政府のアパホテル借り上げは美談でなく“アベ友優遇”! 安倍首相が直接電話で依頼、客室の歴史修正本も「撤去しない」と明言

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アパグループHPより


 あのアパホテルが、新型コロナウイルスに感染した軽症者らの「受け入れ」の意向を公表した。アパグループの元谷外志雄代表が「夕刊フジ」に語っているように、4月に政府から打診され、受け入れを決めたという。

 元谷外志雄代表は「国難に協力するのは当然」と胸を張り、妻の元谷芙美子社長も連日のようにテレビに顔を出し、マスコミはアパ称賛一色。ネット上でも「神対応」「本当の愛国者」「やはり国士だ」などと喝采の声があがっている。

 だがコレ、本当にそんな単純な「美談」にしてしまっていい話なのか。

 そもそも新型コロナウイルス感染症をめぐっては、厚生労働省が都道府県に対して、軽症者や無症状の感染者をホテル等で療養させることを検討するよう通知を出している。たとえば大阪府はHP上で〈府内の宿泊施設で、1棟単位(100室以上)でご協力いただけること〉などを条件として公募。これを受け、楽天の三木谷浩史会長が個人で所有するユニバーサル・スタジオ・ジャパンに隣接するホテルを府に無償提供する考えを明らかにしたことは大きな話題を呼んだ。

 だが、楽天の三木谷会長のように事業者側がホテルを「無償提供」するケースは例外だろう。大阪府の公募内容を見ると、基本的に借り上げは有償の方針をとっている。つまり、自治体がホテル側に金を出して施設を借りるということだ。

 言うまでもなく、新型コロナウイルスの世界的流行はホテル業界にも大打撃を与え、いまや各地の宿泊施設で閑古鳥が鳴くといった状況だ。政府が有償で借り上げれば、ホテル側は損失を埋める絶好の機会となり、無償を申し入れない限りはかなりの金額が税金から支出されることになるだろう。ある意味、大手ホテルチェーンにとっては“ビジネスチャンス”ですらあると言える。

 しかも、アパの元谷代表といえば、自他共に認める「安倍首相のビッグサポーター」(by片山さつき)だ。田母神俊雄氏や自民党の杉田水脈衆院議員らを輩出した「真の近代史観」懸賞論文の主催で知られ、“極右界隈のタニマチ”ともいわれる。

 前述のように、大阪府では借り上げ先の公募を行っているが、一方、政府内閣官房や厚労省はHP上で募集をかけていない(6日時点)。もし、政府が安倍首相に近いアパホテルを優先的に「有償の受け入れ先」として打診したのだとすれば、またぞろ“アベ友優遇”ということになるのではないか。

 そう思っていたら、やっぱり、アパへの打診はまさに安倍首相のトップダウンだったということらしい。 “官邸御用政治ジャーナリスト”の田崎史郎氏が、昨日6日放送の『ひるおび!』(TBS)で、「安倍総理がアパホテルの経営陣に電話して、お願いしますと直談判」したと暴露したのだ。

 事実であれば、政府のアパへの「ホテル借り入れ」が、明らかに“首相案件”であることを意味しているとしか思えない。

 しかも、本サイトで既報のように、アパホテルをめぐってはつい最近も、同じフレームの“五輪利権疑惑”が浮上していた(https://lite-ra.com/2020/03/post-5332.html)。これは、延期の決まった東京五輪に関して、実は、アパホテルが大会組織員会からの依頼を受けて関係者用の部屋を大量に用意していたことが判明したというもの。3月25日放送の『スッキリ』(日本テレビ)で、アパホテルの元谷芙美子社長は「組織委員会のほうからも、ちゃんとオリンピックに向けて、私たちは3万6000泊以上のホテルの提供ができるように、万全の体制を取ってまいりました」と語っていたが、アパホテルは東京五輪のオフィシャルスポンサーではないので、安倍首相と関係の深い企業だということが選定の判断に影響している可能性が高い。

アパホテルに、貸し出し料金や期間、規模、元谷代表の著書等の扱いについて直撃

 さらにもうひとつ気になることがある。アパホテルは普段、「南京大事件はなかった」などと歴史修正主義を喧伝して国際問題になった元谷代表の著書などが客室に設置されている。もしこの歴史修正本がそのままで、アパホテルに新型コロナの軽症感染者を長期宿泊させることになれば、政府が歴史修正主義・極右思想の宣伝に手を貸すということになりかねない。
 実際、冗談ではなく、コロナに感染してアパに収容された軽症者が暇つぶしに客室におかれた元谷代表の著書を読んでいるうちに、極右思想や歴史修正本主義に感化されてしまうことだってありえるだろう。

 6日午後、本サイトはアパグループに取材。貸し出しの料金(宿泊費)や期間、受け入れ時に元谷代表の著書等をどのように扱うのかについて質問した。すると同日夜、アパグループ秘書課から書面で回答があった。

 アパグループはまず、〈4月2日、政府の方から新型コロナウイルスの軽症者への受け入れの打診を頂き、すぐに弊社としては全面的に受け入れる意向がある旨をお伝えしております。国難ともいえる新型コロナウイルスに対応して、人員数・客室数を含めた要請をいただき、衛生管理等について具体的な提案があれば、スタッフの安全面を図った上で全面的に受け入れる意向でおりますが、現時点で首都圏、大阪、名古屋で合わせても5,000室程度は提供可能と考えております〉と説明した。

 では、金額はいくらになるのか。仮に1カ月ほど政府がアパホテルの5000室を借り入れた場合、一部屋一泊1万円として計算すると実に15億円、6000円でも9億円もの金額になるが、アパグループは、〈ただし、現時点ではまだ具体的な話になっておりませんので、対象施設や利用期間、対価等については今後協議を進めていきたいと考えております〉と回答するにとどめている。

 また、〈軽症者を受け入れるホテルは一棟貸しとし、一般のお客様が同じホテルに宿泊することはありません。具体的なホテル名は決定後ホームページ等で公表します〉と加えた。

 さらにもうひとつの気になる点、軽症感染者の受け入れ時に元谷代表の著書等を客室に設置したままにするのかについては、以下のように回答した。

〈2017年1月に、アパホテル客室に設置している『本当の日本の歴史 理論近現代史』について、南京大虐殺を否定するものだとして批判的に取り上げる動画がインターネット上にアップされたことをきっかけに、中国政府によってアパホテルは中国国内から予約ができなくされた、いわゆる「書籍問題」のきっかけとなった書籍は、「本当の日本の歴史 理論 近現代史学II」ですが、現在は、同様の主張を記載しているシリーズの新作である「本当の日本の歴史 理論 近現代史学IV」「「本当の日本の歴史 理論 近現代史学V」を設置しています。これらの書籍について、撤去する予定はありません。〉

 ちなみに以前本サイトが調査したところ、『理論近現代史学IV』には歴史修正主義だけでなく、安倍政権の擁護・絶賛を連ね、安倍改憲や核武装の必要性を訴える記述もあった。【詳細は→https://lite-ra.com/2019/03/post-4622.html

具体的なアパホテルは歴史修正本につては取材に「撤去する予定ない」と明言

 ホテル貸し出しの詳細について「現時点ではまだ具体的な話になっていない」にもかかわらず、「南京大虐殺はなかった」という趣旨で国内外から大きな批判を浴びた著書と「同様の主張」の書籍については「撤去する予定はありません」と断言するアパ。著者である元谷代表の“意思”がひしひしと伝わってくるではないか。

 いずれにしても、この問題を単なる「美談」にしてしまうと、様々なことを見落としかねない。官邸との深いパイプを持つ田崎氏が言うように、安倍首相本人がアパへ「直談判」したのならば、やはり、その背景には「新型コロナの対応」にかこつけた“お友だち優遇”があるのではないか、との疑念が首をもたげてくる。

 政府や自治体による「借り上げ」の原資は、言うまでもなく血税だ。軽症者の民間施設受け入れは適切な方法と手続きに乗っ取るべきであり、プロセスは透明化されなければならない。美談で思考停止しているマスコミは、元谷代表の歴史修正主義的姿勢も含め、その過程をしっかりと検証する必要がある。

最終更新:2020.04.07 11:14

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