「#東京五輪の中止を求めます」拡散も…菅首相は「五輪を実現」と断言 森喜朗会長も「中止はできない」 強行の背景に2人の五輪買収疑惑

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「#東京五輪の中止を求めます」拡散も…菅首相は「五輪を実現」と断言 森喜朗会長も「中止はできない」 強行の背景に2人の五輪買収疑惑の画像1
首相官邸HPより


 本日4日、菅義偉首相が年頭記者会見をおこない、東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県に対し、緊急事態宣言発令の検討に入ると明言した。10日前である12月25日に開いた記者会見では、緊急事態宣言の再発令せずとも国民の行動変容は「可能」と胸を張り、昨日までは知事たちの要請にも慎重姿勢を崩していなかったが、世論の反発を恐れてようやく再発令の方向に踏み切ったようだ。

 無論、判断が遅きに失したことは厳然たる事実だ。実際、本日の東京都の重症患者は108人、全国で731人と過去最多を更新。昭和大学病院の相良博典院長が「重症の患者さんのベッドはもう作れない。医療崩壊は起きてきているというふうに思う」(FNNプライムオンライン4日)と語っているように、すでに医療現場では最悪の事態に見舞われている。

 このような状況を引き起こしたことの責任は非常に重いと言わざるを得ないが、一方、絶句させられたのは、本日の会見で菅首相が事も無げに言い放ったこのメッセージだ。

「夏の東京オリンピック・パラリンピックは人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証として、また、東日本大震災からの復興を世界に発信する機会としたいと思います。感染対策を万全なものとし、世界中に希望と勇気をお届けする。この大会を実現するとの決意のもと準備を進めてまいります」

 世界を見渡しても「コロナに打ち勝った」状況にはまったくなく、そもそも「打ち勝つ」とはどういう状況のことを言うのかもさっぱりわからないが、それでも菅首相は、今年の7月には東京五輪を開催する、と言うのである。

 本サイトでは昨年末にもお伝えしたが、専門家のあいだではすでに東京五輪悲観論が上がりはじめている。たとえば、分科会の尾身茂会長は「週刊文春」(2020年12月31日・1月17日合併号)の池上彰との対談で、池上から「今のままではオリンピックを開催できないということですね」と聞かれ、「最終的に来年の春には、政府は決断しなければなりません」と否定しなかった。また、厚労省のアドバイザリーボード委員で強い発言力をもつといわれる和田耕治・国際医療福祉大学教授も、昨年末の12月25日にこうツイートしている。

〈このままでは1月12日のGo to 再開も難しそうですが、それは伝わっているのでしょうか。。オリパラもどんどん準備ができなくなっているのですが。。 もう少し中長期の想定をしていただき、対策をした場合としない場合を示す必要があったのか。〉

 コロナ対策の専門家だけではない。じつは、五輪を推し進める立場の東京五輪組織委員会からも悲観論が出始めている。スポーツ報知(2020年12月25日付)によると、複数の理事が「五輪を開くには状況が悪すぎる。不安と心配の方が大きく、国民の賛同が得られない」「このままでは五輪の最も大事なフェアプレーの精神を無視する形になってしまう」などと、開催が厳しいとの見方を示しているという。
 
 当然の反応だろう。コロナは国内の感染が深刻化しているだけではなく、世界中で感染が再拡大しているのだ。安倍晋三・前首相はじめ政府は「ワクチンができる」などと楽観論を垂れ流してきたが、東京五輪までに参加国の大半にワクチンが行き届くなんてことはありえない。また、仮に日本で感染が収束したとしても、多くの国で感染が収まっていなければ開催はできないし、現段階で五輪出場枠の40%以上が固まっておらず、選考会を開けない競技や国も多い。

 いずれにしても、無理やり強行すれば、感染や準備不足で大会が大混乱に陥る可能性が高く、五輪開催なんてほぼありえない。むしろ、中止の決断が遅れれば遅れるほど予算がどんどんかさんでいくのだから、政府や東京五輪組織委員会は一刻も早く中止の決断をすべきだ。

森喜朗会長は「無観客でもやるしかない」と言いながら「チケット収入が入らない想定はしていない」

 しかし、菅首相のみならず、組織委の森喜朗会長も、頑としてその現実を見ようとはしない。たとえば、森会長は日刊スポーツ1日付インタビューで、再延期について「できるはずがないじゃないですか」と言い切り、「最悪、無観客でも開催すべきか」という質問に対して、こう豪語している。

「もう中止はできないから、たとえ無観客という指示が出たとしても工夫してやるべきだ。昨年1年間、無観客のイベントや無出社でテレワークするなど日本は工夫してやってきた。どんな苦難があっても乗り越えられる。明日の箱根駅伝に注目している。無観客で開催するというが、沿道の観衆をどうするのか」

 決断すれば中止にできるものを「もう中止できないからやる」って、旧日本軍のインパール作戦と同じではないか。ちなみに、森会長が注目していた箱根駅伝だが、沿道での観戦自粛が呼びかけられていたものの観客数は18万人(関東学生陸上競技連盟の発表)。五輪となれば一体どうなるだろう。

 しかも、「どんな苦難も乗り越えられる」などと非科学的な精神論ばかり振りかざしながら、入場行進する選手や役員などの人員を75%削減するという案については、森会長は「まだ決まっていない」と言うだけ。「無観客と判断されたら900億円のチケット収入が入らない。その想定はあるか」と質問されても、「それはしていない。現実に野球やサッカーは知恵を出して有観客で実施している」と無責任ぶりを隠そうともしなかったのだ。

 開催延期によって予算計画の金額は1兆6440億円、招致時の予算の2.25倍、ロンドン五輪を抜いて五輪史上最高に達したが、この予算もチケット収入は満席が前提となっている。もし観客制限をすれば、それがそっくり赤字になり、瞬く間に資金不足に陥ってしまうというのに、森会長は想定さえしていないのである。

 その上、肝心な問題は何も検討しようともしていないくせに、開会式については「私が監督だったら」と前置きして「真っ暗な中の1点に光を当てて、そこ目がけて日本のアニメキャラクターが走って集まる。そこに青空や海が広がった後、国立競技場があるという流れ」などと薄ら寒い演出案を披露。会長がこんな体たらくで、未曾有のなかでの安全な五輪開催など、絶対に不可能だろう。

森が代表理事の財団に買収工作資金 菅首相もセガサミー会長に森の財団への入金を依頼

 しかし、菅首相にも森会長にも、絶対に五輪を開催しなければならない事情がある。そしてそれは「世界中に希望と勇気をお届けする」などというものではなく、「五輪の私物化」というべき事情からだ。

 菅首相の場合、最大の理由は東京五輪を最大の政権浮揚策として位置づけ、五輪後の解散総選挙で政権を盤石にすると目論んでいるためだ。実際、朝日新聞は昨年11月16日付の記事でこう伝えている。

〈首相周辺は「五輪を成功させた熱狂のまま衆院選になだれ込む」といった政治シナリオを想定。複数の政権幹部も「五輪は最大の政権浮揚策」「やはり衆院解散は五輪後だ」などと胸算用を語る。首相は最近も周辺に「五輪はいずれにせよやる」との決意を示したという。〉

 また、森会長には、五輪招致の買収関与の疑惑がある。昨年3月、ロイター通信は組織委の理事である高橋治之・電通顧問が招致委員会から約8億9000万円相当の資金を受け取り、IOC委員らにロビー活動をおこなっていたと報じたが、その際、森会長が代表理事・会長を務める「一般財団法人嘉納治五郎記念国際スポーツ研究・交流センター」にも招致委から約1億4500万円が支払われていたと報道。つまり、この嘉納治五郎財団を介して買収工作がおこなわれた可能性があるのだ。

 この問題については、昨年11月にトーマス・バッハ会長の来日時におこなわれた記者会見で、ロイターの記者が直接、森会長に「これは何のために使ったのか」とぶつけたのだが、「私は実際の経理や金の出し入れというのは直接担当しておらず、おっしゃったようなことがどこまでが正しいのか承知していない」などと返答。このロイターのスクープや会見でのやりとりをメディアは無視したため大きな問題となっていないが、森会長は招致買収疑惑の当事者なのである。

 そして、これは菅首相も無関係ではない。既報でもお伝えしたが(詳しくは既報参照→https://lite-ra.com/2020/09/post-5643.html)、「週刊新潮」(新潮社)2月20日号によれば、菅首相は官房長官時代、カジノをめぐって深い関係にあるセガサミーホールディングスの里見治会長に対してこんな依頼をおこなっていたと、当の里見会長がテレビ局や広告代理店の幹部に語ったというのだ。

「アフリカ人を買収しなくてはいけない。4億~5億円の工作資金が必要だ。何とか用意してくれないか。これだけのお金が用意できるのは会長しかいない」
「嘉納治五郎財団というのがある。そこに振り込んでくれれば会長にご迷惑はかからない。この財団はブラックボックスになっているから足はつきません。国税も絶対に大丈夫です」

 さらに、実際に里見会長は自身で3〜4億円、「知り合いの社長」が1億円を用意して嘉納治五郎財団に入金したといい、これに菅氏は「これでアフリカ票を持ってこられます」と喜んでいた、というのだ。

 しかも、これは里見会長の“ホラ話”ではない。というのも、セガサミー広報部は嘉納治五郎財団への寄付の事実を認めており、「週刊新潮」が独自入手した嘉納治五郎財団の決算報告書でも、2012年から13年にかけて2億円も寄付金収入が増えていることを確認。関係者は「その2億円は里見会長が寄付したものでしょう」と語っているのだ。

 もし、里見会長に買収のための資金提供を依頼していたのが事実ならば、菅首相は官房長官という国の中枢の要職に就きながら、五輪の招致を金で買うというとんでもない悪事に手を染めていたことになるが、東京五輪が開催され成功すれば無視されるであろうこうした疑惑も、中止となれば追及がおこなわれる可能性もあるだろう。

「世界中に希望と勇気をお届けする」などと言いながら、実際には政権維持のため、また疑惑から目を背けさせるためという我が身可愛さだけ──。昨日、「#東京五輪の中止を求めます」というハッシュタグがTwitterトレンド入りしたが、あまりにも当然のこの要求を根気強くつづけるしかないだろう。

最終更新:2021.01.04 11:06

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