を懺悔!“男は仕事すべき”価値観の呪縛の強さ
人気記事ランキング
カテゴリ別ランキング
社会
ビジネス
カルチャー
人気連載
アベを倒したい!
ブラ弁は見た!
ニッポン抑圧と腐敗の現場
メディア定点観測
ネット右翼の15年
左巻き書店の「いまこそ左翼入門」
政治からテレビを守れ!
「売れてる本」の取扱説明書
話題のキーワード